わたしに獅子王の立場をいただけたら、湖の騎士からミミズの騎士へ改名させていたかと。

幕間の物語(女性鯖)

シェヘラザード「そこは砂と荒野、そして白亜の城の世界。

貴方がたが対峙した相手は、強大なる——

円卓の騎士たち。」

マシュ「はい。

彼らは紛れもない“敵”としてわたしたちの前に現れました。

忠義と選択の名の下に、“聖抜”を行っていたのです。」

シェヘラザード「貴方がたと出会い、導いたのは、ルキウスと名乗る謎の騎士……

……謎の騎士。いい響きです。

実に物語の登場人物としてふさわしい。」

「まあすぐ本名バレたんですけどね」

マシュ「同じ円卓の仲間とすぐに会ってしまいましたからね……。」

シェヘラザード「円卓たちの王の他にも、その地には支配者が二人。

13世紀の中東ではなく、紀元前の砂漠を支配する古きファラオたち。

そして、土着の人々を護る……

山の翁、ハサンの一族。」

マシュ「頼りになるアーラシュさんもいらっしゃいました!」

「それから、三蔵ちゃん達とも出会って——」

シェヘラザード「ずいぶん、賑やかな集団になった事でしょう。

彼女はそこにいるだけで場を和ませてくれる方ですし、俵様はとても平和的で素晴らしい宝具をお持ちです。

お米の食べ過ぎ死にだけ気をつければ済む、というのはとても素晴らしい……。」

マシュ「はい。

ですがそのときは、それ以前にダ・ヴィンチちゃんが一人で特攻したりしていて……

いろいろありましたから。

心の底から笑えるようになっていたかは、分かりません。」

ダ・ヴィンチ「なになにー、私の名前が呼ばれた気がしたぞー?

ていうかまだやってるのかい?

つい物語に没入してしまう気持ちは分かるが、ほどほどにして切り上げておきなよ。

それから、シェヘラザード。

改めての話だけど……。」

シェヘラザード「…………。」

ダ・ヴィンチ「やっぱり止めておこう。

天才は『言っても無駄』だという事も読み取れるものだからね。

それじゃ、晩ご飯までには帰っておいで。」

マシュ「今の通信はよく分かりませんでしたが……

ともあれ。あの後でダ・ヴィンチちゃんとまた会えて、良かったです。

本当に……心から。」

「……だね」

マシュ「ダ・ヴィンチちゃんを救出したランスロット卿の行動は称賛に値します。

もっとも、我々が円卓サイドであったのなら、とても冷静ではいられなかったと思いますが。

わたしに獅子王の立場をいただけたら、湖の騎士からミミズの騎士へ改名させていたかと。」

「(それから……ホームズから聞いたドクターのことを、ダ・ヴィンチちゃんと話したんだっけ……)」

シェヘラザード「…………。」

マシュ「……こほん。

獅子王に対抗するために、わたしたちは様々な方の協力を得ました。

ただ……あの聖地においては。

それでもなお——

……前に進む代わりに、何かを失ってしまう事が何度もありました……。

獅子王と、ギフトを与えられた円卓の騎士は、それほどまでに強力な相手だったのです。」

シェヘラザード「けれど貴方たちはとうとう、獅子王の前に辿り着いた。

サー・ベディヴィエール……

聖剣を還せなかった忠節の騎士と共に。

マシュさん。

貴女が貴女の在り方を示す白亜の城で彼女の聖槍を受け止めたのならば。

それを語られた私は、やはり私の在り方を示す物語でもって、彼女の聖槍という物語を受け止めなければならない——」

(戦闘後)

シェヘラザード「う……ぐっ……っ、まだ、ええ、まだ……。

そして、獅子王から得た情報により、第七の特異点が遥か紀元前に存在する事が明らかになった……。

なる、ほど。

ただ一つの、魔術王が過去に送った聖杯。

全ての鍵となる特異点——」

「(この人は……どうしてこうまでして……)」

シェヘラザード「ですが、一つ……その。

先程までのお話に戻って、質問してもよいでしょうか。

円卓の騎士たち……

彼らと契約する事に、躊躇いは……?」

マシュ「それは……正直、気にならなかったと言えば嘘になります。

でも、それは最初だけです。

英霊召喚システムは、人類史に刻まれた英雄本人を召喚しているのではなく……

“座”に記録された本体の情報を、言わばダウンロードし、クラスに当て嵌める事でサーヴァントとして現界させるもの。

だから召喚されるたびに『違うその人』になる……

そういった仕組みは充分に理解していますので。

本で読んだように、別の何処かで召喚された記憶を部分的に持っていることもある、とは聞きますが。」

シェヘラザード「だから気にしない、と……いうわけですね。

そうですか……でも……私は……。」

マシュ「(……ああ。

シェヘラザードさんが気にしているのは、ひょっとして……)」

シェヘラザード「……つまらない質問をいたしました。

特に意味のあるものではありません。

さて、では——最後の特異点のお話を。

よろしくお願いします……。」