答えは決まっているでしょう。ここに映っている、美しすぎる妾と同じく—— あなたも美しいのだ、というコトです。

幕間の物語(女性鯖)

クレオパトラ「ええ、満足よ。

さあこの写真を見なさい、マスター。

これでもう分かりましたね?」

「理解が及ばなくてすまない……」

クレオパトラ「……もう。

口で言わなくては分かりませんか。

答えは決まっているでしょう。

ここに映っている、美しすぎる妾と同じく——

あなたも美しいのだ、というコトです。」

(頷くメジェド様?)

ゲオルギウス「……今までにさんざん、釣り合いが取れていない、というような言葉を聞いた気がするのですが……?」

クレオパトラ「それは『妾とマスター』の釣り合いの話ではありません。

『美しい妾と、それには及びませんが充分に美しいマスターと、その二者を受け止める背景』が釣り合っていない、という意味です。」

「えー。自分は美しくはないと思うんだけど……」

マシュ「……いいえ、先輩。

この写真を見れば、わたしもクレオパトラさんに心から同意できます。

この管制室にいる先輩と、クレオパトラさんと、スタッフのみなさん。

みんなが笑っていて——

そして、その中心に、先輩の笑顔があります。

上手く言葉で説明はできないのですが、感覚で、これはとても温かく、目映いものだと思えるんです。」

クレオパトラ「マスターは以前からそうでしたとも。

より正確には、妾を召喚した瞬間から。

しかし——当のマスター本人がどうもそれに気付いていない様子でした。

ならば、妾と並び立っている写真の一枚でも撮れば、『自分も美しいのだ』という事を実感として理解してくれるのでは、と思った次第です。」

ゲオルギウス「ふむ……

この騒動は最初から、マスターにそれを教えたいが為の事だったのですね。」

クレオパトラ「少し違います。

それは過程にすぎません。

本当に妾がマスターに言いたいコトはその先にあります。」

マシュ「?」

クレオパトラ「マシュが最初に言ったでしょう。

妾が部屋に来るなんて珍しい、と。それです。

つまり……………………。

どうして妾をもっと呼ばないのです

ええ、マスターはどうも妾に気後れしているというか、立場を計りかねている様子だと感じていました。

勿論妾は美しきファラオ、根本的な存在の格の違いというものがあるのは当然、気後れするのも仕方ないのですが。

それはそれとして、です。

もう一度、この写真を見なさい。

美しいクレオパトラと、それには及ばずともそれなりに美しいマスターがここに見えるでしょう。

だから自信を持ちなさい。

少なくとも、妾は自分に絶対の自信を持っています。

であるならば——

いくら顔が平凡で、行動が退屈であっても。

美しい妾を喚び出せる人間が美しくない筈がありません!」

マシュ「クレオパトラさんらしい、高飛車で無根拠な断言ですが……

言葉の中身は、なんだかとても、マスターの事を認めて、立ててくれるようなものですね。

いえ、今にして思えば、最初からずっとそうだったような……?」

ゲオルギウス「ふむ。

真に立場ある高貴なる美女というのは、そのように誤解を招きかねないわかりにくい形でしか人を褒める事ができないのかもしれませんね……。」

クレオパトラ「いいですか、藤丸。

アナタが凡庸で凡骨なのは分かりきっていますが、妾のマスターであるという一点だけで、それが既に他の凡庸なパンピーたちを軽く跳び越えるアドバンテージ。

だからアナタはもっと妾に気兼ねなく接するべきなのです。

お願いくらいは聞いてあげなくもありません。

無論、妾の絶対的な美に対して信仰が如き敬意を払うのは大前提ですが!

さあ、何か妾にしてほしいコトはないのかしら?

無力な人間らしく妾にブヒブヒと無様なおねだりをなさい!?」

メジェド様?「結局のところ——

彼女は『もっと自分を頼ってくれてもいい』という事を貴方に伝えたかっただけなのだと思いますよ。

ふふっ。

彼女は彼女なので、こういうやり方しかできなかったのでしょうけれど。」

「これからはもっと仲良くやれそうだ」

メジェド様?「はい。その言葉が聞ければ——

彼女とは比較にならぬほど不出来な先達である私が言うのもおこがましい話ですが、一安心です。

彼女はいろいろと誤解されやすい性格をしていますからね。」

クレオパトラ「おや?

何やら聞き覚えのある声がしたような……?」

メジェド様?「仲良キ コトハ 美シキカナ。

私ノ ヤクメハ オワッタ。

サラバダ。

ファラオニ 幸 アレ。」

(走り去る音)

クレオパトラ「ああっ、メジェド様!

お待ちになってください!

あなたのその美だけは妾も認める神の造形美!

というかぶっちゃけ大好きなので、ツーショット!

最後にツーショットをお願いできないかしらー!?」

(追いかける音)

マシュ「ふふ……

今までは、わたしも心のどこかで、クレオパトラさんに遠慮していたのかもしれません。

だって、女王で、世界一の美女で、ファラオなのですから。

でも今回の件で、あの方の事が少し分かった気がします。

言葉は回りくどいものかもしれませんが、きちんと認めてくださる人なのですね。

ある意味では、彼女はとても公平な方なのでしょう。

自分の中の絶対的な基準のみを信じ、それをけっしてブレさせない——

そんな、強くて潔い在り方。

ひょっとしたら、それが彼女の本当の“美しさ”なのかもしれませんね、先輩。」