彼は最後までキミの味方だ。 それだけは私が、天才の称号にかけて保証する。

第六特異点 神聖円卓領域 キャメロット

ダヴィンチ「そうか……

2004年の聖杯戦争……

うん、それは私も知らなかった。

私がカルデアに召喚されたのは2012年の事だ。

前所長との面識はわずかしかない。

その年の暮れにマリスビリーは亡くなったからね。

ロマニと前所長の関係はよく知らない。

ああ、ちなみにマシュに英霊を召喚したのは2010年。

その時にマシュの容態が悪化して、前所長がロマニに助けを求めたらしい。

ロマニはその時に英霊憑依実験を知り、自分の愚かさを嘆いたそうだよ。

カルデアに何年もいたのに、そんなセクションがある事に気づきもしなかったって。

無論、私も呆れた。

そして怒った。

カルデアになんか召喚されなきゃ良かったって。」

「でも、なんでカルデアに残ったんだ?」

ダヴィンチ「それは……

まあ、英霊召喚は本来絶無の可能性だし、学術的興味があるのも否定しきれなかった。

でも、一番の理由はロマニだった。

私には一目で分かった。

“ああ、いろいろと無理をしている人間だな”って。」

「無理をしている……?」

ダヴィンチ「ロマニはただの人間だ。

魔術師じゃない。

キミと同じ、一喜一憂しながら困難に立ち向かう、ね。

アイツは人並み以上の才能を持っているけど、人を凌駕するほどの天才じゃない。

そんな人間が人類を背負おうと必死になっていた。

ロマニ自身、どうしてそうしなくちゃいけないのか理由が分からないままにね。

アイツは言葉にしなかったけど、私にはそのテンパり具合が分かったのさ。

天才だからね。

だからカルデアに残る事にした。

要はロマニを見捨てられなかったのさ。」

「……ドクターは、善人?」

ダヴィンチ「どちらでもなく、どちらでもある。

だって、それが人間だからね。

……でもロマニは一つ、切り札を持っている。

それだけは伝えておこうかな。

君の怪しんでいる通り、ロマニは隠し事をしている。

それは……

まあ、聖杯のようなものだ。

彼は一度だけ、願いを叶える手段を隠し持っている。

本人は怖がって、考えようともしないけどね。」

「どうして?」

ダヴィンチ「簡単さ。

それを使えば彼は消える。

だから使えない。」

「……死ぬ、という事ですか?」

ダヴィンチ「——そうだね。

それぐらい、単純な話ならいいんだが。

ともかく、ドクター・ロマンの過去は謎だが、彼自身に裏はない。

彼は最後までキミの味方だ。

それだけは私が、天才の称号にかけて保証する。

だからまあ、あんまりロマンをいじめないように。

知っての通りメンタルが豆腐だからねー、アイツ。

自身をなくしたら私たちの生存率にも影響が出る。」

「……ありがとう、ダ・ヴィンチちゃん」

ダヴィンチ「なに、お礼を言うのは私の方だ。

キミが思慮深い人間で助かった。」