私や私の内側を覗き込もうだなんて、やめなさい。——美しい蛇に噛まれるわよ?

幕間の物語(女性鯖)

フォウ「フォーウ!」

マシュ「はい、フォウさん。

この場所は、確か以前にも——」

エウリュアレ「ふふふふ♪

ええ、ええ、こういう場所にいたのね!

なんだか不思議。妙な気分。

でも、どこかに納得している私もいるみたい。

ええそう、ここなら!

そういうことがあってもおかしくないわ。

ここに、私(ステンノ)がいたのね。

ふふ♪」

「はい、女神さま」

ロマニ「そうだね。

彼女は確か『形のある島』と呼んでいたかな、第二の特異点探しの折に立ち寄った場所だよ。

彼女——いや、つまりキミと言うべきか、それともキミたちと言うのが正しいのかな。

ともあれキミとキミの姉妹、すなわちゴルゴンの三姉妹がいた島とは違う風景のようだね。」

エウリュアレ「ええ、とっても違う。

こことあそこは似ても似つかないわ。

それでも、海という共通点はあるのだけどね。

そう、私(ステンノ)、海にいたのね。」

「はい、女神さま」

マシュ「……先輩?」

フォウ「フォウ?」

エウリュアレ「ん? なあに?

ああ、そうね。

褒めてあげるわ、藤丸。

私を私(ステンノ)のいた場所へ連れてきてくれて、嬉しいわ。

とっても嬉しい。本当よ?

だから、ご褒美をあげるわ。

あそこの岩場に洞窟の入口が見えるでしょう——?」

フォウ「フォ、フォウ……。」

マシュ「あの洞窟は、ステンノさんに指示されて入った場所ですね。

危険な怪物が棲息、いえ、配置されていて。」

ロマニ「第二の特異点、つまりこの一世紀ローマを中心とした世界は既に修正されつつあるけど、うん、危険かもねえ。

まだあの幻想種がいるかも知れない。

近寄らないに越したことはないね。」

エウリュアレ「ん?

なあに? 聞こえない。」

ロマニ「えっ。」

エウリュアレ「私、気になるわ。

私(ステンノ)がどんな試練をあなたたちに与えたのか。

だから、ね?

お願い。藤丸♪」

マシュ「あの、それは——」

「はい、女神さま」

マシュ「せ、先輩?

どうされたんですか、先刻から様子が何か?」

フォウ「フォーウ、フォウウゥ……。」

ロマニ「この様子だと、これはあれかな、女神さまの権能的なアレにあてられちゃったのかな?」

マシュ「何かの神秘が行使されたのであれば、わたしも魔力を感知すると思うのですが……。」

エウリュアレ「おかしなことを言うのね、マシュ?

私は女神。

愛されるためだけに生まれた女神の一柱。

英霊、サーヴァントというかたちであっても、私の神核は変わらない。

だから……うふふ。

藤丸が私を好きになるのは当然なの。」

マシュ「……。」

エウリュアレ「なあに?

何か、言いたいことがあるって顔だけど?」

マシュ「い、いえ……。

わたしは別に……。」

エウリュアレ「あら。本当に?

本当にそれでいいのね?

へえそう、そうなんだ。ふふ。

人間にしたは可愛いわ、あなた。

マシュ・キリエライト。」

「はい、女神さま」

マシュ「せ、先輩!?」

フォウ「フォーウウゥゥ……。」

ロマニ「あーもうこれは……洞窟に入る流れだね……。

あそこの洞窟、宝箱も何もないのになぁ。」

(中略)

エウリュアレ「なんだか変なヘビもいたわね。

ヘビなんて十分に間に合っているのに、もう。」

マシュ「?

間に合っているんですか?」

エウリュアレ「あ——コホン。

いいえ、何でもないのよマシュ。

それより、この洞窟って浅いのね。

もう行き止まり?」

ロマニ「まーガチの迷宮だったら流石に反対してますよ女神さま。

お姉さまが試練を手加減してくれて本当に良かった……。」

エウリュアレ「ふうん。

……あった。

そういうことなのね、私(ステンノ)。」

フォウ「フォウ?」

マシュ「どうしました?」

エウリュアレ「……なんでもないわ。

確認できたから、もういいの。

帰りましょ?」

マシュ「??」

フォウ「フォウ?」

ロマニ「え、なに?

何かあったの?」

「何か、見てたよね?」

エウリュアレ「何でもないったら——

ああ、もう。

藤丸まで一緒になってー。

あなたたちは気にしないでいいの。

ちょっと、ね。

見付けて当然のものを見付けただけよ。

私(ステンノ)が私に残したメッセージ。

もしくは、私(ステンノ)があの子に残したメッセージ。

何でもないのよ。

本当にね。

もしも何かの偶然や、奇跡があって、同じ時代に私やあの子が現界することがあったら。

そんなことは有り得ないだろうけど、有り得たとして……

でも、すれ違ってしまったら。

そんな時のための、私(ステンノ)からの、一言だけのメッセージ。

私(エウリュアレ)は変わらずにいてね。

あなた(メドゥーサ)も、きっと。

……って、何を言わせてるのよ。

生意気な人間ね。藤丸!」

「すいませんでした、女神さま」

マシュ「先輩、また!?」

フォウ「フォーウ!!」

ロマニ「ある程度の耐性があるはずなのに、簡単に引っ掛かっちゃうんだから凄いなあ女神さま。」

エウリュアレ「当然でしょう?

私は女神。

私たちは、誰からも愛される存在。

だから、愛していればいいの。

せいぜい焦がれなさい。

私や私の内側を覗き込もうだなんて、やめなさい。

——美しい蛇(メドゥーサ)に噛まれるわよ?」