記録に残せないものを作り上げる。それが人間という知性体の、最大の異能なんだよ。

第六特異点 神聖円卓領域 キャメロット

マシュ「第六グランドオーダー、ここに完了です。

お疲れさまでした、マスター。」

ダヴィンチ「ああ。

本当にお疲れさま。

今回は特にハードだった。

そしてすまないね、この功績に対して、我々は満足な礼も出来ない。

いつもの事だけど、特異点で起きた事はその解決と共に無かった事になる。

人々の記憶にも、人類史にも残らない。

残るのは名誉だけ——

という事にもならないんだ。

これは辛い。

私も今回、当事者になって実感したよ。」

「気にしてないよ。ダ・ヴィンチちゃんもごめんね」

ダヴィンチ「……むう。

まさか私の方が労われるとは。

これは一本とられたかな?」

マシュ「はい。

だって先輩もわたしも、もう分かっていますから。

たとえ消えてしまう世界だとしても、誰も覚えてない歪んだ時代だとしても。

そこで誰かが泣いたり、傷付いたりして……。

でも、それでも……。

笑ったり、喜んだり、お腹いっぱい美味しい食事をとった事は……

わたしたちにとっての真実で、皆さんから頂いた歓びは決してなくならないと思うのです。」

「うんうん」

ダヴィンチ「ああ、その通りだ。

観測ばっかりやっていると、つい記録に拘ってしまっていけない。

たとえ記録にならずとも発生したものはある。

それが形而上のものであったとしても——

無駄ではない。

無駄ではないだろう。

そういうものを含めて、この宇宙は作られているのだから。」

ロマニ「ああ。

記録に残せないものを作り上げる。

それが人間という知性体の、最大の異能なんだよ。」

マシュ「ドクター。

聖杯の保管はもういいのですか?」

ロマニ「ああ、たったいま厳重にロックしてきた。

これで第六特異点は安全になったよ。

今回もご苦労さま、藤丸君。」