ありがとう、キングゥ。君は確かに人であり、英雄だった。…人と大地と空を繋ぎとめた、気高き魂に感謝を。

幕間の物語(男性鯖)

「ラフムが群がってる……物凄く大きな……金の鎖の欠片……?」

ダヴィンチ「間違いない。

これは……ウルクの決戦の時に、ティアマトを一時的に足止めした鎖の欠片だ。

推測混じりだが、こう言い換えてもいいかもしれない。

かつて、キングゥだったものの成れの果てだと。」

エルキドゥ「なるほど、僕が気配感知できないわけだ。

僕の身体の一部なんだからね。

この周りは僕の肉体と同じ魔力で覆われている。

ラフム達の気配もそれに覆い隠されていたわけか。」

イシュタル「ええ、あの鎖に、ちょっとした家屋ほどの肉片が絡み付いているのが見えるでしょう。

あれはティアマトの身体の一部よ。

それをあの鎖はまだ抑え込もうとしているみたいね。

抵抗する形でラフムを生み出してはいるけれど……。

時代が修正されたせいでしょうね。

今は鎖の力の方が強い。

もうすぐ肉片も消滅して、役目を終えた鎖……

キングゥの身体の残滓も完全に消滅する事になるわ。

ポンコツとは違ってキングゥには強い恨みは無いからね。

せめて最後まで見守ってあげてもいいと思ったんだけど。」

「……せめて、楽にしてあげよう」

イシュタル「はいはい、本当にお人好しね、アンタ達。

でも解ってる?

下手に刺激をしたら、肉片が最後の力で暴走する。

そうなれば命の保証はできないわよ。」

エルキドゥ「大丈夫だよ。

マスターは僕が守ってみせる。」

ナーサリー「わたしたちもいるのだわ!」

メフィスト「おやぁ?

いつの間にやら神殺しの頭数に入れられているようですよ?

如何なさいますアラフィフ老?

もちろん私としては『準備万端ビシバシドカン、愉快痛快神コロ君は』というテンションなわけですが! フハッ!」

モリアーティ「ああもう! 

だから嫌な予感はしてたんだ!

まあやるけどね!

ここまで来たからには!

……女神の残滓を消滅させるなんて、罰当たりである意味、私とメフィスト君にピッタリの汚れ仕事だからね。」

エルキドゥ「……みんな、ありがとう。

そして、キングゥ。

僕は本当に尊敬するよ。

君がその姿になってまで、信念を貫き通している事を。

あとは全て引き受けた。

いや……引き受ける事を、許して欲しい。」

マシュ「ラフム達が気付いたようです!

気を付けて下さい、先輩!」

ダヴィンチ「どうやらティアマトの肉片も君達に気付いたらしい。

取り込まれないように気を付けてくれたまえ!」

(戦闘後)

マシュ「ティアマトとラフム達の反応、消失していきます!」

ラフム「…………っ! ………………!!」

エルキドゥ「……最後まで母の身体を護ろうとして君達の行動は、尊い。

だけど、僕は僕の都合の為にそれを踏みにじった。

君達が呪うべきは人類でもマスターでもない。

何者にもなれないのに邪魔をした僕を恨むといい。」

ラフム「(訳:…………われわれ ははと ともに つちに かえる

……あわれもう ……せかいわ ……うらめない)」

(消滅する音)

エルキドゥ「……ありがとう、感謝するよ。

……ああ、そうだね。これは感謝だ。」

ダヴィンチ「どうしたんだい、エルキドゥ君。

キングゥの鎖の前に立って。」

エルキドゥ「御礼を……言いたくてね。

……ありがとう、キングゥ。

君は確かに人であり、英雄だった。

……人と大地と空を繋ぎとめた、気高き魂に感謝を。」

「鎖の欠片がエルキドゥに吸い込まれた!? 合体したの!?」

ダヴィンチ「落ち着きなよ。

元々同じ肉体なんだ。

吸収したって不思議じゃあない。」

エルキドゥ「ああ……

足りなかったパーツが戻って来たような感覚だね。

僕の霊基に、鎖を同調させて取り込んだんだ。

同時に、キングゥの霊基の一部も流れ込んできたよ。

もしかしたら、いつかキングゥとしての側面も僕自身の霊基として表れるかもしれないね。

時々眼が青くなったりするかもしれないけれど、それもエルキドゥという肉体に宿ったシステムの一部だよ。

……それに……キングゥの心も少し流れ込んできた。

彼がどんな道を歩んで、果てに何が起こったのかも……。

……。

ギルは本当に、この時代で良き王になったんだね。

なんだか少し安心したよ。」

モリアーティ「ふむ……。

心做しか、確かに君の霊基の質が変化したように感じられるね。」

エルキドゥ「僕のシステムと世界の繋がりが、少しだけ変化したかな。

僕の気配感知の力は、精神を研ぎ澄ますわけじゃない。

世界と一つになって、違和感を炙り出すシステムなんだ。

キングゥの遺した『遺産』と物語を受け継いだ今、僕はより深くこのカルデアに連なる世界と一体化できた。

今なら、存在そのものを世界の中に溶けこませられるよ。

一瞬だけなら敵の攻撃を避けたりできるかもしれないね。」

「キングゥから受け継いだ力……」

エルキドゥ「実際に使えるかどうかは、霊基がどれだけカルデアとマスターに馴染んでいるかにもよるだろうけれどね。」