ここの運営は個々人の技量に依存したもの。特定の誰かを欠いた瞬間に瓦解するほどにな。

幕間の物語(男性鯖)

ギル「結論から言おう。

此度はすべて演習。

我が一切合財を差配した。

ロマニがレイシフトでカルデアを去ったかのように偽装し、職員たちを眠らせ、サーヴァント3騎を敵として手配したのだ。」

マシュ「は、はあ。

あの、どうしてこんな事を?」

ギル「藤丸の案内でカルデアの脆弱性はおおよそ把握できた。

言いたいことは山ほどあるが、特に人間だ。

ここの運営は個々人の技量に依存したもの。

特定の誰かを欠いた瞬間に瓦解するほどにな。

その事を誰もが分かってはいるものの、具体的な解決策、対応策を講じていなかった。

解決は……まあ、人理修復までは難しかろう。

人材の補充はないのだから。

となると、せめて対応策の一つも立てるというもの。

万が一に備えての心構え、というヤツだ。

故に、この演習で非常事態時のカルデアの挙動をあらかじめ推し量らせた。

魔術王とやらが、このカルデアに直接攻撃してくる事もあるかもしれぬ。

その時の備えとしてな。」

「なるほど……(王様、どことなく楽しそうだったのは……)」

ジャック「ねー、ねー。

王様、ご褒美は?」

ギル「あと少しだけ待て。

我が褒美を惜しんだことはない。

待った分だけ喜びが増すと思え。」

ジャック「はーい!

ナーサリーの分も、よろしくね!」

ギル「さて。

状況設定こそ緩めではあったが、貴様らは充分に働いた。

それこそ欠けた臓器を別の臓器が補うが如く。

この結果を知っていれば、まだ呑気に眠っている連中も目覚めたところで二度寝を決め込むことだろう。」

マシュ「そういえばパラケルススさんの薬というのは……。」

パラケルスス「繰り返しますが、疲れが取れるまで強制的に眠っていただくお薬です。

単発の服用なら強い副作用もありません。

気付けの薬も用意してましたが、必要はなさそうですね。

そろそろ彼らも目を覚ます頃合いです。」

ダヴィンチ「特異点では物騒な事を言っていたが?」

パラケルスス「あれは過剰投与すれば、という話ですので……。

演習とはいえ、私は藤丸に虚言は申しません。

……まあ、信じていただけなかったのは私の不徳の致すところですので、お気になさらず。」

ギル「現実的に脱落の可能性が高い者たちを我が選んだ。

貴様らがどう対応するのかを確かめておきたかったのでな。

トラブルの原因を分析し、レイシフトも成功させた以上、多少もたついたところを差し引いても及第点だ。」

ロマニ「そういう事だったのか……

やっと事情が分かったよ。

しかし、キミの老婆心も分かるが、やり方が強引じゃないか?

もしこのタイミングで魔術王が仕掛けて来ていたらどうするつもりだったんだい?」

ギル「その点は抜かりない。

緊急事態になればすぐ現状に復帰できるような手筈を整えていた。

貴様が眠っていたのも、そんな貴様を誰も見つけられなかったのも、全てマーリンの仕業だ。」

ダヴィンチ「ああ、やっぱりね!

あのダメキャスターなら笑顔で引き受けそうだ!

彼の幻術は人間はもちろん、電子機器すら欺くキング・オブ・詐欺師の魔術、カメラだって騙されるさ!」

ギル「だが演習で試したのはカルデアばかりではない。

雑種。

サーヴァントの裏切りを想定しないとは何事か。

人が好いにもほどがあるわ。」

「だって、それは前提条件ですよ?」

ギル「…………はあ。

どうやら、これに限っては我が愚かであったか。

阿呆には何を言っても無駄というヤツだ。

そこに思い至らなかった我も同類よ。」

マシュ「なにを仰います、ギルガメッシュ王。

ここはカルデア、人類最後の砦です。

戦うのも、敵対するのも、すべては人理を修復してからの話。

人間であれ英霊であれ、みなさん一つの目的の為に集まってくれたのですから。」

ギル「……まあ、そうよな。

そうでなければ我も呼ばれぬか。

よい、裏切りの話は忘れよ。

後は——うむ、そうだな。

時に雑種。

貴様の反応や決断、楽しませて貰った。

最善とはとても言えぬが、なかなかに味のある判断だ。

しかる後に思い返して、一人で反芻するが良い。」

ロマニ「話を聞いている限りではボクが一番得したのかな?

よく休ませて貰った上に、最高の夢まで見られて……。

夢の中でマギ☆マリが……ああ、駄目駄目。

プライベートライブのことは秘密だよ。」

ギル「寝ぼけるな。

それではまるでこの我が貴様のために手を尽くしたようではないか。」

ロマニ「おや、そうじゃなかったのかい?

いつもと違う夢を見るなんて、ボクには初めてだったけど?」

ギル「……ふん。我はもう寝るぞ。

何かあったら起こせ。いや、勝手に起きる。」

ロマニ「ああ、怒って出て行ってしまったか……

ま、すぐに機嫌を直すだろう。

あの王様はとにかく色々考えるからね。

いつまでも一つの事には拘らないさ。

それよりみんな、すまなかったね。

ボクがもう少ししっかりしていれば、すぐに目を覚ましたんだろうけど……」

ダヴィンチ「いいとも。

よく眠れたのならそれでいい。

こっちは君のありがたみを思い知ったところだしね。」

マシュ「はい。

ドクターがいないと困ります。

ここまでカルデアを引っ張ってくれた方ですから。」

「うん、これからも、ずっと一緒に。」

ロマニ「ああ。もちろんだとも。

僕たちは未来を取り戻す為に頑張ってきたんだから。

今回は迷惑をかけたけど、それでもお礼を言っておくよ。

ありがとう。

とてもよく休めた気がする。」

「マギ☆マリのおかげじゃなくて?」

ロマニ「うっ……そんなことはないよ。

ない筈……いや、少しはあるかな?

さ、それより今日の仕事納めを始めないとね!

もうじき夕食タイムだ、きっちり片付けて、みんなで食堂に行こうじゃないか!」