ファラオとしての優劣? くだらん! ファラオはファラオであるだけで充分なのだ! それ以上を欲するなど不遜!

幕間の物語(女性鯖)

イスカンダル「小さきもの、なあ……?

(移動するイスカンダル)

どれ。これを……こうか?

ぴっぴっ、と。

難易度設定……?

ほう、スパルタモードとな。

良い響きだ、奴らのごとく精強というわけか。

無論コレだ。」

マシュ「イスカンダルさん……?

コンソールの前で何をして……」

ロマニ「あれ?

おおい、もしもーし?

訓練プログラムが走り始めたんだけど、キミたち、何かしてるのかい?」

イスカンダル「しておるとも!

酒精で身体が温まってきた頃合い、余興代わりに剣の一つも振るってみようではないか!

ああ、ちなみに余は敵方に加勢するぞ。」

ニトクリス「……!?」

オジマン「安酒にも飽きた。

児戯に付き合うも一興か!

喜べ、偽りの者ども。

貴様らを消し去るのではなく、背より照らすために余は立とう!

命なき民だろうと感涙するであろう。

ファラオの威光をその身に刻め!」

イスカンダル「ふむふむ。

ではそちらはマスターにマシュ、ニトクリスというわけだ。

よいチーム分けではないか。」

マシュ「いつのまにか全員参加に!?」

ロマニ「あー、流れがよくわからないんだけど、シミュレーターで戦闘するって事でいいんだね?

ええと、まあ、怪我はしないようにね?」

ニトクリス「正真正銘のファラオと……私が……?

そのような事、あまりにも不敬に過ぎて——」

イスカンダル「敵前逃亡は許さんぞ。

逃げるなら、それなりの罰を受けてもらわねばなぁ。

どうする、太陽王?」

オジマン「逃亡も敗北も、神たるファラオには不要!

故に——」

イスカンダル「そうさな。

よし、逃げるのならば、貴様はこれからファラオである事を捨てよ。」

ニトクリス「……っ!?」

イスカンダル「それを名乗るな、使うな。

それから……

うむ、今までファラオでごめんなさいと申してみせよ。」

ニトクリス「それは。

それは——できません——。

私はファラオ。

どれほど短い在位であっても!

それは、それだけは——」

イスカンダル「では戦うしかないのう。

ああ、言うまでもないが、これに負けても一緒な。

わざと負けられてもつまらんし。

逆に貴様が勝てば……

まあ、何かしら褒美を与えよう。」

オジマン「口上が長いぞ、征服王!

ニトクリス。

余の無限の光輝に照らされてなお、貴様の鏡は暗黒を映していられるか、否か——

ファラオならば耐えてみせよ!

耐えねば消える。

ハッ、それだけの話よ!」

マシュ「やるしか……ないようですね……!」

ニトクリス「……藤丸! 我が同盟相手!

……私は未熟なファラオです。

それでも、ファラオである事実だけは我が誇り。

それを失うというのならば。

逃げるわけにも、負けるわけにもいきません!

ぶっちゃけ勝たねばなりません!

力を貸しなさい! いいえ、貸してください!」

(戦闘後)

ニトクリス「はぁ……はぁ……!」

マシュ「す、すごい気迫でした……!」

ロマニ「か、勝ったのか、キミたちは。

各時代の象徴みたいなファラオ三騎相手に……!」

イスカンダル「ふふ……はっはっは!

負けた負けた!」

オジマン「加減するつもりは微塵もなかったのだがな。

安酒と、慢心の毒が回ったか。」

ニトクリス「……どうして。皆様は……」

マシュ「(そういえばクレオパトラさんもいますね、いつの間に戦闘に参加していたんでしょうか!)」

イスカンダル「おいおい、勝者がなんという顔をしておる。

余は手加減などしておらん。

ただ貴様の気迫が我らを上回ったというだけだ。

そう、貴様は——

まぁ余も一応含めて言うが——

複数のファラオと戦って勝ったのだぞ?

