ただ、いきればよかったのに。あいしたひとと、いっしょに。そうすれば、また、あうことも、なかったのに。

幕間の物語(女性鯖)

マシュ「確かに……この前と同じですね。

人の気配は皆無です。」

ロマニ「魔力感知。

……恐らく、例のホムンクルスだ。

複数来るぞ、気を付けろ!」

フラン「ゥゥゥゥゥ——ナァァァヲォォォ!!」

マシュ「大丈夫です、マスター。

この程度なら、鎧袖一触です……!」

(戦闘後)

マシュ「終了です。

……やはり、彼らも死体から鋳造されたものですね。」

???「……その通り。

とはいえ、彼らは大いに役立ってくれたとも。」

フラン「ァ……!?」

???「まさかおまえが英霊に祀り上げられるとは思わなかった。

名前も無い、私の名を盗んだだけのおまえが。」

ロマニ「やはり、彼か……!」

マシュ「——ヴィクター・フランケンシュタイン。」

フラン「ゥ……。」

ヴィクター「そうだ。

貴様はサーヴァントとなり、私は亡霊となった。

だが、どうやら世界の激変が……

私にとっては素晴らしい環境を生み出してくれたらしい。

私は過去の残留物、怨念。

ただそれだけの存在だが、それでも——。

念ずれば、また繰り返すことができる。

またやり直すことができる。

あの奇跡を!

あの神が与えた千載一遇の瞬間を!

再びこの手に掴んだのだ!」

ロマニ「特異点のせいか……

比較的安定している時代すらも、揺らぎ始めているようだ。」

マシュ「つまり……

ヴィクター・フランケンシュタインが生きていたら、という仮定が実行されてしまったんですね。

世界を改変するほどではなくとも、こうして街一つを死に追いやるほどの。」

Eフラン「お父様。もう、いい、よね?」

ヴィクター「ああ、いいとも“イヴ”。」

フラン「……!」

ヴィクター「殺してあげなさい。

そうすれば、おまえは彼女に成り代わり——

新たな伝説を築くだろう。

“イヴ”。原初の女、アダムの番。

その完全体と呼べる女に。」

Eフラン「うん、うん、うん……!

なるよ! なるよ!

姉さんを殺して、私が、私が!」

フラン「……ゥ。」

ヴィクター「口を開くこともできないのか。

何たる欠陥品。おまえは——」

フラン「だま、れ。」

ヴィクター「……!?」

フラン「しゃべるのは、すごくつかれるから。

でも……これだけは、いっておく。

ちちうえ、いもうと。

あなたたちは、とうのむかしに、おわっている。

わたしの、はんりょは、わたしが、みつける。

わたしの、なまえは、わたしが、つける。

だから。

わたしと、いっしょに、こい……!」

ヴィクター「貴様——!!」

Eフラン「黙れ……!!」

マシュ「……フランさん!

わたしたちも一緒に戦います!」

フラン「……うん。いっしょに!」

(戦闘後)

フラン「ハァ——ハァ——ハァッ!!」

Eフラン「く……何でっ! どうして!

こんな、はずは、ない!

おまえが! 姉さんが!

こんな、強い、はずが……!!」

フラン「ナアアアアヲオオオオオオオオオオオオッ!!」

Eフラン「ひっ……!

ガ、ァァァッ……!?」

ヴィクター「……やれやれ。」

Eフラン「お、とうさま、おとう、さま、おとう、さま。

だめ、だめ、だめ、つよい、強い、強い……!」

ヴィクター「安心おし、“イヴ”。

元々、おまえなどに期待はしていない。」

Eフラン「——え?」

ヴィクター「つまるところ。

欠陥の理由は鋳造した魂にある。

ホムンクルスのように魔術回路から造り出すものではないせいだろう。

劣化した魂は人間に劣るものであり、それが英霊に打ち勝てるはずがない。

だから、お前が鋳造された理由はただ一つだ。」

Eフラン「おとう、さま?」

フラン「……ッ!?」

マシュ「な——!?」

ロマニ「何だ何だ、どうした一体!?」

マシュ「ヴィクター・フランケンシュタインが……E・フランを殺害しました……!!」

Eフラン「どうし、て。

わたし、おとうさまの、ために、すべて、」

ヴィクター「それは勿論知っているとも。

しかし——おまえは所詮、欠陥品だ。

そして私という人間も欠陥品。

ならば、おまえの体を私が譲り受ける。

私の魂、私の知識、私の心理。

おまえの肉体、おまえの能力。

それが合致して、初めて“イヴ”に到達できるのだ。

性別が異なるのは些か厄介だが——

何、気にはすまい。」

Eフラン「やだ、そんなの、どうして、やだ、やだ、やだ、わたし、おとうさまに、なりたく、ない……!!

おとうさまに、ほめて、ほしかった、だけなのに……!!」

(乗り移るヴィクター)

フラン「……。」

ヴィクター「……さあ。続けよう。

此度の“イヴわたし”は一味違うぞ。

出でよ、影ども。」

マシュ「シャドウサーヴァント……!?

そんなものまで、召喚できるのですか……!」

ヴィクター「当たり前だ。

私の世界、私の時代、私の場所。

迷い込んできたのは、貴様たちだ。

さあ、“イヴ”のリミッターも解除した。

比類無き力を、試させて貰おうか……!」

マシュ「……歴史の小さなひび割れに過ぎないかもしれません。

ですが、彼を放置してはならない。」

「同感だ」

フラン「……ゥゥゥ!」

「フラン、妹の仇を取れ」

フラン「しょうち、した。

——ナアアアアアアアアオオオオオオオオオッ!!」

(戦闘後)

ヴィクター「そんな……嘘だ。

莫迦な、何かの間違いだ。

奇跡により私は命を授けられた。

ならば、私は奇跡を起こすべく再臨したのだろう?

そうだろう、そうだろう、そのはずだ……。」

フラン「……ちがう。

あなたは、ただ、たまたま、そこにいただけ。」

ヴィクター「バカなことを言うな!

……よくも、そんな出鱈目を……!」

フラン「ただ、いきればよかったのに。

あいしたひとと、いっしょに。

そうすれば、また、あうことも、なかったのに。」

ヴィクター「違う、嘘だ、嘘つきだ、私は選ばれた、私はこの時代に選ばれた、大いなる特異点であり、歴史を変革する存在として——

……違う、の、か……? 」

マシュ「よし、お墓はこれで問題ありません。

では、彼らへの祈りを捧げましょう。

……ジャンヌさんたちがいらっしゃれば、もっときちんとしたお祈りをしていただけるのですが。」

フォウ「フォウ!」

フラン「……ゥ。

ます、たぁ。

さあ、いこう。

じだいを、せかいを、すくいに。

……がんばる。」

「ありがとう、フラン」

フラン「……うん!」