キミたちと……そして、あろうことか王家の百合の象徴たるあの御方に刃を向けた。 その償いをしたいと思うんだ。

幕間の物語(男性鯖)

デオン「はは。

どちらでもいいよ?

私は男である時もあれば、女である時もあったんだし。

好きな代名詞を用いてくれて構わない。

ねえ、藤丸君は私はどちらだと思う?」

「女、かな?」

デオン「ふふ……。

そういう風に見えているんだね。

私は、フランス王家を守る白百合の騎士。

性別なんて大したものじゃない。

時に、サーベルを持つ竜騎士(ドラグーン)にもなろう。

時に、ドレスを纏った淑女にも。

王家の百合を守るためなら、僕は、サーベルでもドレスでも自在に扱うまでだ。

生前も、今でもね。

英霊となろうともそれは変わらない。

それに……。」

マシュ「?」

フォウ「フォウ?」

デオン「僕は、罪を犯してしまった。

バーサーク・セイバーとしての現界を覚えている。

キミたちと……そして、あろうことか王家の百合の象徴たるあの御方に刃を向けた。

その償いをしたいと思うんだ。

だから、すまない。

マスター・藤丸。

サーヴァントである以前に、私は今、フランス王家を守る者として行動してしまっている。

許して欲しい。

どうか、この一晩だけでいい。

私に機会を与えて欲しい。

マスター。」

「いいよ、眠れない夜だから。」

デオン「……ありがとう、マスター。」

(中略)

マシュ「……戦闘が続くかと思いましたが、もう、このあたりの区域には敵の姿はないようですね。」

デオン「いや、どうかな。

この感じは……近いよ。

巧妙に姿を消しているようではある、けれど。

出て来るがいい!

王家の百合の威光の下に!

いにしえのパリの夜に顕れた者!

——邪悪へ堕ちし、亡霊の如き貴様!」

???「……王家に……死を……。

……市民に……自由を……。

……最早、我ら市民、白百合の王家を必要とせず……。

……すなわち、是より……。

……革命が、パリに、もたらされる……。」

マシュ「!?」

フォウ「フォーウ!!」

ロマニ「強力な魔力反応だ!

何だ、サーヴァントと違うぞ、性質はさっきのゴーストに近い!」

デオン「……私は、知っている。

これほどまでの決意の気迫。

王家への断罪を望み、市民の自由と安寧を求めた男。

いつかの日、いつかの夜、暗がりの中で互いに刃を交わしたこともある。

キミは……。

そうか、キミが、私を呼んだのかい。

——マクシミリアン・ロベスピエール。」

ロマニ「な……!

ロベスピエール!?」

「誰?」

マシュ「はい、先輩。

マクシミリアン・ロベスピエールはそれは世界初のテロリストにして革命先導者ですが——」

ロマニ「で、でも、ちょっと待ってくれ、サーヴァントじゃないみたいだぞ、そこにいるのは!

第一の聖杯の影響の残滓が……

修正されゆくパリに在って亡霊を召喚したのか!

時代も何も無茶苦茶だけど、そうだった、聖杯ならそういうことだって可能にしてしまうんだ——」

ロベスピエール「……王家に……死を……。

……死を……死を、死を……。

……革命、に、逆らうすべてに……死を……。

……ああ、嗚呼、すべてに、あらゆるすべてに……。」

デオン「最早、自らの正義さえ見失ったのかい。

ロベスピエール。

キミの生涯を指して邪悪と断ずることはすまい。

けれど、今のキミが、すべての死を望むのであるならば。

フランスの騎士が、キミを倒そう。

——白百合の剣を以て!」

マシュ「マスター、戦闘指示をお願いします!」

(戦闘後)

「——終わりだ、哀しき亡霊!」

ロベスピエール「……あ、ああ、ぁ、ああああああああああああ……。

……消えてゆく、なにもかも……。

……フランスよ、自由よ……どこ、へ……。

……消える、のだ……。」

デオン「いいや、消えることはないよ。

ロベスピエール。

たとえフランス王家が潰えても。

キミたち、革命者が倒れたとしても。

フランスは消えることはないんだ。

姿を変えて、形を変えて、フランスは在り続けるだろう。

世界が在る限り。

だから、私はキミにこう言おう。

——フランス万歳(ヴィヴ・ラ・フランス)、と。」

ロベスピエール「……嗚呼、ヴィヴ・ラ……。

……フラ、ン、ス……。」

(消滅する音)

マシュ「——魔力反応、完全に消失しました。」

フォウ「フォーウ……。」

「これで、ゆっくり眠れそうだね」

デオン「……ああ。

キミのおかげで彼を送ることができた。

ありがとう、マスター。」