天賦の才、とはああいうものを呼ぶのだろう。初代風魔様が目指したものは、まさしく彼だった。なのに、神は一点だけ彼に与えなかった。

幕間の物語(男性鯖)

風魔は五代続き、風魔の術を修めた者は百人を超えた。

だが、段蔵が思うに——

真に風魔の理想に到達したのは、恐らく五代目の彼、ただ一人だ。

漂着したと言われるある男の血と、妖術によって発現した鬼の血。

入り混じった二種の血と、本人の異常とも呼べる能力。

天賦の才、とはああいうものを呼ぶのだろう。

初代風魔様が目指したものは、まさしく彼だった。

なのに、神は一点だけ彼に与えなかった。

名誉欲——

誰かを蹴り落としてでも、成り上がろうとする覇気だけが、彼には無かった。

もしそれがあれば、天下を統一した大名の寝所には、彼が静かに控えていただろう。

結果、風魔の命脈は尽きようとしていた。

……あるいは、もしかすると。

風魔の目的は、五代目風魔小太郎が誕生した時点でほぼ達成したのかもしれない。

人の身でありながら鬼を内側に飼う、最強の忍。

それが初代と果心居士の目的であったのかも——。

いや……絡繰のワタシには、どうでもいいことだ。

——断線した。

何かの記録(おもいで)がブチリと切れた。

生きる目的は最早なく、死にゆく目的すらもなくなった。

ああ、ならばワタシはどうしてここにいる。

ここに留まっている。

ここに封じられている。

何かを為さねば、ならないというのに——