古き世を生きた鏡の女王よ。

貴様は貴様で、充分にファラオであろうよ。

これは余が余の名誉をかけて告げる言葉だ。

褒美として有り難く受け取るがよい。」

ニトクリス「っ……!?」

クレオパトラ「そうです——ニトクリス様。

妾は確かに見ましたわ。

貴女が仰ったとおりのものを。

貴女がファラオであるという、誇りを。」

ニトクリス「クレオパトラ……

(あれ……あなた、いつの間にいたのです……?)」

イスカンダル「ふむ、それは少なくとも余にはないものだなあ。

この時点で貴様、余よりもファラオとして優れているではないか。

なーにを恥じる事があろうか。」

オジマン「ファラオとしての優劣? くだらん!

ファラオはファラオであるだけで充分なのだ!

それ以上を欲するなど不遜!

なぜなら最も尊く、最も優れたファラオが余であると決まりきっている。

それ以外は全て有象無象よ!

暗黒と復讐のみを為したファラオも、征服のファラオも、最後のファラオであろうと……

死すまでの数日のみを単独で在位した幼きファラオであろうと……

余にとってさしたる差異はない!

しかし、ならばこそ、余に対する憧れはあろうな。

不遜ではあるが理解はしよう。

人は掴めぬと弁えながらも太陽に手を伸ばすもの。

神に触れようとするもの。

余に届かぬからといって項垂れるほど無意味な愚行はあるまい。

それこそ、真の不遜だ。」

イスカンダル「ほう、貴様。

いま余をファラオとして数えたか?

お墨付きを得た感じだのう。」

オジマン「…………はは、なんという安酒!

頭ばかりでなく舌までなまったと見える!

場所を変えて飲み直すぞ、騎兵。

次はせめて余の言葉を誤らせぬ程度の酒を持て!」

イスカンダル「貴様も騎兵であろうに。

しかし飲み直すのはいいが、ここの酒は種類が少なくてなあ……

ああ、そう言えば態度のデカさでは誰にも負けぬ王を知っておるのだが。

奴の酒はなかなかのものだった。

奴がまた蔵から酒を出してくれればいいんだがのう。

どこかにおらんかな?」

(部屋を出て行く音)

マシュ「出て行ってしまいましたね……」

ニトクリス「……ファラオたちはもしや、もしや……

最初から、私に伝える、ために……?

……藤丸。

愚かなる私は永遠の国へ至らず、こうして、座へと導かれて英霊となった。

てっきり私、神々による罰と思っていましたが——

私はオジマンディアス様や他のファラオと出会えた。

そして、貴方という無二の同盟相手とも。

ならばこれは罰ではなく、きっと……

…………いいえ、何でもありません。

妙な事を口走ってしまいました。

気の迷いです。

疾く、忘れ去るように。

忘れなさい!」

ロマニ「すまない、空気を読んでないのは重々承知なんだけど、言わせてくれ。

キミたちが全力バトルしたせいでシミュレーターが大変な事に!

後片付け……わりと大変なんだよ……?」

「二人でやっておきます」

マシュ「はい、先輩。そうですね。

わたしたちがやっておきますからニトクリスさんはどうぞ、行きたいところへ。」

ニトクリス「……よいのですか?」

マシュ「勿論です。」

(部屋を出て行く音)

マシュ「……ファラオ。

エジプトを統べた人たち。

きっと、長い長い時を通して続いてきたものだからこそ、その名を冠した彼らの間には、特別な繋がりがあるのかもしれませんね。

……さて、先輩。

片付けを頑張りましょうか。

しかしさすがに二人きりでは手が足りないと思うので、最初の一手として助っ人を呼ぶ事を提案します。

ドクター? 聞いていますよね?」

ロマニ「……ハイ。

やっぱり、ボクがいるのは当然としての、二人で片付ける、って言葉だったんだね……。

シミュレーターのシステムに影響を及ぼすとか、ファラオたちはいちいち派手で困るよ……とほほ……」