でもごめんなさい、私はこの殺し合いには参加できない。なぜならば! この私は漂流者であって、聖杯に選ばれた英霊という訳ではないのです。

幕間の物語(男性鯖)

此処とは異なる世界にて——

とある聖杯戦争がありました。

七人七騎が、己が願いのために戦う魔術儀式です。

この私(ディルムッド)は聖杯によって召喚された七騎のうちの一騎、最優たるセイバーとして現界したのです。

そして……彼女に出逢った。

時を超えて、空間を超えて、数多の世界を渡り続けるという一人の漂流者に。

武蔵「そっか。

やっと理解できたわ。

ここでは聖杯戦争っていうものが起きているのね!

むむっ、サーヴァントの気配あり!

と思って馳せ参じてみればこの有り様だもの、うん。

ちょっと驚いたわ。

皆、次から次へと襲い掛かってくるんだもの。

…………でも、そうね。仕方ないか。

己が願いをかけたサーヴァント同士。

報われるものが一騎しかいないというのなら——

ええ。そういうこともあるでしょう——

勉強になりました!

でもごめんなさい、私はこの殺し合いには参加できない。

なぜならば!

この私は漂流者であって、聖杯に選ばれた英霊という訳ではないのです。」

ディル「……聖杯に依らざる英霊の現界。

常にあれば信じ難いことではあるが、貴方の言葉を信じよう。

二刀使いの宮本武蔵。

天元の求道者、か。

貴方のような剣士とお目に掛かるとは。」

武蔵「私も貴方に会えて良かったわ、双剣使いさん。

フィオナ騎士団のディルムッド・オディナ。

まともに話を聞いてくれた英霊、ここでは貴方だけだったからね〜!

もう少しゆっくり話をしたいけど……

でも、私の存在は聖杯戦争をかき回しちゃうみたいだから、やめた方が良さそう。

なので、一言だけ!

万が一にも縁があったらまた会いましょう!

その時はそうね、カルデアで!」

ディルムッド「カルデア——?」

人理保障機関カルデア。

それは、数多の英霊が集う稀有なる場所なのだという。

彼女の語るカルデアの話は……

不思議と、私の耳から離れなかった。

かの地での聖杯戦争を完全に終えるにあたり、消滅していく時でさえ、私はカルデアの存在を想った。

そして。消滅した——

——はず、だったのだが。

ディル「……これも縁、と言うべきなのでしょうか。

或いは聖杯が私の願いを叶えてくれたのか。

我が魂の一部だけが……

たった一度の奇跡を起こした。

まるであの天元の求道者のように、私は世界を渡ったのです。

シミュレーターのバグとして——

では、ありますが。

しかし同時に、私に深く縁ある妖精王アヴァータの想いの残滓を引き寄せてしまった。

誠に申し訳ない。」

マシュ「ええと、アヴァータの残滓と思しき異常データは完全に消滅しています。

ですから——」

ディル「あくまで私は自分の始末を付けたまでのこと。

この霊基は、すぐにランサーとしての私に返しましょう。

さらばです、マスター。

カルデアの皆様。」

「ちょっと待った!」

ディル「は——」

「せっかく来たんだし。もう少し、カルデアを体験してみない?」

ディル「…………はい?」