絶対に諦めない事だけが取り柄の俺に、何を目指させるかは…お前さん次第なんだぜ?

幕間の物語(男性鯖)

コロンブス「俺が俺の事を何だと思っているか、って問われりゃあ……

こう答えるしかねぇよな。

俺は俺さ。

お前さんらに通りがいい名前で言うなら、クリストファー・コロンブス。

若ぇときはクリストーフォロ・コロンボで、エスパーニャじゃあクリストバル・コロン……。」

「ずるい! そういうんじゃなくてー!」

コロンブス「ハッハァ。

一応言ってはみたが、やっぱりこれで納得しちゃくれねぇか。

じゃあ続けよう。

今の立場だと……サーヴァントとしての俺がどういう意味で喚ばれたか、と考えたら分かりやすいかもしれねぇ。

俺が船乗りだからだから喚ばれたのか?

それとも商人だから、悪人だから喚ばれたのか?

そうじゃねぇだろう。

そんな型に嵌められて扱われるのがどうにもしっくり来なかったから、俺は会の誘いを断ったんだしな。

じゃあ結局、俺がなんでサーヴァントとして喚ばれたんだっつーと……

俺は、俺が夢を叶えたからだと思ってる。

諦めなけりゃ、どんなものでも絶対に夢は叶う、って真理を世界に証明してやったからだと思ってる。」

マシュ「でも……お言葉を返すようですが。

コロンブスさんはライダークラスでの顕現ですので、やっぱりこう、海賊とは言わないまでも船乗り感が強いのでは、とわたしなどは思ってしまうのです……。」

コロンブス「ハッ。

まぁ言葉遊びだがよ。

乗ってる乗ってないの話なら、逆にこう考えてみちゃどうだい——

俺は夢から降りなかったんだ。」

マシュ「…………!」

コロンブス「どんな困難があろうとも、どれほど他人を踏みつけにしても、どれだけ時間がかかろうとも。

進み続けてさえいれば目的地には必ず辿り着けるという自分の信念に、俺は死ぬまで乗り続けた。

ひょっとしたら、俺は——

そんなひっでぇ、“夢追い人”のサーヴァント、なのかもしれねぇな?」

マシュ「——なるほど。

それは……なんだか、新鮮な解釈ですね。」

コロンブス「ああ、いい機会だからついでに言っとこう。

俺の役割についてな。

いま言ったとおり、俺は夢を追いかける事しか能のねぇ男だ。

だけどよ、生きてたころの俺の夢はもう達成されてる。

今更大西洋を渡りたいわけじゃねえ。

じゃあ、サーヴァントとして喚ばれた今の俺は何の夢を追う?

何に向かってがむしゃらに突っ走ればいい?

夢追い人のサーヴァントに、夢を与えるのは……

多分、お前さんなんだぜ、マスター。」

「…………!」

コロンブス「ま、俺にも自由意志ってモンはあるからよ。

だいたい普遍的に価値のある金は追うし、行きたい場所を見つければ行きたいと思うし、したい事があればするだろう。

だが、それはそれとして、だ。

もしマスターが、かつての俺の西回り航路に匹敵するような『価値あるもの』を示してくれて——

それが、俺にとっての夢だとも思えれば

一緒だぜ。

諦めない俺は絶対にそこに行く。

もしお前さんが同じ船に乗ってるんなら、絶対に連れてってやる。

中身は人理修復でも、世界平和でも、逆に世界征服でも、なんでもいい。

絶対に諦めない事だけが取り柄の俺に、何を目指させるかは……お前さん次第なんだぜ?

誰がその結果を善と言おうが悪と言おうが知ったこっちゃねぇな。

俺は、俺が果たすべき夢だと思ったものに従うだけなんだよ。」

「……覚えておきます」

コロンブス「おう。

とにかく、今日はありがとさん。

んじゃな、また宝物庫とか行くときは呼んでくれや。」

(歩き去っていく音)

マシュ「ほんの少しだけ……コロンブスさんの事が、分かったような気がします。

世界を変えてしまうような事をしてしまったのに、それはあの人にとっては個人的な夢の結果でしかなかった。

だから、彼はその行為の……いえ、自分という個人の善悪も功罪も、あえて定めないようにしているのでしょう。

それは誰かの物差しでそう名付けられるだけの評価にすぎないから。

彼が従うのは、自分の物差しで測れる夢。

あくまでも個人的な欲望。

ですから——もし、わたしたちがそれに一致する正しい夢を用意できれば、コロンブスさんはとても強力な味方になってくれるのかもしれませんね。

逆に……間違った夢を提示してしまえば、やはり、悪人と見られかねない動きをする事になってしまうのでしょうけど。」

「うん。気をつけていこう……」