もう少し妾を使え。目にかけろ。せっかく偉大なる妾がここにおるんじゃからな。呼ばれんのは…さびしい。

幕間の物語(女性鯖)

「はぁはぁ……大騒ぎだった……あれからさらに増えるとは……」

武則天「忘れておったが、画の講師として北斎こと章魚筆ちゃんゆぃーびー、碁の講師として諸葛じゅーがーめも呼んでおったのだった。

……一箇所に集める必要はなかったかもしれんの?

ともあれ最終的に図書館を追い出されはしたが、外で全ての授業が完了できた。

琴はもとよりギターもそれなりに弾けるようになってしまうとは、さすが妾……

あのうるさい髑髏女にも褒美は取らせておかねばな。

まあ教え方は、

『そこをギュインとしてバーンじゃ! 炎上だけに!』

などとひどいものであったが、熱意は買おう。

つまるところ、文化的な部分の叩き直しもこれでばっちりじゃ。

サーヴァントが喚ばれるときは全盛期の姿というが、それはそれとして、今の妾は、美も知も妾史上最高の状態にあると言ってよかろう!

うむうむ。

これほどの存在であったなら、たとえあの後宮におったとしても——」

(ノイズ)

女たちの声「——ほほほ。ほほほほ——

どれだけ己を磨こうと、陛下のお呼びがかからねば滑稽。

所詮は田舎者の無駄な——

味方なぞ誰もおらんというのに。

早う諦めればよいものを——」

(ノイズ)

武則天「……諦めん。

諦めて、なるものか。

努力し続けさえすれば、きっと、きっと——」

「(服の裾を、つままれた……?)……どうしたの?」

武則天「……ん。どうもせん。

どうもせんが……少し、疲れた。

しばらく、このまま休ませよ。

…………?

のわ!?

お、おんぶせいとは言うておらんが!?

なに……頑張っていたご褒美、じゃと?

そ、そうか。

それならせっかくの献身、無下にするのも女帝がすたる。

やめよと言う気がない。

何、次の目的地?

いや、もう修行は済んだ。帰ってよい。」

「てっきり次は拷問のレベルアップかと……」

武則天「それは……とりあえず、今はよい。

そういう修行をするなら、おまえの見ておらぬところでやる。

勘違いするでないぞ。

あれは妾が正しいと信ずる統治に必要なもので、恥じることも忌避することもなく、胸を張って行うが。

今はそんな気分ではない、というだけじゃ。

……おまえが見れば快く思わんであろうことくらいは、妾にもわかっておるのだ。当然な。

だから、今回のれべるあっぷ計画にはそぐわん。

そうじゃ。

おまえが眉をひそめる部分を鍛え直してどうする。

必要なのは……」

(ノイズ)

女たちの声「——ああ、諦めるということを知らんのじゃな。

いじらしいやら、あざといやら。

ほほほ——

我らに媚を売ることよりも、長いものに巻かれるよりも、そちらを選び続けるとは。

ほんに愚かよ——

努力をしてさえいればいつか陛下の目に留まるはず、などというのは、実に子供じみた勘違い——」

違う。違うはずだ。

黙れ、囀るな、宮中の狐たち。

相手は中華の皇帝なのだ。

輝く光を見逃すはずがない。

この後宮はそのためにある場所だろう。

だから、そこに入った女がすべきは——

自分の輝きを高めることこそが、第一のはずだ。

時間はかかるかもしれないが。

辛く苦しい道のりかもしれないが。

皇帝が好ましく思いそうな部分を。

美を、知を、書を、音楽を、高めて高めて、無視できないほどに光り輝くことこそが、近くに呼ばずにはいられないほどの魅力を具えることこそが、夢を叶えるための唯一の道筋だ。

すなわち、自分が女帝になるための方法だ。

迷いはない。

迷いはない——

(ノイズ)

武則天「そうだ。

マスターであるおまえが妾を素晴らしく思えるような、妾を連れて歩くのがもっともっと誇らしく思えるような、そういう部分こそを鍛えねばならん、と思ったのだ。

そうでなければ、ひょっとしたら、この先——

って、わー!

妾は何を口走った?

ぼーっとしておった!」

「大丈夫、寝言を聞いても秘密は厳守します」

武則天「……そうか。そうじゃな。

疲れて眠くなっておるのが悪い。

揺れが心地良いのが悪い。

あと、おまえが鈍感なのも悪い。

つまり——これは寝言じゃ。

よいか。

ここにはあの宮中と同じように、多くの者がおる。

そなたに声をかけられるのを待っておる。

今後も、人はどんどんと増えていくであろうが——」

(ノイズ)

迷いはない。

迷いはない。

——ああ、それでも。

ふとしたときに思ってしまう。

ずっとひとりぼっちで努力し続けるのは。

一人の味方もいないまま、望む未来だけをただ待ち続けるのは。

やっぱり、少しだけ——

(ノイズ)

武則天「もう少し妾を使え。目にかけろ。

せっかく偉大なる妾がここにおるんじゃからな。

呼ばれんのは……さびしい。」

「大丈夫、これからもいっぱい頼りにする予定だよ」

武則天「そ、そうか?

にははは、いや、まあ、当然じゃがな!

ああ、ほっとした……

いや別になんでもなく、なぜか無闇にてんしょんが高くなってきたので、はいやー!

すぴーどあっぷじゃ!

妾を背に乗せておる名誉だけで万里を駆ける活力となろう?

ほれほれ走れ走れ、赤兎とどちらが速いかな?

にゅっふふふ!」

赤兎「おや。

私は呂布ですが呼びましたか?

ニンジンとかご褒美にくれる系のイベントなら全力で走るのもやぶさかではありません。

いざ勝負!」

「むーーりーー!」

武則天「諦めるな、全ては努力じゃ努力!

願ったものを手に入れるにはそれしかないのじゃぞ、にっはははーー」

武則天「すー……ぴー……にゅふふふ……。

こらー、おしおきじゃぞぉ……むにゃむにゃ……。」

「(おやすみなさい、頑張り屋の女帝様)」