「余の公演はまだ始まったばかり。開始してからほんの二十時間ほどしか経っていないのだぞ?」「私の持ち歌もあと100曲はあるわよ!?」

幕間の物語(女性鯖)

鈴鹿「JKの散歩と言えば買い食いっしょ。

クレープ屋とかないの?」

マシュ「そういうのはありませんが……

この先にあるのは一応、ティールームです。

ムーンライト、と名札が書かれているでしょう?

空き倉庫だったものをドクターが改築したものです。

AV(オーディオ)機材でなく、防音設備とカラオケマシンもあるそうですよ。」

鈴鹿「カラオケ!

いいじゃん、マジ楽しそう!

散歩途中に寄る場所としてピッタリだし、合コンとかでもカラオケスキルは必須!

そのレベルアップがJK磨きに直結すること間違いなしじゃん!?

さあ行くしすぐ行くし!」

マシュ「はい、では行ってみましょうか。

わたしはあまり歌には詳しくないので、聞くだけになってしまいそうですが。

…………。

(そう言えば、そのカラオケ部屋について聞いたとき、ダ・ヴィンチちゃんが『しばらく近寄らないほうがいい』と言っていましたが、なぜでしょう……?)」

マシュ「ここです。……?

中から何か音がするような……

他に利用している方がいらっしゃるのでしょうか?」

「嫌な予感がする」

鈴鹿「ま、とりあえず入ってみてから考えればいいし!」

マシュ「っ……!」

鈴鹿「こ、これは……!」

「グワァァァア!(白目)」

マシュ「先輩!?

しっかりしてください先輩、お気を確かに!」

ネロ「ふ、心胆寒からしめる美声よな赤ランサー。

さすがは余の認めるライバルといったところか!」

エリザ「そっちこそデビルな歌声じゃないセイバー。

キュートなビジュアルからは想像もできない合体事故(アンバランス)さ……

グッド。とてもグッド!

背徳的で最高だわ!

あと、音程も階級みたいにガッタガタだわ。」

ネロ「うむ、天上へいざなう階段、という意味だな!

褒めるな、照れるではないか!」

エリザ「いいわよね、タイラント・バーニング・シャウト!

トップアイドルである私の……に相応しいわ!」

マシュ「あれは……ネロさんにエリザベートさん、ですね。

笑顔で睨み合っている、ような……。」

鈴鹿「な、なに今の歌声……

マジヒドかったし! 最悪!」

ネロ「む。

マジヒドカッタシ、とは何事か。

そこの狐耳!

余の美声に惹かれてきたファンと思い、一曲終わるまで見過ごしていたが!」

エリザ「そうよ!

私たちのリサイタルを聴いておきながら、ため息とか!

チケット代取るわよ、チケット代!」

鈴鹿「うわあ……

カラオケでチケ代とか、冗談にしてもセンスないっしょ……」

マシュ「鈴鹿さん。

信じられないのもやむを得ませんが、お二人は本気で言っているのです。

お二人にとって『歌』は存在意義そのもの。

冗談でも遊びでもないのです。」

鈴鹿「あー……そー……そういう奴らね……。

はあ。もういいや。

別にあんたらが自分の歌どう思ってようが私には関係なかったし。

とにかく、歌い終わったんならさっさと出て行ってほしいワケ。

私にはJK磨きの一端としてカラオケスキルを鍛えるっていう使命があるんだし。

はい、交代交代。」

ネロ「?

何を言っているのだ、この狐耳は。

余の公演はまだ始まったばかり。

開始してからほんの二十時間ほどしか経っていないのだぞ?」

エリザ「私の持ち歌もあと100曲はあるわよ!?

ほとんどがバージョン違いだけど。

ハロウィンノーマルアレンジ、ハロウィンMAKAIアレンジ、ハロウィンGODERIアレンジ、ハロウィンOTO——」

鈴鹿「はいはい、そこまでで充分よ。興味ないし。

ようするに、出て行く気はないってコトっしょ?」

マシュ「あの、鈴鹿さん。

まぜてもらって、三人で一緒に歌うというのはどうでしょう?

無論、マスターとわたしは用事を思い出しましたので即時撤退とさせていただきますが。」

鈴鹿「ハァ?

そんなのありえないし。

こんな奴らと一緒に歌ってたら逆にスキルが下がるし!

一緒に歌う相手だって選びたいワケ。

16歳JKのマシュが相方としてはやっぱベストっしょ。

偉そうな赤いのとかイタいアイドル気取りとかはこっちから願い下げだし!」

マシュ「いえ、ですからわたしはJKでは……。」

ネロ「なんと!

この皇帝を掴まえて、偉そうな赤いのときたか!

余は実際偉いぞ!」

エリザ「イタいアイドル気取りッ……!?

ふ、ふふ、ふふふ。

わかったわ、セイバー。

この子は、きっと、あれよ——

私たちの才能に嫉妬しているのよ!」

ネロ「おお!

さてはアンチというヤツだな!

演者とは反対勢力があって一人前!

同好の士だけでなく、未知の聴き手にまで余の歌が波及した証左である!

だが……うむ。

分かり合えぬ、というのはサーヴァントになっても悲しいものであるな……

まあ、それはそれとして余はマイクを手放さぬが。

だって余が気持ち良ければそれで良いのだからな!

そこな狐耳……む……狐耳だと……?

なにか根拠のない警戒心が湧き立つが、そこもそれ。

どうしても余を押し退けて歌いたいというのであれば、力ずくで勝ち取ってみせよ!」

エリザ「そうね。

アイドルだもの、最後にものを言うのは力と暴力よね。

トップアイドルのマイクを奪おうというのだから、それなりの覚悟を見せてもらおうじゃない?」

鈴鹿「ハッ。

マジわけわかんないんだけど……

力ずくっていう響きだけはわかりやすいわ!」

マシュ「ああ、とんでもない人たち同士の戦いが、なんだかものすごく小さな理由で起ころうとしています……!」

(戦闘後)

ネロ「くっ……

さすがの余も、これまでの公演の疲れがあったと見えるな……きゅう。」

エリザ「ああっ、歌い始める前にエア握手会のトレーニングを二時間もしてなければっ……! ……きゅう。」

鈴鹿「ふっふ……

遊びって概念に対する、JKの貪欲さを舐めてたのが敗因だし!

さて、カラオケカラオケ……あれ?」

マシュ「さっきの戦いの余波で……壊れてしまっています、ね。」

「美声が聞けなくて残念」

鈴鹿「ま、まーね。

そりゃ私もマスター達に聞かせられなくて残念だケド。

はぁ……ま、壊れちゃったものはしょーがないか。

ぶっちゃけカラオケ以外にもいろいろやんなくちゃなんないことはあるし?

別んとこ行こーよ、マシュ、マスター。」

マシュ「ええと、一応破損報告と修理要請を……はい、終了です。

直らないほうが平和なのかもしれませんが……。」

ネロ「(むくり)なに、機械が壊れただと?

となると、次は——

演奏なしの、純粋なる歌唱力勝負であるな!

ランサーよ、次はアカペラで勝負だ!

ららら〜〜。」

エリザ「(むくり)勿論よ、真のアイドルは歌声だけでファンを魅了して当然! laaa〜〜。」

鈴鹿「……あーもー、二人で勝手にやってればいいし……。」