いいこと、わたし? あなたがありすの姿を選ぶなら…絶対、バッドエンドなんかに…。しちゃ…だめよ…。

幕間の物語(女性鯖)

ナーサリー?「会いたかったわ、本のわたし!

ページとページの間に折り込まれた想いのかたち。

会いたかったわ、ほんもののわたし!

ページをめくる指がなければ何もできないわたし。

わたしは、ありす(わたし)。

あなたは、物語(わたし)。

いいえ、いいえ。

わたしはわたし。

ありすではないわ。

あなたはその姿でいなさいな?」

マシュ「ありす……?」

「ナーサリー・ライムが二人?」

マシュ「正確には、不明です……。

ですが、先輩と契約で繋がっているのは本の形態をとっている彼女に間違いありません。

けれど同時に……。

あちらの、少女の形態の彼女も……。

ナーサリー・ライムの偽物、ではないようです。

感じられる魔力はあまりに似ています。」

ロマニ「接近したことで詳細に解析できたぞ——

うん、マシュの言う通り、魔力の反応はそっくりだ。

あまりに似ている。

まるで、同じ存在がもうひとつあるみたいな?

有り得ない、と言いたいところだけど。

そこはある意味ではナーサリー・ライムの内部だ。

彼女のにあたるものがふたつに分割されている、ということも有り得なくはない!」

「つまり?」

マシュ「どちらも本物の彼女、ということです。

その可能性があります。」

ナーサリー「——そう。」

マシュ「(喋った!)」

フォウ「(フォウ!)」

ナーサリー「——あれは、わたし。

もうひとりのわたし。

——ありすの姿をした、わたし。

——いないはずの、わたし(ありす)。

——そのかたちを、わたしが真似したから。

——わたしは思ったの。

——そのかたちは、ありすのものなのに。

——わたしはいいの?

——ありすがいないのに、わたし(ありす)になっても?」

ナーサリー?「だめ、だめ、だめ。

いけないことよ!

わたしは物語でしょう?

ここにはありすがいないのに、ここにはわたししかいないのだから!

わたしは、物語でいなさいな。

わたしは、ありすの姿ではいられない。

そうでしょう——?」

マシュ「??」

ロマニ「……そうか、そういうことか!

本来は人間の姿を持たないはずのナーサリー・ライム!

けれど、霊基再臨で少女の姿を得てしまった。

その自己矛盾が、彼女の中で膨らんでしまったんだ。

だから、こうしてマスターである藤丸君を自分の内に呼び寄せた。」

マシュ「回答を得ようとしているんですね。

自身の選ぶべき姿について。

迷う気持ちは、本のナーサリー・ライムに。

拒む気持ちは、少女のナーサリー・ライムに。」

「選ぶのは、彼女自身だね」

マシュ「はい、先輩。

……ナーサリー・ライム、その答えはあなたの中に。

わたしたちでは答えられません。

あなたが選んだ少女の姿に、どんな意味があるのか。

なぜ、あなたが迷うのか。

何に、誰を想ってそうしているのか。

ですから……。」

ナーサリー「——わたしは、わたし。

そんなの知ってるわ。

——でも、わたし、ありすがいいの。

——できればその姿でいたい。

——ありすの姿で、甘い甘いお茶を飲んで。

——ありすの姿で、甘い甘いお菓子を食べるの。

——ありすの姿で、遊びたい。

…………それが。最期までわたしを大切にしてくれた、

…………寂しい彼女(ありす)の望みだったから。」

マシュ「……先輩。」

「答えは出たね」

マシュ「はい、マスター!」

ナーサリー?「そう。

わたしはそう決めてしまったのね。

でも、わたしは許さない!

わたしはわたし。

ここにありすはいないんだから!

ハッピーエンドみたいな顔はさせない!」

ロマニ「魔力反応増大! 来るぞ!」

(戦闘後)

マシュ「……敵性体、撃破しました。」

ナーサリー?「ふんだ。

結末なんてわかっていたのよ、本当は。

ありすがいないなら——

わたしがわたし(ありす)になればいい。

そんな馬鹿なことを想うのが、今のわたしなんだって。

いいこと、わたし?

あなたがありすの姿を選ぶなら……

絶対、バッドエンドなんかに……。

しちゃ……だめよ……。」

ナーサリー「——うん。

ハッピーエンドにするわ。

ありすのために、わたしは頑張る。」

フォウ「フォーウ!」

ロマニ「よし、一件落着かな!

その奇妙な空間も閉じつつあるみたいだし、うん!

今のうちにレイシフトの要領でカルデアへ戻すよ!

せーの——っと!」