張り詰めた心は大きな衝撃で砕けてしまう。多少ふらふらしていた方が生き物はタフって話さ。

第七特異点 絶対魔獣戦線 バビロニア

ダヴィンチ「さて。

ではもうちょっとだけ詳しくレクチャーしようか。

メソポタミアという言葉はもとはギリシャ語だ。

メソは中間、ポタミアは河、という意味を持つ。

ペルシア湾へと流れるティグリス河、ユーフラテス河の間で栄えた文明、という事だね。

オーダー名はバビロニアとしているが、そう呼ばれるのは、もう少し後の事だ。」

マシュ「古代メソポタミア、シュメル……。

これらの古代文明として規定されるモノは、確かに、あまりに長大です。

たとえば、紀元前5000年と紀元前2000年ではかなりの幅がありますね。

歴史的背景も異なります。」

ダヴィンチ「今回は紀元前2600年、初期王朝時代だ。

魔術的な視点によると、人間が神と袂を分かった最初の時代とされている。」

ロマニ「そうだね。

この時代の王が何を思ってその選択をしたのかは知らないが、神々の時代はここを決定的な決別として薄れていき、西暦を迎えた時点で、地上から神霊は消失した。

一部の島国では西暦後も残っていたようだが、それも西暦1000年頃には消失したとされている。

極めて特殊なケース以外の、いわゆる“人間と一切交わらなかった”神性はね。

まあ、そのあたりの話は置いておいて。

キミたちにとって重要なのはレイシフトの難易度だ。

紀元前へのレイシフトはとても難しい。

時代を遡れば遡るほどに人類史は不確定になる、というか、神代に近付くと不確定にならざるを得ない。

神代とは不確定性の時代だと宣う学派もあるぐらいでね、こと観測や実測といったモノとはすこぶる相性が悪い。

シバもなかなか安定してくれない。

というか、絶対に安定なんかするはずがない。」

フォウ「フォウフォウ。」

ダヴィンチ「ああ。

それでもカルデアスタッフの努力のもと、第七特異点の座標は割り出され、観測は可能となった。

今回は最大の難易度だから私も管制室に詰める。

なので、ナビゲートに口を出す余裕はないのだけど……

天才の名にかけて、キミたちの存在証明はパーフェクトにこなしてみせよう。

なーのーで、後は安心して、現地で西へ東への大冒険を楽しんできたまえ!

レオナルドの言い分は不謹慎だけど、確かに得がたい経験ではある。

キミたちは現代人が知る事のない、古代の世界に飛び込むんだ。

危険は計り知れないだろうけど、それと同じぐらい素晴らしい発見がある事を願っているよ。」

「地球大紀行ですね!」

ロマニ「ああ。

すべてが解決した旅の終わりに、キミが得たものをボクにもちゃんと聞かせてくれ。」

ダヴィンチ「はいそこ、いい話っぽい空気は禁止〜。

藤丸君はこれから戦いに出るんだぜ?

ここは背中に張り手の一つでもするところでしょうに。

まったく。

ロマニは少し仮眠でもとってきなさい。

落ち着こうとするのは疲れている証拠だよ。」

ロマニ「失礼な、休みは十分にとったよ。

ボクだって気合充実、鋭気に満ちあふれているとも。

さ、コフィンの準備は出来ている。

ここからはキミの戦いだ、藤丸君。

第六特異点は他に類を見ない特殊な条件だったけど、今回もそれと同レベルの困難が予想される。

なにしろ時代が時代だ。

何があっても対応できるよう、つねに冷静に、それでいて余裕を忘れずに。

張り詰めた心は大きな衝撃で砕けてしまう。

多少ふらふらしていた方が生き物はタフって話さ。」

「はい。行ってきます、ドクター!」