我々の魔術と、彼らの魔術は歴史的には完全に分断している。しかしその一方、多数の共通点があるのも確かだ。

幕間の物語(男性鯖)

ジェロニモ「——ふむ。

石で舗装された道、仄かに漂う悪臭。

草木も大地も不要、全てを冷たき石で覆った魔境。

科学的に穢れた霧もまた、魔術を隠すのだろうか。

これが19世紀ロンドンか。

実に悪趣味極まりない。

だが、悪くはないな。」

(通信音)

マシュ「あの、ジェロニモさん。

一体、どちらなのでしょう……?」

ジェロニモ「悪くはない、ということさ。

ところでマスター、すまないな。

わざわざロンドンに行ってみたいなどと、我が侭を言ってしまって。」

「構わないけどどうして?」

ジェロニモ「近代における魔術の本場なのだろう?

生前は海を渡ることなど叶わなかったからな。

我々の魔術と、彼らの魔術は歴史的には完全に分断している。

しかしその一方、多数の共通点があるのも確かだ。

どちらが元祖なのかはさておくとして……。

一度見学だけはしておきたかったのだよ。

さてさて、学ぶに値する術式があるかどうか——

ふむ、まずは霊か。

こちらでは、ちょくちょく精霊に力を借り受けるが……

これは低級だな。

しかしちょっと歩いた程度でこれほど簡単に低級霊に出くわすとは。

さすがこの時代のロンドンは、死が身近だ。」

マシュ「あ、あの。

よろしければ戦って欲しいのですが……。」

ジェロニモ「戦う、か。

しかし、この程度ならば無視して差し支えあるまい。

弱い、脆い、儚い。

おおよそ、幽霊として重要な恨み辛みといった感情もない。

恐らく、何かの弾みで死んで何かの弾みでこの地に縛り付けられ——。

そして人理崩壊時の魔霧で活性化したか。

大体、この胡散臭い姿を見ろ。

自分で卑小な存在だと伝えているようなもの。

総合的に考えて、こちらが介在するに値しない。

英国のゴーストといえども、大したものではない。」

「ジェロニモ先生? わざとですよね?」

ジェロニモ「ほう、なるほどなるほど。

……すまない、いささかからかいが過ぎたようだ。

合身することで対抗するとは、相当に怒っているらしい。」

マシュ「そうですね、完全に怒っていますね。

黒髭さんがいうところの激おこ、というものでは。」

ジェロニモ「ともあれ、申し訳ない。

少々幽霊退治に付き合って貰おう。」

マシュ「了解です。

マスター、指示をよろしくお願いします!」

(戦闘後)

ジェロニモ「なるほどなるほど。

さすがに、我々の住む大地とは霊の数が桁違いだな。

……さて、他には何があるかな?

さあ、どんどん行ってみようじゃないか。」

マシュ「(……うわあ。

楽しそうですね、ジェロニモさん。

ああ見えて珍しいもの好きなんでしょうか?)」