ベディヴィエール———— ベディヴィエールとは、誰の事だ?

第六特異点 神聖円卓領域 キャメロット

トリスタン「……アグラヴェイン卿。

もう一つ、報告を続けてよろしいでしょうか。」

アグラヴェイン「なんだ。

これ以上何があると?」

トリスタン「……はい。

叛逆者たちの中に、彼の者がいたのです。

隻腕の騎士。

円卓の中でもっとも忠義に厚きもの。

……我らが盟友、サー・ベディヴィエールの姿が。」

アグラヴェイン「なん……だと?

ベディヴィエールだと!?

なぜヤツが現れる!?

そんな筈がない!

冗談は酒場か、女にのみ披露したまえトリスタン卿!

ベディヴィエールなど、もっとも有り得ない話だ!」

モードレッド「ああ、その通りだぜアグラヴェイン。

おかしいにも程があるだろ?

アイツみてぇな軟弱騎士が、なんでかあっちの——」

アグラヴェイン「モードレッド!

貴様、知っていたのか!?」

モードレッド「あ……

いや、そう重要な話でもないかなって!

だってさ、そもそもガウェインだって黙ってただろ!?」

アグラヴェイン「下らない言い逃れは————

いや、そうか。

正門での戦いは、そういう事だったのか。

ガウェイン卿。

これはどういう事だ。

なぜ我々に、王に報告しなかった。

ベディヴィエールが叛逆者に手を貸しているなど、それではトリスタン卿も不覚を取るというもの。

あの男は技量こそ未熟だが、我ら円卓の内情に詳しい!

加えて、王にとって最も近い従者——

いや、それはいい。

私情でその判断を誤ったというか!」

ガウェイン「ベディヴィエール卿について報告しなかったのは、それが取るに足りない事だからです。

彼は獅子王に召喚される事もなかった未熟者。

叛逆者にすぎない。

そんな騎士を特別視する必要はありません。

なぜなら——

我らが王は完全です。

その判断も、理念も、行いも。

一点の過ちもなきものと私は信じる。

であれば騎士の一人や二人、寝返ったところで対局に影響はない。

サー・ベディヴィエール、なにするものぞ。

彼が何をしようが、獅子王の御心は乱れない。

違いますか、アグラヴェイン?」

アグラヴェイン「………………確かに。

あの男が敵に回って、何ができる訳でもない。

……ご苦労だった、ガウェイン卿。

正門の守備に戻りたまえ。」

トリスタン「……何ができる筈もない、ですか。

確かに、以前のサー・ベディヴィエールであれば。」

アグラヴェイン「……含みのある物言いだな。

ベディヴィエールは卿にとって近しい友だった。

処断しなかったのは、卿の有情によるものか?」

トリスタン「……まさか。

私に私情はありませんでした。

私に与えられた祝福は“反転”です。

それをお忘れではないでしょう?」

アグラヴェイン「……忘れるものか。

確かに、今の卿が私情に流される筈もなかったな。

トリスタン卿は城下町の警護に。

モードレッド卿は聖都周辺の掃討を続けよ。

…………。

玉座を騒がせた無礼、お許しください王よ。

ベディヴィエール卿の事はどうかお気になさらず。

トリスタン卿の誤認、という事もありえます。

仮に本物だったとしても、その時は改めて獅子王の円卓に迎え入れればいいだけの話。

……問題は何もありません。

万全の準備で最果ての塔への扉をお開けください。」

獅子王「…………いや。

卿らは、先ほどから何の話をしている?」

アグラヴェイン「は?」

獅子王「ベディヴィエール————

ベディヴィエールとは、誰の事だ?」