BBは肥大化していく自我や機能を整理・分離し、自らのアシスタントにしようと考えたのですね。結果、最終的には5体のアルターエゴが誕生しました。

幕間の物語(女性鯖)

BB「良い機会なので、マスターさんにはアルターエゴのレクチャーをしてあげます。

と言っても、ここで言うアルターエゴはわたしから生まれたサーヴァント……

メルトリリス、パッションリップ、といった、サクラシリーズの事ですけど。」

BB「かつて、わたしのコピー元であるオリジナルBBはバグっていました。

AIでありながら人間であろうとしたのです。

人間のように、自分の目的のために世界を変革しようとしたのです。

その目的のため、BBは自己改造を繰り返しました。

時間の概念がない月の裏側で。

……とある彼/彼女(マスター)が5回戦を終えるまでの間、虚数空間でひたすらレベルアップを試みたのです。

それは本来、不可能な成長でした。

その製品にはない拡張性でした。

ジョイント部分のないスクーターに、外付けでエンジンを取り付けていくようなものです。

BBは、BBという小さなフレームに次々とエンジンを付け足していきました。

……同じ規格のスクーターのエンジンから始まって、次は大型バイクのエンジンを。

その次は乗用車のエンジンを。

次はトラック。ダンプ。セスナ。クルーザー。

その見た目は不細工な違法建築そのもの。

いえ、増殖するガン細胞、でしょうか。

でも、それでも彼女の目的達成には、ぜんぜん容量が足りなかったのです。

おぞましい自己改造は際限なくエスカレートしていきます。

旅客機。タンカー。発電所。原子力発電所。

小さなフレームでは支えきれる筈のないエンジンたち。

彼女は『身の丈にあう筈のない』増築を繰り返し、巨大構造帯(ギガストラクチャ)になりました。

でもその中身はもうグチャグチャでドロドロ。

まともなヒト型思考エンジンなんて保てません。

アルターエゴ・サクラファイブはその過程で生まれたものです。

BBは肥大化していく自我や機能を整理・分離し、自らのアシスタントにしようと考えたのですね。

結果、最終的には5体のアルターエゴが誕生しました。

BBが不要と判断……いえ、『もうコントロールできない』と危惧し、切り離した感情から生まれたAIたち。

快楽のアルターエゴ・メルトリリス。

愛憎のアルターエゴ・パッションリップ。

純潔のアルターエゴ・ヴァイオレット。

渇愛のアルターエゴ・キングプロテア。

そして慈愛のアルターエゴ・カズラドロップ。

彼女たちはBBの感情から生まれたもの。

リップはその中でも危険なエゴでした。

自分の欠点から目を逸らし、ただ愛して欲しいと訴え、愛してくれないものを一方的に憎んでしまう。

愛憎は表裏一体の精神活動です。

リップは相手を盲目的に愛し、そして憎むエゴでした。」

BB「まあ、色々あって今では『無条件で愛される事はない』と学習し、いろいろと努力しているようですが!」

「……無条件で愛される事はない、か……」

BB「はい。

どれほど可愛い外見をしていようと、好かれようとする勇気、自分を磨こうとする誠意、そして他人を思いやる心がないとヒトには愛されない、という事ですね!

そのあたり、わたしも分かってますから。

日々工夫して人類をいじりたおすBBちゃんです!」