ギルは、そんな強い民を育てた王になった…。そう思うだけで、僕にとってはギルと会って話をしたのと変わらないんだ。

幕間の物語(男性鯖)

エルキドゥ「なんにせよ、これでこの時代の不具合は修正された。

カルデアに帰ろう、マスター。」

イシュタル「えッ?

あんた、アイツ……ギルガメッシュとは会わないの?」

エルキドゥ「……。」

イシュタル「あの馬鹿、冥界からだろうと座からだろうと、ウルクの宝物庫にでも忍び込めば一発で飛んでくるわよ?

それ以前に、あんたが会いたがればすぐに顔を出すでしょうに。」

エルキドゥ「ああ、会えたなら嬉しいね。

でも、この時代の彼は僕と別れた後のギル……。

つまりは、『王』としての存在だ。」

マシュ「その事でエルキドゥさんへの対応を変えるギルガメッシュさんだとは思えませんが……。」

エルキドゥ「ギルはそうだろうね。

でも、この時代を生きる人々はそうじゃない。

僕が冥界からギルの魂を冒険の旅に連れていってしまうんじゃないかって。

いや、僕は実際、彼を連れ出してしまうかもしれない。」

「ウルクの人達は、そんなにヤワじゃないよ」

エルキドゥ「そうなのかい?

そうか……じゃあ、尚更会う必要はないよ。

ギルは、そんな強い民を育てた王になった……。

そう思うだけで、僕にとってはギルと会って話をしたのと変わらないんだ。

ああ、でも、ウルクの人達がそこまで強いなら、安心して僕はギルを旅に誘ってしまうのかもしれないね。

……いや、そうなる運命なら、僕やギルがどう思おうと、気付けばとっくに旅を始めている。そういうものさ。」

ナーサリー「なにかの謎かけみたいね。

でも、きっと素敵な旅になるのだわ!」

エルキドゥ「それはそうさ。

ギルと一緒の旅は退屈しないと思うよ。

この星の全ては彼の庭だ。

でも、ギルは庭を歩くだけで満足する程に殊勝じゃないよ。

この星を歩き尽くしたら、いつか宇宙の果てにまで向かうだろうね。」

「流石に宇宙船までは……」

エルキドゥ「はは、どうかな。

あの宝物庫は、それこそ人類史の縮図だ。

出てくるかどうかはギルの興味次第かもね。」

イシュタル「あんた、本当に素直じゃないわね。

昔から何を考えてるのか分からないし……。」

エルキドゥ「自分でも他人から理解されづらいとは思う。

でも、これが僕という存在(システム)なんだ。

それは、マスターにはちゃんと伝えておきたかった。

だから……どうか僕の事はただの道具だと思ってほしい。

マスターの思うように使い潰してくれる事を願うよ。」

マシュ「そんな悲しい事を仰らないで下さい。

先輩はサーヴァントを道具だなんて考えたりはしません。」

エルキドゥ「それはお勧めしないよ。

いざという時は僕を潰して自分が生き残る道を考えるべきだ。」

「人間と道具、両立したっていいじゃない」

エルキドゥ「……マスターは、本当にお人好しだね。

ギルとは全く違う方向だけど、ユニークな個体だ。

……いや、逆かな。

人間の基準値こそが君なのかもしれない。

だとしたら、そういう人間のサーヴァントになった事を、僕はとても得がたく思う。

唯一無二の親友の席はもう埋まっているけれど、道具として信頼してくれるなら、僕は最大限応えよう。

だからこそ、僕の事は使い潰してほしい。

それでこそ僕がカルデアに来た意味がある。」

マシュ「エルキドゥさん……。」