これだけの宝物庫だ。見たこともないようなあまうまーい菓子もあるに違いない。…もちろん、それも酒呑のためだぞ。

幕間の物語(女性鯖)

茨木童子「喧しい。……臭う。

あちらだな。」

ロマニ「まさかのお膝元、王宮の中に脅威が潜んでいるなんて……とても信じられない。」

茨木童子「…………?

汝らは何かを勘違いしているな。

吾が捜しておるのは宝物庫だ。」

ロマニ「…………。

ええええええっ!?

何度も言うが喧しい。

縊り殺すぞ。」

マシュ「わたしたちはてっきり、その、さっきの延長上にあるような何かをするのかと!

こう、鬼の頭領らしい使命感からの後片付けとか、そういうの、で……。」

茨木童子「……?

これは実に鬼の頭領らしい動きであろうが。

鬼とは、奪い喰らうが当然のものぞ。」

マシュ「し、しかし先程は、この都は襲わないと……。」

茨木童子「都自体はな。

それは無論だ、吾一人では手が足りぬ。

だが宝に手を出さぬと言った覚えはない。

何よりも——

酒呑に土産を持って帰ってやりたいのだ。

この御所の宝物庫ならば、平安の京など比べ物にならぬ宝が収められているだろう。

酒呑が喜ぶ酒……

酒呑に似合いそうな髪飾り……

酒呑の美しさをより引き立てる着物……

それから、これだけの宝物庫だ。

見たこともないようなあまうまーい菓子もあるに違いない。

……もちろん、それも酒呑のためだぞ。

先に吾の舌で毒見はせんといかんがな、うむ。

くくくく——

……風呂敷に入りきるだろうか……?」

???「珍しい臭いがすると我自ら出向いてみれば。

これはまた、堂々とした賊よな。」

ロマニ「やっぱり出たー!

ん、あれ、でも……。」

マシュ「そうです、ドクター、ギルガメッシュ王は……。」

ロマニ「こ、ここにいるのは、人間なのか、幽霊なのか、サーヴァントなのかな!?

ええと……?」

ギル「たわけ!

ここは我の都、我の城、我の宝物庫。

その宝物庫を狙う珍獣見物に、座からだろうが冥界からだろうが、我がここに現れるのは至極当然!

不思議なことは何もあるまい!」

「これはきっと深く考えちゃいけないやつだ!」

マシュ「と、とにかく言い訳をさせてください英雄王。

これには事情が——!」

ギル「やかましい、聴くに能わぬわ!

事が事だ、貴様らと言えど全力で控えるがよい!

……とはいえ、トモエとの顛末は見届けた。

その働きに免じて、八割の無礼は許す。

都を流すのもよい。

我が宮殿にこっそり忍びこんでもよい。

だが我の宝物庫を曝くのであれば情けはない!

それは無礼ではなく既に無法、我の怒りに触れるものと知れ、たわけ!」

茨木童子「金色の男……

ただでさえ苦々しき色。

そのうえにこの圧、只者ではない——!

……あと、何だ。

微妙に見覚えがある気がするというか、そわそわと落ち着かぬ気分になってしまうぞ。

居心地が悪いというか……

『これから叱ります』気配を出している母上の前に正座させられたときのような……?」

「ギルガメッシュ王に召喚されたイバラギン……牛若丸に脅されて逃げたんだっけ……」

ギル「貴様の敵前逃亡の罪、我は忘れてはおらん。

それはトモエを正しく終わらせた功とは別の話だ。

我が喚んだのは貴様ではない貴様ではあろうが、その仕置きも含めよう。」

茨木童子「うう、ううう……

知らん、知らんぞ!

知っておるような気もするが知らんぞ!」

ギル「カルデアのマスターも含め、知らぬ仲ではない。

それに免じ、この我が直々に、我の宝物庫を狙う愚かさに対する裁きを与えてやろう。

構えよ、馬鹿どもが!

死にたくなければ死力を尽くして耐えるがよい!」

マシュ「まずい、ですっ……

とりあえず全力で凌ぎましょう、マスター!」