確かに私は貴女を産みだした。でも、後悔するより先にこう思ったのです。——ああ、嬉しかった。

幕間の物語(女性鯖)

ジャンヌオルタ「……敗北するはずないでしょう?

我が二つ名は“竜の魔女”。

絶望を吐息に乗せて撒き散らすために生み出された、“災厄”を統べる者。」

ジャンヌ「まさ、か……!?」

メフィスト「ヒューッ! これは凄い!

ワタクシ久々に目玉が飛び出るほど驚きましたよぉ!」

ジャンヌ「ファヴ……ニール……!」

ジャンヌオルタ「ファヴニール。

愛しい私の竜。

さあ、今度こそ——

正義と聖女を滅ぼすわよ。」

ジャンヌ「……それでも。負けません。

貴女がたとえ誰を連れてこようとも、私たちは敗北しない。」

ジャンヌオルタ「それは神のおかげ?」

ジャンヌ「ええ、半分はそうです。

主はいつでも、私の背中をほんの少し押して下さる。

そして残り半分は、言うまでもなく友とマスターのお陰です。

私の無力を慰め、力無く崩れ落ちた肩を持ち上げてくれる彼らがいる。

ただそれだけで、私は充分に救われていると思うのです。

史実で私が救われなかったとしても、皆の気持ちは嘘ではないのだから。」

ジャンヌオルタ「……相変わらず優等生な答えね。

ああ、ほんっとうに頭にくるわ。

いいじゃない。

今度こそ決着をつけてあげる。

私の竜が勝つか、貴方のマスターが勝つか。

殺し合うわよ、ジャンヌ・ダルク……!!」

ジャンヌ「望むところです。

来なさい、ファヴニール。

メフィストフェレス。

そして——堕ちた私。

私が一度は拒絶した彼女(オルタ)よ!!」

メフィスト「よろしい、これでこそ最終決戦!

彼女の長かった旅も、ここで終わりのようですねぇ!!」

「こちらも全力で援護する!」

(戦闘後)

ジャンヌオルタ「そん、な……嘘……。」

メフィスト敵「敗北してしまいましたか……。

ですがまあ、所詮道化の身ではここらが限界、当然無念。

遊び人をパーティに入れるとか(笑)

しかし、アナタに対する抑止力としてワタクシが召喚されるとか、手抜きでは?」

メフィスト「いえいえ、むしろ怖ろしいまでの冷徹さ。

天の主とやらも真性のサディストかと。

だってホラ、ワタクシでなければそちらの彼女は敗北を認められない。

ワタクシ同士は同戦力なのだから、負けたら彼女に理由があるのです。」

メフィスト敵「あー。

なーるーほーどーなー!

という訳で申し訳ありませんねえ、マスター。

いや、こう見えて本気で戦っていたのですよ?」

ジャンヌオルタ「どうし、て……。

負けるはずがない、負けるはずがないのに。

貴方の力は引き裂かれた。

私が確かに引き裂いたのに……!」

ジャンヌ「私が勝利した訳ではありません。

勝利したのは私たちです。

……確かに私は貴女を産みだした。

でも、後悔するより先にこう思ったのです。

——ああ、嬉しかった。

私は生きることを望むありふれた人間で。

助けが来たことを喜ぶありきたりの人間だった。

だから、マスターが迷わず助けてくれたとき、本当に嬉しかった。

私は聖女ではなく、ありきたりのサーヴァントとして貴女に戦いを挑み、勝利しただけです。

そこに信念、信仰の強弱などは存在しません。」

ジャンヌオルタ「——何て堕落。

そう。私は今度こそ終わるのね。

何をやっても、徒労だったか……。」

ジャンヌ「……どうでしょうか。

私は貴女という闇を認めてしまった。

貴女は私という英霊の映し鏡。

即ち、反英霊として記録するかもしれませんよ。

それこそ——

何かの拍子に、その力を求められるかもしれません。」

ジャンヌオルタ「……悪い冗談。

そんなの、骨の髄からお断りよ。

それでも、というのなら。

せめてクラス替えをお願いしたいわ。

ルーラーなんて柄じゃないもの、私は。」

ジャンヌ「——これで、私の物語は結末を迎えました。

マスター……本当にありがとうございます。」

「巡り巡ってみると、自分が原因のような……」

ジャンヌ「ええ、その通りかもしれません。

でも、仲間ってそういうものでしょう?

私だって、そもそも数多の迷惑を掛けています。

何より……先ほど言った通りです。

私は、嬉しかった。

こちらに走ってくるマスターたちを見ることができて、本当に嬉しかった。

そう。

あの心意気の前では、どんな報酬も色褪せます。

メフィストフェレス、貴方もですよ。

助けに来てくれて嬉しかった。」

メフィスト「本当にぃ?

メッフィー、そういうの慣れてないのでどんな顔していいか分からないのですけどぉ。

まあ、面白ければ何よりです。

笑える案件ならそれに越した事はありません!

いやはや、サーヴァントとは実に楽しい。

今回も夢のような一時でしたとも!

では、お先!」

ジャンヌ「ふふ、悪魔であれ何であれ……。

力を合わせて戦うことの、何と美しく楽しいことか。

さ、夢から醒めましょうマスター。

人理を守る旅は、まだまだ続くのですから——」

——それがかつて、ジャンヌ・ダルクが体験した物語。

この後、様々な出来事を経て復讐者である彼女が誕生するのだが……。

それはまた、別のはなし。