どうか晴れやかに。笑顔なき者に大義は訪れません。生前の私——源義経にそれはなかった。

第七特異点 絶対魔獣戦線 バビロニア

ティアマト「不可解だ。

不思議な話、というものを初めてしたぞ。

そのような脆弱さ、そのような生命力で、まだ五体があろうとは。

道理が合わぬとはこの事よ。」

マシュ「ティアマト神、損傷が見当たりません……!

なんとか傷をつけても瞬く間に再生します……!

あれがメソポタミアの創世神話における、魔獣の母の権能なのでしょうか……!?」

マーリン「いや。

あれは女神としての権能じゃない。

聖杯の魔力提供による回復だ。

いま確認したとも。

魔術王の聖杯は、あのサーヴァントが持っている……!」

ティアマト「ほう。

目利きが効く者もいるようだ。

確かに魔術王めの聖杯は私が預かっている。

だが侮るな。

私は聖杯の魔力なぞ使っておらぬ。

この身は魔獣の女神として現界したもの……

人間どもの殲滅に余所の力など借りるものか。

我が力、我が憎しみ、我が怒りだけで、貴様らを三度滅ぼすに余りあるわ!」

ロマニ「っ、女神の権能だけでも歯が立たないのに、切り札の聖杯まで所有しているのか……!」

ティアマト「さて……

不思議の筋は十分に堪能した。

泣きながら死ぬがいい。

戯れはここまでだ……!」

「逃げるぞ、みんな……!」

マシュ「ニップルの門まであと100メートル……!

でも……

だめ、大きさが違いすぎる……!

手を伸ばすだけで追いつかれる……!

せめて、先輩だけでも……!」

牛若丸「いえ、よくぞ持ちこたえた!

後はお任せを、マシュ殿!」

マシュ「う、牛若丸さん!?」

「牛若丸!?」

牛若丸「振り返らず、門まで走り抜けくださいませ!

あの怪物の足止めは私が!

(走り去る音)

それで良し、です藤丸殿。

どうか晴れやかに。

笑顔なき者に大義は訪れません。

生前の私——

源義経にそれはなかった。

故に、戦に勝とうと最後まで負け続けた。

貴殿には、そのような結末は似合いませんとも。」

ティアマト「——小虫が一匹増えたか。

目障りだ、潰れるがいい!」

牛若丸「笑止!

宮本某ではあるまいに、その図体で虫が掴めるか!」

(華麗に飛び回る音)

ティアマト「!

貴様、我が尾の上を……!」

牛若丸「その蛇身が仇になったな!

遮那王流離譚が二景、薄緑・天刃縮歩!

——御眉間、貰った!」

ティアマト「ぐっ、我が顔に刀傷など……!

許さぬ、消えよ!」

牛若丸「(これは……

どうしようもないな。

舟がなければ空も駆けられない。

箸で掴むのは達人技だが、はたき落としであれば熊でも政子様でも出来るというもの。

しかし、最期が蛇の尾の一撃とは。

私の武運も、ほとほと格好がつきませんね——)」