たとえ時代は離れ、人種が違おうとも。 彼は確かに、己に近しい者に後を託したのですね——

第六特異点 神聖円卓領域 キャメロット

マシュ「わたしへの回答、ですか……?

あ。

もしや、ここに来る時に話していた、わたしに力を譲渡してくれた英霊の真名、ですか?」

ホームズ「その通り!

答えは見えていたものの確証がなかったので先ほどは濁したが……

今は事実としてキミに教えてあげられる。

聞く準備はいいかね、ミス・キリエライト?」

ベディ「お待ちください。

それはマシュ殿が自分で見つけ出すべきもの。

我々が口をだすのは……」

ホームズ「いいや、私は打ち明ける!

誰もがもう答えに気づいている以上はね!

その上で真実から目を背けるのは愚か者のする事。

ではミス・キリエライトは愚か者なのか?

それは断じてノー!

ノーだベディヴィエール卿!

そもそも君は何を恐れているのか!

真名を知っても何の変化もなかったら?

真名を知っても宝具が展開されなかったら?

それこそ不要な気遣いだと私は断言しよう!

何故なら——

マシュ・キリエライトの精神は既に完成している!

彼女の恐れは、宝具のあるなしで変わるものではない!

故に!

宝具が展開しなかったとしても、彼女は立ち上がる事を止めないだろう!

たったひとつ信じるものの為に、彼女は最期まで、勇気を振り絞って戦うのだから!」

マシュ「——————。」

ホームズ「……失礼。

臆面もなく激してしまった。

では打ち明けてもよろしいかな、ミス。

貴女に与えられた運命。

貴女の命を救っている、その英霊の名を。」

マシュ「……マスター。

いいのでしょうか、これで。」

「もちろん。ちょっとロマンは足りないけどね」

マシュ「……はい。

もう少し、特別なものであれば良かったですね。

教えてください。

ミスター・ホームズ。

わたしの真名。

この盾の本当の名前を。

よろしい。

では探偵らしく、全ての種明かしと行こう。

そもそも、どのようにしてカルデアは英霊召喚を安定させたのか。

それは“英霊を集めるもの”があったからだ。

かつて多くの英雄たちが集った席。

円卓(ラウンド)と呼ばれた誓いの儀式。

カルデアはその聖遺物を加工し、召喚の触媒とし、融合素体の肉体に埋め込んだ。

分かるね、ミスター藤丸。

彼女が持つ武器は盾のように見えるが盾ではない。

君が一番最初に契約したサーヴァントこそが、多くの英霊を集める下地だったのだと。」

「まさにラウンドシールドだ」

ホームズ「ああ、シャレが利いている。

ここだけはカルデアの技術者に拍手を送ろう。

彼女の持つソレは円卓を核にして作り上げた、聖なるラウンドシールドなのだから。

いいかな、ミス・キリエライト。

西暦2010年における召喚英霊第二号。

カルデアが行った英霊融合実験、唯一の成功例。

カルデアの非人道的実験を嘆きながら、貴女の命を維持する為に現世に留まり続け、カルデア爆破事件のおり、貴女にすべてを託したもの。

その英霊の名はギャラハッド。

円卓の騎士の一人にして、ただひとり聖杯探索に成功した聖なる騎士だ。」

マシュ「円卓の騎士、ギャラハッド——」

(地面につく音)

「マシュ!? 大丈夫か!?」

マシュ「は、はい……

腰から力が抜けて、つい座り込んでしまいました……

でも痛いとか、驚いた訳ではないんです。

……ただ、とても嬉しくて。

あの時わたしたちを助け、信じてくれた方の名前がやっと分かって……

今は、それがとても嬉しいんです。

その名前に恥じないように、わたしは戦えていたでしょうか……?」

ホームズ「ほうら、言った通りだろう?

あの少女はそういう少女だ。

何であれ感謝を忘れない。

自分を生かしていたものへ、悲観的な心など示すものか。」

ベディ「……ええ。

本当に、その通りですね。

ギャラハッドの選択は正しかった。

たとえ時代は離れ、人種が違おうとも。

彼は確かに、己に近しい者に後を託したのですね——」