『明日は明日の風が吹く』——ただ、それだけです。以上、貴方の雇い主によろしくお伝え下さい。

幕間の物語(女性鯖)

ジャンヌ「何故、あのような怪物が……?」

マシュ「わたしにも不明です。

ただ……やはり、ジャンヌさんが鍵のような気がします。」

ジャンヌ「私……ですか?

確かにこのフランスは私の故国。」

ジャンヌ「それが蹂躙されているのは、許し難いですが——。

……あれ?」

「何か気づいた?」

マシュ「ジャンヌさん?」

ジャンヌ「そうか、もしかすると……。

玉座に急ぎましょう!

恐らく、この一件はそれで解決を見ます!」

マシュ「な……。

今度は、悪魔……ですか?」

ジャンヌ「落ち着いて下さい、マシュさん。

あれは悪魔に似た怪物というだけです。

使役しているのは——そこのあなたですか。」

???「いひひひひ!

そうですとも、そうですとも!

わたくし、この悪魔を使役している者でございます!

我が名はメフィストフェレス!

キャスターのクラスを冠したサーヴァントでございます!」

マシュ「あなたは……!」

メフィスト「おや、わたくしのことをご存じで?

もしかして仲間にでもなっているのですかね?

それならご安心あれ!

わたくし、別の何者かに召喚された身でして。

つまり、あなたたちとは安心して殺し合える身、なのですよ!」

マシュ「……くっ……。」

ジャンヌ「メフィストフェレス……でしたね。

一つ質問があります。」

メフィスト「おやおや、どうぞどうぞ。」

ジャンヌ「この茶番は、一体何のためなのですか?」

メフィスト「それは——。」

ジャンヌ「私の行為には何の意味もない、ということを思い知らせるためですか?

それともあるいは、フランスが存在しないというこの状況下で——。

なおも私が旗を振ることができるかどうか、試そうとしていたのですか?」

メフィスト「おやおや、ご名答でございます!

拍手喝采! 喝采せよ、皆の衆!

それで、どうですかな。ご気分は?」

ジャンヌ「そうですね。

最悪と言えば最悪でした。

でも、所詮これは幻です。

幻である以上、何の恐怖もありません。」

メフィスト「ですが、論理的な幻ならどうです?

そう、この街は確かに『あなたが存在しなければ』という理屈で成立しています。

ジャンヌ・ダルク!

救国の聖女よ!

世界はあなた一人で動いている訳ではない!

否。あなたが動こうが動くまいが……民は幸福だ!」

ジャンヌ「…………。」

メフィスト「王でもなく、英雄でもなく、あなたの言葉を借りれば、聖女ですらないあなたが——。

どのツラを下げて、世界の変容に悩めるのです!?」

「悩んだっていいじゃないか?」

マシュ「……!」

メフィスト「困りましたね。

わたくし、ジャンヌ・ダルクに質問しているのですが——。」

ジャンヌ「貴方の言う通り。

……確かに私は無意味かもしれません。」

メフィスト「ヒヒヒ。」

ジャンヌ「——ですが。

意味があれば、動くのですか?」

メフィスト「……何ですと?」

ジャンヌ「人の運命は色鮮やかで、残酷なほどに様々です。

無意味な生と同じくらい無意味な死があり——。

意味ある生と同じくらい、意味ある死がある。

それがあるから動く。

それがないから動かない。

未来を知って動き、未来を知って動かない。

私はそれは、人間ではないと思います。

——ハッキリと言いましょう。

先のことなど見てはいない。

私はただ、己が選んだ己の道のりをひた走るだけです。

もっと明快に伝えましょう。

『明日は明日の風が吹く』

——ただ、それだけです。

以上、貴方の雇い主によろしくお伝え下さい。」

メフィスト「……なるほど。

なるほど、なるほど、なるほど!

心は折れませんか。

ならば! 物理的にへし折ってあげましょう。

……む。いやいや待った。

あまり上手いこと言えてないですねぇ、コレ。

よもやわたくしの方が折れてしまったとか?

まっさかあ。……うーん、まっさかあ!」

ジャンヌ「この世界を、あるがままの姿に。

希望がなくとも、絶望だけだとしても。

……人が足踏みすることなく、前を向いて歩き続けますように。

どんな茨があろうとも。

どんな陥穽(かんせい)があろうとも。

私は——前を向いて歩ける道を選びます!!」

(戦闘後)

メフィスト「はひひひひ!

我が役割はこれにてあっという間に終了ですか!?

ま、いいってことです!

もしいればそちらの私によろしくお願いしますね?

お茶目なメフィストフェレスを、どうぞヨロシクゥ!

また会いましょゥ!」

ジャンヌ「……巻き込んでしまってごめんなさい、マシュさん、マスター。

どうやら私は貴方たちと共に戦うことに加えて、もう一つ……

何者かと戦わなければならないようです。

これは、私が信じたものを試す戦い。

お願いします、マスター。

どうか、付き合っていただけますか?」

「もちろんだ」

ジャンヌ「……ありがとうございます、マスター。」