国中の美女は我のもの、世界の財は我のもの! 王の意見に賛同しても死、反対しても死、という理不尽な王様だ!

第七特異点 絶対魔獣戦線 バビロニア

ロマニ「マーリン。

その……

ウルクを治めているのは、やはりあのギルガメッシュ王なのかい?」

マーリン「ああ、あのギルガメッシュだとも!

古代王の中でもとびきりの暴君!

神々は偉そうだからと縁を切る!

そして国中の美女は我のもの、世界の財は我のもの!

王の意見に賛同しても死、反対しても死、という理不尽な王様だ!」

「なにそれ怖い!」

マシュ「英雄王ギルガメッシュ。

古代メソポタミアの都市ウルクの王。

人類最古の英雄叙事詩と言われる『ギルガメッシュ叙事詩』をはじめ、メソポタミアの古い物語に登場する、実在した人物です。

史実においてはビルガメシュという名であり、『ビルガ』は祖先、『メシュ』は英雄を意味します。

父はルガルバンダ王。

母はニンスン女神。

神と人間の間に生まれた英雄で、三分の二が神、三分の一が人となります。

幼年期は人々を慈しみ、ものの道理を踏まえた賢者だったのですが、青年期ではまったく逆の性質の、手の付けられない暴君となりました。

国中の財を収集し、人々に必要以上の繁栄を望み、神々を“過去のもの”と切り捨てた。

そんな彼を諌めるため、神々に作られたのが我々の前に現れたエルキドゥさんです。

因縁の末、エルキドゥさんとギルガメッシュ王はウルクの神殿の前で三日三晩戦ったとされます。

勝敗は引き分け。

これ以降、ギルガメッシュ王はエルキドゥさんを唯一の友と認め、それまでの圧政は少しだけなりを潜め、ウルク市民に恐れられながらも国を治めました。

ですが……」

「ですが?」

マシュ「はい。

唯一の友を得て、王としても成長したギルガメッシュ王は様々な困難に見舞われます。」

マーリン「ああ、レバノン杉の話だね。

ギルガメッシュ王は聖域である白い杉の森に踏み込み、その森の守護者である魔獣フワワを殺してしまう。

メソポタミアは風土柄、どうしても木材が不足してしまう国でね。

良質の杉を持って帰るのは王として、そして勇者としての責務だったんだろう。

しかし、その功績によって質の悪い女神に目を付けられた。

珍しいもの、美しいもの、人々が称賛するもの。

そういったものを興味本位で欲しがる女神。

アヌ神の娘、女神の中の女神とされるイナンナ——

女神イシュタルがギルガメッシュ王に言い寄ったのさ。

世界最高の女神による、英雄王への愛の告白だ。

しかし、ギルガメッシュ王はこれを拒絶した。

イシュタルの夫であるドゥムジがどれほど冷や飯を食べさせられているか知っていたからね。

イシュタルにしてみれば生まれて初めての衝撃だろう。

まさか男に……

しかも人間にフられるとは!

怒ったイシュタルは父であるアヌ神に泣きついた。

するとアヌ神は娘可愛さからとんでもないモノをイシュタルに与えてしまう。

世界を滅ぼすほどの神獣……

天の牡牛、グガランナだ。

この神獣を以て、イシュタルはウルクを滅ぼそうとした。

作物を荒らし、河を干上がらせ、嵐を呼ぶこの牡牛をギルガメッシュはエルキドゥと共に討伐する。

結果ウルクは救われたが、神獣を殺した咎としてエルキドゥは神々の怒りを買い、その命を奪われた。

エルキドゥはもともと神々が作ったものだからね。

今風にいうと電源を切られてしまったんだ。

まったく。

メソポタミアの神々の最大の欠点は愛娘に甘かったところだよ。

アヌ神といい深淵のエンキ神といい、イシュタルには山のような宝を与えているんだから。」

ロマニ「うんうん。

それだけで女神イシュタルがどれだけ甘やかされて育ったか分かる話だよね……」

マシュ「はい。

そして唯一の友を失ったギルガメッシュ王は、同時に『死』を意識しはじめます。

自分と同等だった勇者であるエルキドゥすら『死』を迎えた。

ではこれを克服する事はできないのか、と。

これが有名なギルガメッシュ王の不老不死探索です。

彼は世界の果てまで辿り着き、深淵を下り、その底で『若返りの草』を手に入れます。

ですが……」

ロマニ「盗られちゃうんだよね。

蛇に。

地上に戻って水浴びをしていたら、その隙に蛇がその草を食べちゃったんだ。

かくして蛇は『脱皮』という性質を手に入れ、人間は不老になるチャンスを永遠に失った。

この時のギルガメッシュ王の心境にどんな変化があったのかは誰も知らない。

ともかく、ギルガメッシュ王はウルクに帰還したが、ウルクは王の不在によって荒れ果てていた。

ギルガメッシュ王は己の身勝手さを反省し、ウルクの復興に努め、以後は冒険に出る事なく、王としての責務を終えた。

以上が『ギルガメッシュ叙事詩』の内容だ。

あくまで詩に書かれた事だから、真実がどんなものであったか想像するしかないけどね。」

マーリン「はたして、死を恐れたから霊草を求めたのか、それとも、死を憎んだから霊草を求めたのか。

そのあたり本人に訊いてみるのも面白いと思うよ?

ああ、でも……

そこまで踏み込んだ思い出話を人に語る男ではないか。

共に旅をするような相棒でもないかぎりは。

まあ、要は神々がワガママさせ放題で育てた大女神イシュタルでさえ“阿呆”と蹴り飛ばし、あらゆる宝具の原型(オリジナル)である財宝を持つと豪語し、こと英雄に対しては最高の有利性を持つ男。

地上でもっとも傲慢で冷酷な暴君。

それが英雄王ギルガメッシュと覚えておけばいい。」