きっと、わたしたちよりずっと強い。ずっと賢くて、ずっと悪くて、ずっとすごい。きっと、あれが本当の“切り裂きジャック”だよ。

幕間の物語(女性鯖)

ジャック「おかあさん、おかあさん、おかあさん……。

どこにもいないなぁ。」

マシュ「……どこにもいない、どころか先ほどのホムンクルスを除けば、人っ子一人出歩いていませんね。」

ジャック「おかあさん、おかあさん。

あそこに、わたしたちがいるよ。」

マシュ「え……!?」

ジャック?「俺、俺、俺は、切り裂き……ジャック。

切り裂きジャック。

ジャック・ザ・リッパー……!」

マシュ「あれが……切り裂きジャック!?」

ジャック「ジャックはわたしたちだよ?」

マシュ「あ、いえ。

そういうことではなく……いえ、あるのですか。

あれが偽物? それとも、本物……?」

ジャック「どっちでもいいよ。

わたしたちはわたしたちを本物だと信じてる。

あの人は、自分のことをわたしたちだと信じている。

だったら殺しちゃうしかないもの。

出会ったなら、殺すしかないもの。

わたしたちが、わたしたちであることを証明するために。

さ、ジャックを殺そう——おかあさん!」

(戦闘後)

ジャック「ジャックが死んじゃった♪

わたしたちも死んじゃった♪」

マシュ「ジャックさん、物騒な歌を……。」

ジャック「……ねえ、おかあさん。

もしね、別のジャックが——

わたしたちより、もっとつよかったら、どうする?

わたしたち、すてられちゃう?」

「そんなことはしない」

ジャック「……そうなの?

でも、聖杯戦争ってそういうものでしょ?

ちがうの?

……ふぅん、そうか。ちがうんだ。

おかあさん、へんなひと。

つよいほうがいいにきまってるのに。

あなただって、そう思うでしょ?」

マシュ「いいえ、ジャックさん。

わたしもマスターも、そうは思いません。

強い弱いを言うならば、もしかするとわたしたち全員、相手に対して弱いかもしれない。

もちろん、強い方がいいのは確かです。

でも強さだけではこれから先、戦い抜けません。

必要なのは、互いの信頼だとわたしは思います。

わたしたちはマスターを信じて戦い、マスターはわたしたちを信じて戦う。」

ジャック「……ふしぎなひと。

そんなこと言うひと、今まで会ったことないや。」

マシュ「そう……ですか?」

ジャック「でも、うん、そういう考え、いいよね。

さあ、最後のジャックがそこにいるよ。

きっと、わたしたちよりずっと強い。

ずっと賢くて、ずっと悪くて、ずっとすごい。

きっと、あれが本当の“切り裂きジャック”だよ。

みんなが抱いた幻想の結実——。

わたしたちは、ただそれを利用しただけのかいぶつでしかないかもしれない。

……それでもいいなら。

わたしたちはがんばるよ。

おかあさんのために。

……うん、やろう!」

(戦闘後)

マシュ「……霧が晴れていきます。

ドクターとの通信も回復しました。

どうやら、カルデアへの帰還も可能になったようです。

帰還準備をします。」

ジャック「……うん。

これでわたしたちがジャック・ザ・リッパー。

うすぎたない殺人鬼。

この街(ロンドン)を恐怖に陥れたかいぶつ——。

でも。それでも。

これが、わたしたちの“名前”なんだ。

マスター、おうち(カルデア)にかえろう。

かえって、はんばーぐ食べたい。」