ああ、なるほど。見せるか。この夢は、私に—— 私の先に進んだ私を見せるかッッ!!

幕間の物語(女性鯖)

ゴルゴーン「確実に魔の気配が濃くなっている。

私にとっては心地良いものだが、貴様は——。」

「…………?」

ゴルゴーン「ち。平気か。つまらぬ。

退屈な道中、私を愉快な悶え顔で楽しませようという気概すらもないとはな。

知っているだろう?

私の好物は人間どもの苦しみだ。

人間の苦しみを見、人間の苦しみを聞き、人間の苦しみを味わいたいのが私だ。

そのときにこそ、私は恍惚と涎を垂らす。

獲物を喰らうにあたっての極上の調味料のようなものだ。」

「それは……復讐者(アヴェンジャー)、だから?」

ゴルゴーン「……異な事を言う。

それはただの、私という存在がサーヴァントとして召喚されたときに無理矢理当て嵌められたクラスに過ぎない。

だが、ああそうだ、その愚問のおかげで思い出したぞ。」

「……何を?」

ゴルゴーン「腹立たしさを、だ!

ああ、私は復讐者なのかもしれん。

復讐せよという衝動は確かにこの霊基の内に燃え盛る。

だが——何にだ?

具体的に、私がもっとも憤怒し怨嗟すべきは何なのだ?

それがわからぬから、腹立たしい。

結果、目に見える生きた全てを喰らい殺したくなる。

少なくとも腹は膨れるし、そこに衝動の相手がいれば胸がすくかもしれんからな。

くく、何に復讐すればよいかもわからぬ怪物とは——

その滑稽さと醜悪さ、貴様の使役する英霊達の中でも殊に傑出したものであろうな!」

「そんなことは………」

ゴルゴーン「——ちっ。

喋りすぎた。忘れろ。

それよりも、だいぶ魔の臭いが濃くなってきたぞ。

そろそろ何か変化があっても——」

「い、いきなり暗くなった!」

ゴルゴーン「騒ぐな。

ふん——

辛うじて見えてはいるが、見通せるほどではない、か。

この私の目でも見えぬ……私の中にある、暗闇……。

………………。

まあいい、とりあえず、だ。」

「そして何かに触られたーっ!?」

ゴルゴーン「騒ぐなと言った。

それは私の髪だ。掴んで離すな。

機嫌を損ねれば逆に貴様の指の一本でも囓るかもしれんが、必要経費と思って我慢しろ。行くぞ。」

「(冗談だと思いたい……)」

ゴルゴーン「——。先に、何か——

…………!

今の、は——

姉上、たち……。

そして、あれは——

私——!!

——待て。止めろ。何をする。

いや。おまえは、私に……

何を見せるつもりなのだ——!!

————!

……………………。

ああ、なるほど。見せるか。

この夢は、私に——

私の先に進んだ私を見せるかッッ!!」

「今の、は……」

ゴルゴーン「……一応、問うておこう。

貴様は何かを見たか?」

「いや。一瞬、ぼんやりと、しか——」

ゴルゴーン「そうか。それは幸いだ。

何かが見えたとしても、見えたような気がしたとしても、それについて私に問うな。殺す。」

「でも……そこにもう一人のゴルゴーンがいるのは今も見えてるよ」

ゴルゴーン「フン、あれについてはまあよかろう。

あれは私が夢でしか会えぬ私だ。

だからこそ。だからこそ、だ——

くく、くくくくく!

殺し甲斐があるな!」

「殺すの!?」

ゴルゴーン「当然だ。

奴こそがこの空間に氾濫する魔の中心。

私の身体が、衝動の全てが、奴を殺せと哮っている!

(——衝動。そう、衝動だ。

であるならば、やはり……

私は、そう在るのか?

あのように自身が成り果てるという結末に。

それを導いた人間に、世界に——

復讐せよ、と。

くく、ははは……!

知ったことか

よしんばそうだとしても、ならばやはり、私がすべきは変わらない。間違っていない。

喰らいたいものを喰らい、殺したいものを殺す。

それが私の在り方だ——)

ああ。自明だ。所詮、怪物には……

そうする事しかできぬのだろうよ!」