私には、どこまでも平坦な空と大地だけが在る。感情も目的もないまま整地された星の終わりだ。

幕間の物語(女性鯖)

アルテラ「……待っていた。

お前が来るのを、待っていた。藤丸。」

「ここ、どこ? ……もしかして、夢の中?」

アルテラ「ああ。

勘がいいな、マスター。

断言はしない。

だが、ある程度の推測は可能だ。

ここは——私の中だ。

物理的な意味合いではなく、精神的なものだ。

私の中。

やはり断言はできないが、私の記憶。

フンヌの大王として戦った、この、私の。

……英雄としての私の記憶の中だ。」

「英雄としての? よく、意味がわからない」

アルテラ「言葉通りだ。

破壊の大王、アッティラと呼ばれたアルテラ(わたし)の記憶。

物言わぬ機械のように、物思わぬ機械のように、ただ、目前の文明を破壊し続けた者。

私の記憶だ。

だから、ここには……。

……何も、ない。

私は、人のようには考えなかった。

感じることもしなかった。

考えられなかったし、感じられなかった。

……おまえには、この景色(わたし)はどう映る?

私には、どこまでも平坦な空と大地だけが在る。

感情も目的もないまま整地された星の終わりだ。

おまえには……きっと、おまえが見た中でもっとも近い風景に映るだろう。

見え方は異なっているかもしれないが、この暗がりの荒野が、私だ。

記憶を見ているはずなのに、何もない。

友もなく、家族もなく……。

誰の声もない。

ただ、風だけが吹き荒ぶ。

……ふふ。からっぽだ。

あれだけの多くの仲間たちを率いておきながら、誰一人として、私の記憶(なか)にはない、なんて。」

「静か、だと思う。これはこれで落ち着くよ」

アルテラ「優しいな、おまえは。

いや、優しい、と言うのだろうな。

おまえのような人間を。

私は……。

……私は、命を壊したいと思ったことはない。

だが、いつも、視界に広がる文明を破壊し続けた。

矛盾しているだろう?

だが、どうしてもこの道を選んでしまう。

この星の生命の絶対原則——

生存目的が繁殖であるコトから、私は外れている。

私の根底に刻まれた厳守は“破壊”なんだ。

進んで殺したくはない、でも、壊したい。

結果として人は死ぬ。

多くを殺した。

大地は常に真紅に染まっていた。

……それでも。

私に残されたものは、この暗い荒涼、そして。

そら——

来たぞ。」

???「————。」

アルテラ「何もない、と言ったが正しくなかったな。

ああいうものが在る。

名も定かならぬ、顔なき者ども。

私が戦い、命奪った者たち。

……個体としての認識もせずに、ただ戦い、殺した。

さあ、力を振るう時がマスター。

召喚システムとやらが機能すればの話だが。

死にたくなければ、戦う他にない。」

(中略)

アルテラ「……大したものだ、マスター。

少し、見直したぞ。

立ち竦みでもするかと思っていたが。

私は、お前の在り方をみくびっていたようだ。

藤丸、世界を救おうとする者よ。

……そろそろ、戻れ。

ここは、お前が居続けるには相応しくない。

私だけでいい。

ここは——。

——この暗がりは、私のものだから。」