いずれも磨羯の宮におわすはずの太陽と土星、二つの天体の関係に、ごくわずかなずれが。

幕間の物語(女性鯖)

ジル(キャスター)「いえ、わたくしはマスターに所用がございまして。

少々、よろしいですかな?

お耳に入れておいたほうが良いお話が。」

シバの女王「まあ、それはまた奇遇なる——

実は私もです。

……いえ、これは必然ということでしょう。」

ジル(キャスター)「なんと——。」

「……不吉な“星辰”の刻が近づいている?

それは吉兆の予言……てこと?」

ジル(キャスター)「さようで。

土地柄、晴天に恵まれることのまれなこのカルデアですが——

現代の光学機器やネットワァクを駆使すれば、天体の観測は可能。

魔術に造詣の深い、優れた技術者も配されております。

……されど、そんな彼らでも気づかぬ星の和合と乱れがあるのです。

いずれも磨羯(まかつ)の宮におわすはずの太陽と土星、二つの天体の関係に、ごくわずかなずれが。

そもそも、星の運びはあらゆる叡智をもっても、完全なる予測はかなわぬものですゆえ。

なんらかの異変が迫りつつある……と、わたくしは結論いたしました。」

「シバの女王は予知を……? 女王さまも星に詳しかったんだ?」

シバの女王「あら、意外ですかぁ?

私もまた星々の智慧の恩恵にあずかる者ですよぉ?

星を占う術は大洋を航海する海の民、そして——

夜を友に旅をする砂漠の民から発祥したものですから。

当代の学者がたは否定なされるでしょうが、星の運びは経済とも密接に結びついていますもの。

……先ほどは、ちょっと邪魔が入りましたけれど、私もまた、マスターにご報告しようかと案じていたところでした。

ジル・ド・レェさんもまた、同じ結論に至ったということならば心強いです。」

ジル(キャスター)「……わたくしめには、そうは思えませんが。

懸念が一層深まりましてございます。」

シバの女王「あっ……で、ですよね。

ごめんなさい私ったら。えへへ。」

「ダ・ヴィンチちゃんに警戒態勢を進言しておくよ」

シバの女王「……ええ。

それがいいでしょう。」

「ふたりとも、ありがとう」

ジル(キャスター)「——では、わたくしはこれで。」

「あ、ちょっといい?」

シバの女王「……私です?

——ああ……彼女(アビゲイル)について、ですね。

はい——

時折ですが、彼女が私の名を誤って呼ぶことがあるのは存じています。

その習慣が、彼女の生前の記憶に由来することも。

ここのところ少しばかり頻繁になってきたかもしれませんね。」

「どう思う? なんとなく心配なんだけれど」

シバの女王「そうですねぇ……。

先ほども彼女に直接伝えたように、気に留めることでは無いかと。

彼女を見守る良き友人たちも周囲におります。

率直に言えば、カルデアの一サーヴァントたる私めには負いかねる負いかねる領域でもありますしぃ。

ですが……。

あなた様が気に掛かる、というのでしたら、それにはきっと意味があるのでしょう。

ならば——マスター。

ここは、契約者であり、魔術師である、あなたご自身の出番かと存じます。

努めても尚、お困りのことがあれば、またご相談に乗りましょう。

ともあれ、ここ数日は星辰の件をお忘れなきように。

くれぐれもご用心……。」