そういえば、こんなものが余っていたな。使う機会を逸してしまった。棄てるのもなんだ。貴様にくれてやろう。

第七特異点 絶対魔獣戦線 バビロニア

キングゥ「……ここが……

天の丘……

……馬鹿みたいだ……

最期に、なんで——

こんな場所に、来たんだろう。

この体が、鮮明に記憶していた場所。

……はじめての友人を得た、誓いの丘……

……無意味だ。

こんなところも、ボク自身も。

……何もかもを失った。

もう機能を止めてしまえばいい。

創造主に見捨てられ、始めから、帰る場所なんてどこにもなかった、ただの偽物、なんだから。

(近づいてくる足音)

ギル「何をしている。

立ち上がらぬか、腑抜け。」

キングゥ「……!」

ギル「まったく。

今宵は忙しいにも程がある。

ようやく人心地つこうと思えばこの始末。

無様に血をまき散らし、膝を屈したまでは見逃そう。

だが、ここで屍を晒す事は許さぬ。

疾く立ち上がり失せるがいい。

そうであれば罪は問わぬ。」

ギル「どうした。

立てぬのか。

それでも神々の最高傑作と言われた者か?

何があったか知らぬが、胸に大穴なんぞ開けおって。

油断にも程があろう。」

キングゥ「な、にを、偉そう、に……!

オマエに、見下される、ボクなもの、か……!

(立ち上がろうとするも崩れる)

く、そ……!

こんな……

こんな、ところ、を——

オマエに——

オマエなんかに、見られる、なんて……!」

ギル「…………ふん。

そういえば、こんなものが余っていたな。

使う機会を逸してしまった。

棄てるのもなんだ。

貴様にくれてやろう。」

(聖杯のあらわれる音)

ギル「ほう。

聖杯を心臓にしていただけはある。

ウルクの大杯、それなりに使えるではないか。」

キングゥ「ど、うして——

なぜ、なんでこんなマネを!?

ボクはオマエの敵だ!

ティアマトに作られたものだ!

オマエのエルキドゥじゃない……!

ただ、ただ違う心を入れられた、人形なのに……!」

ギル「そうだ。

貴様はエルキドゥとは違う者だ。

ヤツの体を使っている別人であろう。

だが。

そうであっても、貴様は我が庇護の——

いや、友愛の対象だ。」

キングゥ「————。」

ギル「言わねば分からぬか、この大馬鹿ものめが!

たとえ違う心、異なる魂があろうと!

貴様の体(それ)は、この地上でただ一つの天の鎖!

……フン。

奴は己を兵器だと主張して譲らなかったがな。

その言葉に倣うのなら、我が貴様を気にかけるのも当然至極。

なにしろ、もっとも信頼した兵器の後継機のようなもの!

贔屓にして何が悪い!

(歩き去る音)

ではな、キングゥ。

世界の終わりだ。

自らの思うままにするがいい。」

キングゥ「待って……

分からない。

それは、どういう……」

ギル「母親も生まれも関係なく、本当に、やりたいと思った事だけをやってよい、と言ったのだ。

かつての我や、ヤツのようにな。

すべてを失ったと言っていたが、笑わせるな。

貴様にはまだその自由が残っている。

心臓を止めるのは、その後にするがいい。」

キングゥ「——何を——今さら。

ボクには、成し遂げるべき目的なんて、なかった。

自由なんて——

選択する、自分(ちせい)もないのに——」