案内をお願いしたいのは——貴方がたの、これまでの旅路の全て。つまりは、人理修復作業が行われた特異点の全てです。

幕間の物語(女性鯖)

シェヘラザード「……やはり……そうなのですね……。」

ダ・ヴィンチ「気にする事はないと思うけどねぇ。

それはそれ、これはこれ、だ。

少なくとも私もそう受け止めている。

そこに嘘や誤魔化しはないし、キミに気を遣っているわけでもない。

私たちは……

サーヴァントというのは、そういうものだからだ。

想いも感情も、“その瞬間の確かな真実”であると同時に、“その瞬間にしかない夢幻”だとも言える。

だから、キミがいま見たものは、キミにとってはただの記録だ。」

シェヘラザード「では、貴女にとっては?」

ダ・ヴィンチ「それはこう言うしかない。

過去で、体験で、真実だ。

私は連続しているからね。

そのときの私の感情は確かにその位置にあった。

だが、私だってサーヴァントだ。

割り切っているよ。」

シェヘラザード「——ですが、あの方はそうではない

マスターで、人間です。」

ダ・ヴィンチ「…………。」

シェヘラザード「ですから……

これは、やらねばならない事だと思うのです。

どうしても。何が起ころうとも。

……マスターをお借りします。

レイシフトの許可を、どうか。」

ダ・ヴィンチ「決意は固い、か。

仕方ないなぁ……。

じゃあ、かるーい取材旅行だと思って行っておいで。」

(出て行く音)

ダ・ヴィンチ「(ただ……記録だとしても、曖昧な夢だとしても。

使い捨てとされる『守護者』はともかく、英霊であれば、そこで得た経験の一部分が座に記録される事もあるかもしれない。

それが今ここにいるキミに、無意識下で何かの影響を与えている可能性は大いにある。

それ自体は良い影響なんだろうけど。ううん……

その不可避の反動、という事なのかもしれないなぁ……)」

シェヘラザード「というわけで、案内をお願いしたいのです。

マスター……無論、マシュさんにも。」

「…………はい? ごめん、今、なんて?」

シェヘラザード「……?

間違いなくお耳に届いたと思いましたが……

もしや、お体の具合でも悪いのでしょうか。

熱や痛みで私の言葉どころではない、とか。

もしそうでしたらおっしゃってください。

そのような状態で出歩くものではありません。

しかも、今から向かおうとしているのは尋常ならざる場所。

ええ、死んでしまいます……。」

マシュ「い、いえ、すみません。

先輩もわたしと同じだと思うのですが、いきなりの話に脳の理解が追いつかなかったというか……

もう一度、お願いできますか。

どこの案内、とおっしゃったのでしょう?」

シェヘラザード「はい。案内をお願いしたいのは——

貴方がたの、これまでの旅路の全て

つまりは、人理修復作業が行われた特異点の全てです。」

マシュ「!?」

シェヘラザード「無論、人理修復は既に果たされ、いま残っている特異点がただの残滓である事はわかっています。

案内と言っても、ほとんどの用事は、行ったその場で済ませてしまえるものです……。

ですので、マスター達に旅の御足労はほとんどおかけしないかと。

……ただ、足の代わりに別の部分を疲れさせる事にはなってしまうかもしれないのですが……。」

「…………?」

シェヘラザード「ともあれ、ダ・ヴィンチさんからレイシフトの許可はいただいております。

どうか、よろしくお願いします——」