相手がいかな外道・悪鬼・羅刹、もしくはクマだったとしても——一方通行の愛はNGだと断言します!

幕間の物語(男性鯖)

オリオン「フハハハハ! 脱出成功!

うん、もちろんいずれカルデアに戻る身だから、おしおきはされるんだろうけどネ!

だがそれがどうしたァッ!

こちとらオリオン、名うての狩人(ラブハンター)!!

十秒先の死より一秒先の生を見つめる勇者なり!

あ、左側にりっしんべんとかつけないでネ!」

オリオン「おっと!

あそこに居るのはナイスでナイスなお姉さん!

後ろ姿でしか分からないが黒髪! 清楚!

これはもう、勝利したと考えていいのでは!?

いやっほー!

可愛い生物の振りして、抱きつくぜー!

我が身は可愛いくまのぬいぐるみ!

可愛い可愛いくまのぬいぐるみ!

ばーぶー、ぼーくーおーりーおーんー!!」

???「! チェリサァッ!!」

アルテミス「あっ!」

「どうしたの?」

アルテミス「女神的第六感が発動! 危険だわ!

ダーリンが、こう、ダーリンの、頭蓋骨が……。

ぐしゃっと陥没……。」

「すぐに助けに行こう!?」

アルテミス「そうね! 待っててダーリン!

今すぐに助けに行くから!

その後、どうして逃げたのかをじっくり話してくれると、アルテミスは嬉しいかな!」

マシュ「(アルテミスさん、オリオンさんを案じながらもそれはそれとして許さないんですね……)」

アルテミス「えーっと、女神的第六感によれば多分ここらへんに……。

あ!」

オリオン「キュゥ……キュゥ……キュゥ……。」

「オリオンが……可愛いだけの生き物に……」

アルテミス「しっかりダーリン!

今人工呼吸! 人工呼吸してあげるからね!

んーーーーぎゅーーーーー!!」

オリオン「キュビ!?

…………………………!?!?!?!?!??!」

マシュ「せせせ先輩先輩!

オリオンさんの顔色が凄いことに!

クマさんなのに! ぬいぐるみなのに!」

「(渾身の力でオリオンをブッ飛ばす)」

オリオン「たわばはぁっ!?

死ぬかと思った。むしろ死んだ。

頭蓋骨陥没で一回、その後の真空パックで一回。」

マシュ「ご無事で何よりです……。」

オリオン「マスター。

自分がどうして生きているのか不思議に思ったことは?」

「何度か……」

オリオン「お互い……つらいな……。」

マルタ「申し訳ありません……

獣のごときオーラをまとって襲い掛かってきたので問答無用で殴り潰してしまい……。」

マシュ「マルタさん……。」

マルタ「はい、分かっています!

分かっていますとも!

でもこちらの事情も分かっていただけるかしら!?

ほら、この姿だと私、普段では見られない攻撃性を発揮してしまうでしょう?

だから、つい……ごめんなさい!

ものすっごい反省しています!

祈りを倍に延長する程度に!」

オリオン「すげーよこの姉ちゃん。

俺、自分の中身が漏れ出ていく感覚初めてだったよ。」

アルテミス「初めて……。

ダーリンの初めてを奪うなんて!!

許さないわ、聖女といえども限度というものがあるでしょう!

ダーリンを傷つけていいのは、私だけなんだから!!」

オリオン「わーお、陽気な殺意に充ち満ちた発言です。」

「しかもあなたの奥さんです」

オリオン「へーこーむーわー。」

マルタ「え、えーと……

直接的な聖裁に出た私が言うのもなんだけど——

いえ、そもそも恋人同士夫婦同士の睦み合いに口や拳を出すほど野暮ではありませんが……。

ありませんが、アルテミス!

あなたの愛は、若干ばかり侵略行為!

そも、愛とは傷つけ合いながらも慈しみを以て営むもの。

相手がいかな外道・悪鬼・羅刹、もしくはクマだったとしても——

一方通行の愛はNGだと断言します!」

アルテミス「一方通行じゃないもの!

愛し合っているもの!」

オリオン「それより俺、外道、悪鬼、羅刹と並ばされたのが若干ショックなんだけど。」

マルタ「いいえ。

両思いであれば、妻帯した殿方が見境なく女性に声をかけるとか度しがたい事です。

オリオンはギルティだとしても、アルテミスにも何らかの改心が必要と見ました。

ギリシャの風潮を批判する気はありませんが、私も主婦の守護聖人と呼ばれた者。

アルテミス&オリオン!

その歪んだ一方通行、聖拳で悔い改めさせてあげましょう!」

「そしてついでにオレは、物理的に記憶を消されると……」

マルタ「あわよくばその通り!

大丈夫、藤丸には痛くしないから!」

(戦闘後)

アルテミス「くっ……頑丈!

ダーリン、手抜きしてない!?」

オリオン「してないよ!

戦闘にはマジメに取り組むからね、俺!」

マルタ「む……偏執狂的でも愛は愛、ですか。

そしてオリオンの態度からしても、一方通行の愛、という訳ではなさそうですね……。」

アルテミス「そうよそうよ!

私とダーリンはそーしそーあい? なんだから!」

マシュ「相思相愛……互いに思い、互いに愛する。

とてもそうは見えませんが……

いえ、でも確かに……

二人から感じるものは混線しきった愛情のような……

(こっそり移動するオリオン)

……たとえ同じ道でなくとも、一方通行であっても互いが互いを尊重しているのならそれはそれで……」

マルタ「……いえ、世の中には危険極まる一方通行の想いも確かにあるのですが……」

マシュ「それは、まあ。」

マルタ「……どうあれ、私の早とちりのようね。

理解しあう事だけが『愛』とは言えないもの。

申し訳ありません、アルテミス。

そしてクマリオン。

どのようなカタチであれ、愛は不変にして原初の感情。

大いに愛し、大いに喜びを分かち合うとよいでしょう。」

アルテミス「信仰は異なれど、愛はどこでも一緒なのね!

オリオン、私たちも目一杯愛し愛ましょう!」

マシュ「……おや?」

アルテミス「あれ?

頭が軽いと思ったら、ダーリンがいない?」

「さっきこっそり逃げていきましたよ」

アルテミス「…………。」