ソロモン王には未来を見通す千里眼があった。もしもその彼にすら、2016年から先が見えていなかったとしたら——

第六特異点 神聖円卓領域 キャメロット

ベディ「帰りは早かったですね。

それもホームズ殿のおかげですが。」

ホームズ「初歩的な事だよ、諸君。

迷宮に入った時は視覚情報だけに頼ってはいけない。

立体的な地図を脳内に描きながら進むのだ。」

「ありがとう、ホームズ」

ホームズ「ふむ。

最後にお役に立てて何よりだ。

私はここで、諸君らとはお別れだからね。」

マシュ「……やはり、カルデアは信用できないのですか?」

ホームズ「ふむ。

カルデアに謎があるのは確かだが、私は私で他に追う者がいる。

その名は幻霊——

いや、今は語る事ではないな。

私はここで失礼するよ、ミスター藤丸。

そして最後に難問を残そう。

人理焼却についての、もっともシンプラな疑問だ。

私は思うのだよ。

なぜ2016年が起点だったのだろう、と。」

マシュ「え?」

ホームズ「誰も疑問には思わなかったのかね?

魔術王は人類史そのものを焼却した。

であれば、だ。

西暦元年を起点にしていれば、キミたちは生まれる事なく世界は終わった筈だ。

なのに彼は2016年から焼却を始めた。

2016年から過去に遡って燃やし始めた。

人理焼却はキミたちのいる2016年から、過去に向かって進んだ炎なのだ。

なぜそうしたのか?

考えられる結論は一つだ。

魔術王には2016年まで待たねばならない理由があった。

仮に、彼の居場所が紀元前1000年だとしよう。

紀元前1000年から西暦2016年まで、およそ3000年分の歴史。

彼はこれを燃やす必要があった。

分かるかね?

魔術王は絶滅させたいから絶滅させたのではない。

その必要があったから絶滅させたのだ。

結論は同じだが、この違いを無視してはいけない。」

「人間が憎いから、ではなく……?」

ホームズ「そうだ。

関心がないものには殺意も存在しないだろう。

……ただし、この考察はここから厄介になる。

無論、その理由は何か、という疑問だ。

一つは先ほど言ったように、2016年から過去までの長さに価値があるのでは、という仮説。

……もう一つは、あのソロモン王ですら、2016年から先が見えなかったのでは、という考察だ。

ソロモン王には未来を見通す千里眼があった。

もしもその彼にすら、2016年から先が見えていなかったとしたら——」

「……未来はもとから無かった?」

ホームズ「……私と同じ結論だね。

これが間違いである事を祈っているが。

では、諸君、私はここで退散する!

次に出会うとしたら、そうだね——

荒野ではなく、賑わいのある都市がいい!

ロンドンに並び立つような都市での活躍を期待しよう!」