人間は、俺にとって守る対象だったんだ。 だから、寄り添わなかった。 ————最後まで、俺は、ひとりだった。

幕間の物語(男性鯖)

アーラシュ「あんまり背負い込みすぎるなよ。藤丸。

レイシフトできるマスターはおまえだけって話だが、まあ、何だ。

個人が受け持てるモノなんざ、どうしたって限りがあるもんだ。

おまえには、契約したサーヴァントたちがいる。

カルデアにはロマニもいるしダ・ヴィンチもいる。

それに——マシュがいる。

あれは、おまえさんを何より心配してくれる相棒だ。

だから、自分だけで何でもやろうとするな。

きつい時は弱音を吐け。

おまえは、ひとりで戦ってる訳じゃないんだ。」

「……それは、アーラシュ自身の経験から?」

アーラシュ「——そうかもな。

俺がまだ、地上で生きていた頃にな……

俺はひとりで何もかもを為そうとした。

救おうとした。

この目に見えるもの、すべてを。

殺される奴、殺す奴、奪われる奴、奪う奴。

すべてだ。

俺の千里眼が捉える、地上の人間すべて。

……世界を、救おうとした。

あの頃、世界はまだ狭かった。

だから俺は、できるかもしれない、と思い上がった。

俺は、神代の残り滓がカタチになったものだ。

ただの人間より頑丈だし、神秘ってのを備えてもいた。

四肢。目。それに知識。

女神さまってのが俺に色々与えたんだそうだ。

俺は戦った。

竜殺しの末裔である王の下で、ひとり……

戦い続けた。

何十年と続いた戦争を、終わらせるために。

俺の王の国も、敵方の国も、どっちもすっかり疲弊してたんだ。

ひどい有り様だった。

もう、殺し合いなんざ、誰も望んじゃいなかった。

だから終わらせた。

俺が。

王の民も、敵方の民も、全員がやめたいと思ってたものを、そうだな……

俺は、最後のきっかけを作ったんだ。

…………ひとりで、それをした。

王は俺に気を遣ってくれたが、結局のところ、俺に、配下はいても仲間はなかった。

肩を並べられる相手ってのは、何処にもいなかった。

俺自身もひとりを選んだ。

人間以上で生まれちまったからには、それが当然だ。

なぜって?

そりゃあ簡単だ。

人間(みんな)は、俺にとって守る対象だったんだ。

だから、寄り添わなかった。

————最後まで、俺は、ひとりだった。」