数多の衣を纏ってきたその海が、最後に貴方たちに見せた姿は…裏切りの魔女の、夢の果て。ああ、これは。望みの物語、だったのですね——

幕間の物語(女性鯖)

シェヘラザード「第三の特異点——

それは何処とも知れぬ大海。

島のみが存在する蒼の領域……。

シンドバッド王の物語の舞台にもなりそうな、冒険の気配に満ちた世界ですね。

そこで貴方がたが出会うのは——

フランシス・ドレイク。

彼女は——

既に聖杯を手に入れていた、のですね。

人理を乱す聖杯とは別物だったようですが、ええ、それはとても驚いた事でしょう……。」

マシュ「はい、あのときはびっくりしました。

それもあって印象的な出会いでしたね。

ドレイクさんは最初の印象の通り、豪快で、陽気で、ちょっと怖くて、そして……

とても、とても気持ちのいい方でした。

わたしに大切な事を教えてくれた方です。」

シェヘラザード「……そう……ですね。

ですから、私も……あのとき……。」

(高速土下座する音)

ドレイク「ああ?

どうしたんだい、アンタ?

いきなり土下座なんかして。

なになに……申し訳ないような気がした?」

シェヘラザード「……特に歪みが大きい配役を当て嵌めるには、“最初から召喚されているもの”をまず用意し、それを物語用に転写する際に手を加える、という方法を取るしかなかったのでしょう。

ですから……。」

ドレイク「カルデアにいたアタシを、アンタの物語世界における“座”のような場所に据えた……? 気がする?

で、そこからダウンロードした複製体に配役を混ぜた……気がする、って?

ハハ、全然わかんないねぇ。

気がする、ばっかで要領を得ないよ。

あのときの事かねぇって、なんとなく想像はつくにしても、だ。

アタシとしちゃあ、カルデアにいたら何やかやあって別の場所に飛ばされたような気がしたものの、いつのまにか帰ってきてたな、ぐらいのもんさ。

その間の事は覚えてもいないワケだし?

なーんで、記憶にない事で土下座されてもなんだかねぇ。

逆に気持ちが悪い。

嬉しくもなーんともない。

だからさ——アンタ。

顔をあげればいい女じゃないか。

ならこっちの方がアタシの好みだ。

代わりに、酒を奢ってくれないかい?」

シェヘラザード「…………………………?」

ドレイク「面白い話ができるんだろ?

実は前から機会を狙ってたんだ。

退屈な船の上じゃ、話ってのは誰にでもできる一番手っ取り早い娯楽だ。

このネタが面白いヤツはちょっとした事でも贔屓されてねぇ。

アタシも勉強したもんさ。

だからほら、“面白い話の仕方”ってヤツを教えておくれよ。

まずは酒の肴にピッタリの愉快なヤツからだね……。」

シェヘラザード「……話を戻して。

この大海における、彼女以外の登場人物にも目を向けさせてください。

海賊、船乗り、海を征く者——

航海者たち。

そして物語は、イアソン率いるアルゴノーツを相手取った、女神と契約の箱を巡る大冒険へと発展するのですね……。

そう言えば、この大英雄にも……。」

(通り過ぎる大きな足音)

シェヘラザード「……普通に跨いでいかれました……。

バーサーカーの方には、なかなか意思を伝えるのも難しいですね。

またの機会に……。」

シェヘラザード「そろそろ……航海の終わりを迎えましょう。

凪、黄昏、雷鳴轟く嵐。

数多の衣を纏ってきたその海が、最後に貴方たちに見せた姿は……

裏切りの魔女の、夢の果て。

ああ、これは。

望みの物語、だったのですね——」

(戦闘後)

シェヘラザード「っ、ふぅっ……数が、多くて……死ぬかと、思いました。」

「……大丈夫?」

シェヘラザード「大丈夫です。

なぜなら死んでいません。

さあ、次のお話へ参りましょう。

街ですね。

海よりは少しだけ安全な気がします……。」