新しいものが出来た時、“より良いもの”でなくなったものは、どうすればいいのでしょう。

第七特異点 絶対魔獣戦線 バビロニア

アナ「…………………………………。

……その、ありがとうございます。」

「こちらこそ」

アナ「……はい。

そういうところが、藤丸の最大の長所だと指摘します。

森で出逢ってから今まで、アナタは何も訊かないでいてくれました。

こんな怪しいサーヴァントを何も言わず信頼するとか、それはそれで怪しいのですが。」

「ウルクは楽しかった?」

アナ「それは…………

………………いいえ、別に。

私は、人間が嫌いなので。

……人間は頭のいい生き物です。

動物のように一つの手段に留まらず、多くの“もしも”を模索します。

アナタたちは“より良いものを選ぶ生き物”。

だから、人間たちの街が変化に富んでいるのは当然です。

でも……

新しいものが出来た時、“より良いもの”でなくなったものは、どうすればいいのでしょう。

忘れ去られるだけならいい。

使われなくなるだけでも、“普通のもの”になるのもいい。

なのに、人間たちは“悪いもの”として排斥しようとします。

それが残っていると、“新しいもの”の利益にならないからと。

……あのお婆さんも、そういう扱いを受けていました。

日の当たらない家の中で、枯れた花を守っていた。

……はじめは仕事だったからお手伝いしただけです。

なのにあんなに嬉しそうにして、たくさんの話を聞かされました。

もう目も見えなくなっていたのに、彼女は穏やかだった。

寂しさを抱えていても、決して口にしなかった。

……私をお孫さんのように扱って。

いっしょに、バターケーキを食べてくれました。

美味しいね、って。

……彼女にはもう、味は分からなかった筈なのに。」

「それはきっと、本当に美味しかったんだよ」

アナ「……そうだったら、私も嬉しいです。

お婆さんにさよならは言えなかったですが。

……?

なんですか藤丸。

荷物袋を漁って……

それは?

花飾り……

私にですか?

これは——

あの花屋の……。

お婆さんが私に?」

「将来は街一番の美人だって」

アナ「……それは有り得ません。

私は、この姿から成長する気はありませんから……

……私は、人間は嫌いです。

でも、やっぱり温かい。

ウルクの市は、私の夢でした。

人間に優しくされたい。

人間に優しくしたい。

こうなりたかった。

こうであったら良かったという、昔の私の。

それは大人になった私……

成長してしまった私には、もう思い出す事もない夢でした。

……花飾り、ありがとうございます。

でもこれは受け取れません。

藤丸が持っていてください。

私には、着ける資格がありません。

……あのお婆さんのお孫さんは、この北壁で魔獣に殺されているのですから。

……夜明けと共に出発し、ゴルゴーンを討ちましょう。

そのために私はここにいます。

……でも。

この旅で、少しだけ理由が変わりました。

以前の私は自分のために戦っていましたが——

今は、ウルクの人々のためにも戦います。

それが私に出来る、最低限の贖いです。」