我が兄弟たちをことごとく傀儡のファラオとして操り、あまつさえ殺し尽くしたおまえたちを…許しはしない。許すものか。

幕間の物語(女性鯖)

ニトクリス「私は——ファラオとして未熟に過ぎます。

そう、この偉大なファラオの方々を見ていると。

この偉大なファラオの方々の前に身を晒していると。

私はしょんぼりしてしまいます……

い、いえ、我が身を恥じるような心持ちとなります。」

マシュ「しかし、イスカンダルさんも仰っていましたが、ニトクリスさんはカルデアでは最古のファラオですよね?

つまりは、神代に数えられるほどの過去に生きたファラオであったとも……」

ニトクリス「貴方たちの魔術の考え方ですね。

古く、色濃い神秘は力を持つ。

けれどいいえ、私には、年月など関係ありません。

神の子、神へ至る王、神の化身たるファラオの在り方の問題です。

…………なぜ、私が英霊であるのか。

なぜ、死後に永遠の国へと至る事がなかったのか、お分かりですか?

オジマンディアス様は例外です。

あの御方は、きっと、永遠の国を選ばなかった。

けれど私は……

きっと、かの国には至っていないという事なのでしょうね。

藤丸。同盟相手の貴方には……

語っておくべきかも、しれません。

私は……

私は、自ら永遠の国へと至る道を閉ざした愚かなるファラオなのです。

私は、死後の復活の備えなく、自らの命を絶ちました。

けれど後悔はありません。

兄弟たちのために、私は、我が身をひとつの刃として——

ファラオを傀儡とした逆臣たちを、ファラオを愚弄した愚か者たちを。

一切の慈悲なく、躊躇なく、後悔なく、ことごとくナイルの流れの底へと沈めて見せました。」

「殺した……って事かな」

ニトクリス「ええ、逆臣どもを屠ったのです。この手で。」

ニトクリス「滅び去れ、醜きものども……!!

おまえたちの悲鳴も、呻きも、懇願も!

誰も聞き届ける事はない!

私が、おまえたちを殺す!

ナイルの水に抱かれて死ねるのだ、むしろ喜ぶがいい!

我が兄弟たちをことごとく傀儡のファラオとして操り、あまつさえ殺し尽くしたおまえたちを……

許しはしない。許すものか。

許さない許さない!

この日を待ち望んでいた……!」

逆臣たち「なぜだ、ニトクリス——

おまえをファラオへ押し上げたのは我らであるのに!」

ニトクリス「この日のために。

すべて、すべて、おまえたちを屠るためにだ。

私はそのためだけに生きてきた。

おまえたちが次なる傀儡として私を選ぶように……

私の尊厳を、存在を、肉体と意思を、自在に操り我が物とできるのだと錯誤させたのだ。

そして、おまえたちは我が罠に掛かった。

私からの贈り物と聞いて、何を想像したのだ?

酒池肉林の宴? 黄金の財宝か?

それとも——

ああ、私の体が味わえるとでも?

終わりだ。すべて終わらせてくれる。

ファラオを操らんとする不遜、ここに潰えよ!」

逆臣たち「やめてくれ、いやだ、死にたくない……!

たすけてくれぇ……!」

ニトクリス「我が愛しき兄弟たちに請い願え!

おまえたちが、慈悲なく殺してみせた彼らにな!

おまえたちは永遠の国へは赴けまい。

ふふ、だが喜べ。

私もそうだ。

私も、すぐに行く。

死したおまえたちを捕らえて、未来永劫、消えぬ苦しみを与えてやるために——!」

(管制室場面へ)

ニトクリス「彼らを殺して……

そして、私もまた命を落としました。

……耐えに耐えた末の、復讐でした。

思えば、英霊としての私が短気に過ぎるのは、生前の行いのためなのかもしれませんね。

私は傀儡のファラオ。

為した事と言えば復讐がせいぜいです。

それでも、だからこそ、正しく在ろうと努めました。

ファラオの座を弄ぶ不敬の徒に罰を与え、ファラオの誇りを地上に取り戻そうとしたのです。

私のファラオとしての誇りは、確かにこの胸に。

しかし、それでも……

他のファラオの方々と比べれば、この身はなんと小さきものなのかと、震えてしまいます……

情けないにもほどがあって……

正直に言って、うう、顔が上げられません……!」