これで因果はできた。その粘土板は、深淵より戻った我が無意識のうちに“視て”しまった光景を刻んだものだ。

第七特異点 絶対魔獣戦線 バビロニア

マーリン「ところで『天命の粘土板』はどうするんだい?

それを解読するのも重要な課題だった筈だけど?」

ギル「いや、我は読まん。

それは藤丸が手に入れたものだ。

藤丸が読めばよい。」

「自分が……? 読めませんよ?」

ギル「読まずともよい。

ただ盤面に手を触れ、こう唱えよ。

“都市があった(ウル・ナナム)、都市があった。

天と地の繋ぎ目(ドゥルアンキ)、■■(ギル)・カラの野原(エディン)”と。」

「……ウルナナム、ウルナナム………ドゥルアンキ……ル……エディン……」

(真っ白な視界)

???「私は見逃す事ができない。

このまま見過ごす事ができない。

彼の王の悪行を。

彼の王の残忍を。

多くの哀しみを見ていながら、何もせず、ただ薄笑いを浮かべていた、あの悪魔を。

故に、ここに残す。

この言葉が、いつか後に続く事を願って。

どのような時代、どのような国であれ、人の世には、多くの悲劇があった。

我が子を殺すもの。

我が子に殺されるもの。

恋を知らぬもの。

恋を捨てるもの。

裏切りに嘆くもの。

裏切りに生きるもの。

家族を知らぬもの。

家族を捨てるもの。

富を失うもの。

富に殺されるもの。

愛を知らぬもの。

愛を笑うもの。

成功を求めるもの。

成功を憎むもの。

信仰を守るもの。

信仰を嫌うもの。

同胞を愛し、異人を軽蔑し、叡智を学び、無知を広げ、怨恨を育て誤解に踊り差別を好み迫害に浮かれ憐みを憐れんだ。

なんと醜く悲しい生き物なのだろう。

だが、只人はそれでよい。

人間は万能ではないのだ。

みな苦しみを飲み込み、矛盾を犯しながら生きるしかない。

されど、万能の王であれば話は違う。

彼にはこれを解決する力も、手段もあった。

過去と未来を見通す千里眼を持ち、この世すべての悲劇、悲しみを把握していながら、その上で、何もしない王がいた。

ただ笑うだけの王がいた。

知らないのであればよい。

だが知った上で笑い続ける王がいた。

“それを知って何も感じないのか!

この悲劇を正そうとは思わないのか!”

私の訴えに、王はこう返答した。

“いやぁ、まあ。別に、何も?”

——この男を。

許してはならないと、私たちの誰もが思った。

我らの憤りをここに書す。

後に続くものの為に軌跡を残す。

神殿を築き上げよ。

光帯を重ね上げよ。

アレを滅ぼすには全ての資源が必要だ。

アレを忘れるには全ての時間が必要だ。

——終局の特異点への道を探せ。

そこに、魔術王の玉座がある。

その宙(ソラ)の名はソロモン。

終りの極点。

時の渦巻く祭壇、始原に至る希望なり——」

マシュ「マスター!?

大丈夫ですか、顔色が真っ青ですが……!?」

「——酷い夢を、見ていたような——」

ギル「……その顔では明確な答えはなかったようだな。

だがこれで因果はできた。

その粘土板は、深淵より戻った我が無意識のうちに“視て”しまった光景を刻んだものだ。

魔術王を名乗る男……

人理を焼却した何者かを探る、数少ない手がかりだ。

いずれ、いま垣間見たものがなんで在るか、理解できる時が来よう。

それまでは頭の隅にでも留めておけばよい。

いずれ嫌でも対面する時が来るのだからな。」