その戯れで気付かされた。私は所詮そういうけだものなのだと。そんなことにも気付かず己の出自を嘆き『人の心がわからぬ』などと嘯いた!

幕間の物語(男性鯖)

マシュ「トリスタンさん……!」

「この雰囲気は……何か……違う」

トリスタン「マスター。

私は——私は、正しくない。

無辜の民を虐殺するを良しとした時点で、私という英霊は消えて然るべきだった。

『反転』など言い訳に過ぎない。」

マシュ「まさか、トリスタンさん。

第六特異点の記憶が……!?」

「あれはあなたじゃない!」

トリスタン「いいえ、あれこそが私なのです!」

ベディ「……私は、事情をよく知りませんが。

トリスタン卿、目を覚ましなさい。

いかな悪逆といえ、償えぬ罪はないのです。

その者に、悔いる心があるかぎり。

たとえ許される事がなくとも、贖いの権利は全てに。」

トリスタン「——ベディヴィエール卿、我が同胞よ。

貴公はご存じないのです。

先ほど、私は『反転』した己を体感した。」

ランスロット「……!」

ガウェイン「……何と。」

トリスタン「私が愛を知らない理由は、これでわかった。

このような悪鬼に、愛が与えられるべきではありません。

死すべしは私。

さあ、全力で私を滅ぼしてください

このような愚か者は、朋友である貴公らに首を刎ねられて然るべき。」

ガウェイン「無体にもほどがあるぞ、トリスタン卿!

そのような理由で貴公に剣を向けるなど——」

トリスタン「ならば、マスターを殺します。」

トリスタン「驚くことはありません。

先ほど伝えたはずだ、『反転』こそが私の本性。

ならば、邪悪に溺れて当然でしょう。」

(中略)

ガウェイン「これだけ打ち込まれてもなお倒れぬ!?

貴公、その耐久力は……!」

トリスタン「ギフト『反転』に加え、『凄烈』と『不夜』を授かりました。」

マシュ「授かった……!?

一体、それは何者に!?

少なくとも、獅子王ではないはず。

あの人は既に、消失しています!」

トリスタン「さて、それは私にも。

強大な何者かの戯れでしょうか。

ですがその戯れで気付かされた。

私は所詮、そういうけだものなのだと。

そんなことにも気付かず、己の出自を嘆き、『人の心がわからぬ』などと嘯いた!

——だから、愛されるはずがない。」

マシュ「そんなことはありません!

トリスタンさん、あなたは……。」

「マシュ、無理だ」

マシュ「……トリスタンさん。

わたしは、あなたを信じています。」

モードレッド「なーに言ってんだ目閉じバカ。」

トリスタン「!?」

マシュ「モードレッドさん!?」

モードレッド「ようトリスタン。」

トリスタン「貴公はいらっしゃらなかったようですね、臆病風に吹かれるとは狂犬らしくもない。」

モードレッド「どいつもこいつも人のコト犬呼ばわりか!

まあ、オレが犬だとしたらテメェは何だ、虫か何かか?

ぶんぶん羽をかき鳴らす、愛もわからねえ生命体ってことだろうよ。」

トリスタン「……相変わらず、どの罵倒よりも貴公の挑発は腹立たしい。

——何、テメェが帰還したらたっぷり聞かされることになるだろうさ。

呪い(ギフト)を授かって嘆くだけ嘆いて、自棄になっているなんざ、赤っ恥にも程がある!」

トリスタン「……貴公に、何がわかる。」

モードレッド「知らねェよ

ただ、これでオレが行けなかった理由がよくわかった。」

トリスタン「……?」

モードレッド「何しろ自他共に厳しいことに関しては徹底しているあの王だ。

そこまで手前勝手な理屈をこねていりゃあ、怒り心頭だろうよ。

そしてあの王が出てくるんなら——

オレは顔を隠すか殺し合うかしかないんでな!」

トリスタン「貴公は一体、何のことを——

いや、まさか。まさか!」

アルトリア「彼方の願いに応じ、参上した。

——卿よ、惑っているな。」

トリスタン「……聖槍の王よ!

たとえ貴方といえども、こればかりは譲れません!」

アルトリア「では王として堂々と貴公を叩き伏せよう。

何、私もまた王であり円卓の騎士。

意見が対立したならば、どう振る舞えばいいかなど心得ている。

無限の矢を番えよ、トリスタン卿。

我はこの聖槍により、汝の憂いを打ち払おう。」

トリスタン「…………いいでしょう。

歌え、痛哭の幻奏(フェイルノート)。

我が嘆きの響きを!」

アルトリア「聖槍、抜錨。

カルデアのマスター。

一時ではあるが指示をお願いしたい。

この問題騎士(わからずや)に、沈黙と反省を促さなければいけないので。」

「もちろんだ!」

アルトリア「——貴方に感謝を。

……参る!」