予感がしたからには止められないわ! これが終わったらいっぱいいっぱいごめんねするから! なので観念して付いてきて!

幕間の物語(女性鯖)

三蔵「朝ね!

——ではさっそく、GO! WEST!」

「西じゃなーい! 今回の微小特異点、異常の発生源はもっと北!」

三蔵「————。

ええ、確かにダ・ヴィンチちゃんからの作戦指示書にはそうあったわ。

でも信じて。いえ、ちょっと聞いて。

あたしやアンタもといきみ、そして人は理性だけで動くものではないのです。

きのう、きみをさんざん歩かせて、両脚の太股をムッキムキにさせて、虫のたくさんいる中で無理に野宿させる羽目になったのは事実です。

それはまことに申し訳ない。

探索と修行をごっちゃにしてはダメだものね。

あたしだってマスターに迷惑掛けたくない。

我が儘なお師匠様だって思われたくはないの。

でも。それでも。

——予感がしたからには止められないわ!

これが終わったらいっぱいいっぱいごめんねするから!

なので観念して付いてきて!

あたしは西へ行く!

行かなきゃいけないの。

だって、なんだか声がするんだもの!」

「声がする……? それって、一体」

三蔵「説明は不要、だってよく分かんないし!

とにかくGO! GO、WEST!!」

(走っていく音)

村の男性「ひいいいいい!!

か、か、怪物だ……北の高原に出たっていうやつだ!」

村の女性「助けて、助けてぇ!!

うちの子がまだ家の中に……

ああっ、怪物が来る……!」

三蔵「——そこまでよ!

間に合った。間に合った!

……いいえ、もしかしたら遅すぎたのかもしれない。

でも、まだこの村は滅んだりしていない。

良かった! 

あとは誰かがこの怪異を追い払うばかり!」

「もしかして、ここに怪物がいるって分かって……?」

三蔵「話はあとで!

今は何より、村を襲わんとする怪異を止めるわ!

こらー! 

そこの四つ足の獣、村人を食べようとしない!

お釈迦様はかつてこう仰ってるわ。

すなわち——

(怪物の咆哮)

……もうっ! ありがたい御言葉なのに!

言の葉を、聞かぬとあらば仕方なし!

人の子を、喰らうとあらば仕方なし!

生存是食、生きていれば腹は減るもの、その生業を悪とは言わぬが看過もできぬ!

生欲を越えた獣欲であれば一喝をもって正すのみ。

我が掌は金城鉄壁、助けを求める人々を、涙をこぼす幼子たちを!

——見捨てて立ち去る道理なし!

——さあ、行くわよ! 藤丸!」

「魔力消費は気にせず戦って、三蔵ちゃん!」

三蔵「GOGO!

いざ、仏法三昧……ちょっと意味違うか!」

(戦闘後)

三蔵「フゥー…………。

仏法あれば世法あり、煩悩あれば菩提あり!

あなたが、誰も傷付けずに救いを得られる日は、今ではないけれど……

いつか、きっと来るはずとあたしは信じます。

だから今は、さようなら。ごめんね。」

(怪物が消える音)

村の男性「おお……おお……

怪物が倒れた……助かったのか、俺たちは……」

村の女性「ああ! ぼうや、ぼうや!

よかった……こっちにおいで、ぼうや!」

三蔵「強かった!

でも……なんとか、打ち克った!

村のみんな! 聞いてちょうだい!

怪我してしまった人や、弱った人を休ませてあげて!

広い場所に……お寺や教会があるならそこに集めて!

お水と毛布! 薬もあるならそれもね!

村中から搔き集めるのよ!

今は、誰の財産だーとかそういうのは度外視です!

仲間の為に財を惜しまず。

そんな功徳を見せてくれれば、ひとりでも多く元気にしてみせましょう!

そういうスキルや宝具はないけれど、薬湯を煎じる心得くらいは一通りありますので!」

村の女性「よくわかりませんが旅のお坊様……

怪物を退けてくださった御方が、そう言うのなら……」

村の男性「きっと遠い異郷から来たお坊様だろうに、関わりのない俺たちを助けてくれるのか……?」

三蔵「当然!

御仏の加護、たーんと見せちゃう!

困ってる人を助けるために!

あたしは! 昔も今も歩いて回るのです!」