其方が同じ役を果たすとなれば——少なくとも、項羽が其方の行く末を嘆く気遣いだけはない。

Lostbelt No.3 人智統合真国 シン

虞美人「…ああ、こうなると、あの方は察して…

…この末路を哀れんで…

私は…

なんて、愚かな…

またあの方を嘆かせた…

一度ならず、二度までも…」

始皇帝「なんだ、末期の悔悟が何かと思えば。

項羽の嘆きを止めるなど造作もない事ではないか。

項羽は其方の行く末を儚んだ。

なれば項羽が嘆かぬような結末を其方自身が選べばいい。」

虞美人「…な…に…」

始皇帝「英霊となれ。

天仙の女よ。

精霊に類する其方であれば、己の在り方も自ら選べよう。

抑止力に鞍替えすることなど造作もないのではないか?」

虞美人「我に…

抑止力の走狗となれと?

よりにもよって、憎みに憎んだ人間どもを守護しろと?」

始皇帝「さぞや其方には不本意だろうさ。

だがな、その在り方はかつて項羽が志し、誇りとしたもの。

其方が同じ役を果たすとなれば——

少なくとも、項羽が其方の行く末を嘆く気遣いだけはない。」

虞美人「…ッ。」

始皇帝「フフン、もう一押し要るかな?

ではこう考えてみろ。

其方は歴史がついぞ識ることのなかった『項羽の真実』を見届けた存在であろう?

その知識を座に持ち込むことで、項羽もまた人類の守護者と認定される可能性がある。

そうなれば、思わぬ再会を遂げる望みも、なくはない。」

虞美人「…私…は…」

始皇帝「まあ即断を要する事でもない。

しばらくは妄念のまま野山を彷徨って、じっくりと検討するのも良かろう。」

虞美人「…」