これだけは言わせてくれ。彼女は本物だ…本物なんだ。だから、こんなところで犬死にはさせられない…死んでほしくなかったんだ!

幕間の物語(女性鯖)

テスラ「電気があれば何でもできる。

イチ、ニイ、サン、ダー!」

マシュ「凄い。

瞬く間に海賊たちが気絶していきます。」

「ティーチ、テスラに変なこと教えてないよね?」

黒髭「うん。教えた。

あの男、わりとガタイいいじゃん?

プロレスとか似合いそうじゃん?

でもあそこまでノリやすいとは拙者も反省じゃん?

あれじゃ拙者、完全に出番食われちゃう……」

テスラ「フッ。少々はしゃぎすぎたようだ。

だが手加減をした事は理解してほしい。

いささか早いスタンガンのお披露目だ。

トマス氏には災難だったろうがね。」

トマス・ドウティ「うう……

なんだ今の稲妻は……

セントエルモの火だとでもいうのか……

髪もやはり私が間違っていると……

くう……だとしても、私は……」

黒髭「おう。

無様に逃げてんじゃねえよ。

神なんざいねえよ。

いるのはこの悪魔オレさまだけだ。

なあおい、トマスさんよ。

えれぇコトやったじゃねえか、ああ?

海賊フランシス・ドレイクを裏切るたぁ大した悪党だ。

見習いたいもんだぜ、まったく。

だがよう、それにしちゃあ懐が寂しいじゃねえか。

どう見ても痩せぎすのネズミじゃねえか。

なあおい、聞かせてくれよ。

オレにはまったく分からねえんだよ。

なんでドレイクを裏切ったんだ?

なーんにも儲かってねえだろうが、テメエ。」

トマス「ドレイクに頼まれたのか?

だったら助けてくれ。

私はここで死ぬわけにはいかないんだ。」

(銃声)

黒髭「助けるとか助けないとか、そういう小難しい話してんじゃねえよ。知らねえよ。

オレが知りてぇのは理由だよ。

なんで裏切ったんだって聞いてんだよ。

なあ話せよ、気になってネットサーフィンもできねえんだよ。

できねえんならテメエも死ねよ。

オレはそっちでもいいんだよ。

ようはスカッとしたいだけなんだからよ。」

トマス「まま、待て、話す!

話すから勘弁してくれ!

……きっかけは彼女がサン・フリアンで、この航海の目的を明かしたことだ。

彼女は当初、スペイン船を襲って儲けるという名目で出資者を募った。

そして船団を組み、プリマスを出た。

だが、その胸には密かに世界一周の計画を秘めていた。

……大親友の私にさえ内緒でだ。」

黒髭「……ああ、思い出したぜ。

フランシス・ドレイクとエリザベス女王を引き合わせたのはテメエだったっけ。

そこは偉いぜ、いい仕事したもんだ。

オレも王族に顔パスとかしてみたかったなぁ。

なあ、今からでもできるかい?

オレを社交パーティーに招待してくれよ。」

トマス「……不可能だ。

キミでは、門をくぐる資格がない。

風格がない。運命を持っていない。

ドレイクが女王と出会い、運命を交わらせたのは私の功績ではない。

あれは、あくまで彼女たちの決断だった。

勇気と、責務と、冒険心によるものだった。」

黒髭「そうかい。それで?」

トマス「……私はそんな彼女に惹かれた。

人間としても魅力的だったが、それ以上に船乗りとしての彼女に可能性を感じた。

その夢を心から応援したいと思った。

だが……」

黒髭「…………。」

トマス「だが……やはり早すぎたのだ。

無謀すぎたのだ。

私の見立てでは今回の世界一周は失敗する。

ここに来るまでに船は減り、みなも動揺している。

唐突な世界一周宣言のせいで、元々一枚岩とは言い難かった船員たちの心も完全に分裂してしまった。」

テスラ「背水の陣というやつだろうな。

彼女はこの状況で打ち明ければ結束が深まると踏んだのだろう。」

トマス「結束が深まったところで何になる!

マゼラン以来、数十年成功した者がいないんだぞ!

私が他の船員たちとスワン号を奪って逃げたのは、それで彼女が世界一周計画を諦めると思ったからだ。」

黒髭「ふん、あのフランシス・ドレイクが、そんなことでテメエを曲げると思うのかよ?」

トマス「……そうだな。

今になって思うと浅はかだった。

こんなことでは彼女は曲がらないし、止まらない。

しかしこれだけは言わせてくれ。

彼女は本物だ……本物・・なんだ。

だから、こんなところで犬死にはさせられない……

死んでほしくなかったんだ!」

マシュ「じゃあ、わたしたちはドウティさんの命懸けの行動を阻止してしまったのですか……。」

「このままだとこの時代のドレイクは……」

トマス「……普通に考えれば失敗し、帰らぬ運命になるだろう。

だが、それは私のような臆病者の言い訳だったのだろう。

彼女の船、ゴールデンハインド号と、船員たちの一つになれば——

どれほど苛烈な航海だろうと、どれほど犠牲を払おうと、最後には乗り切るかもしれない。」

テスラ「しかし、その団結の可能性を貴方が潰した。

鹿の脚は折れた。

そう簡単には戻るまい。」

トマス「……そうだな。

だから私は生きて戻らなければならないのだ。

反逆者として。」

マシュ「え……。」

トマス「命乞いをしているのは死にたくないからじゃない。

死に方を選びたいからだ。

連れ戻された私は裁判にかけられるだろう。

ドレイクの適切な処断により、反逆者の私は然るべき報いを受けるが、船員たちの心は一つにまとまる。

そうなれば……あとは彼女次第だ。

世間の評価も、一般論も関係ない。

あとはフランシス・ドレイクが、その運命と闘うだけの話になる。」

黒髭「そうかい。

そいつは胸くそ悪ぃ話だ。

思いの外つまらねえ、景気の悪い話だったぜ。

てっきりドレイクの財産でも掠め取って隠していると思ったのにな。くだらねえ。

殺してもなんの得もねえ。見逃してやる。

さっさと行きな。

ああ、オレたちのコトは誰にも話すなよ?

話したらその場で眉間に鉛弾だからな?」

トマス「……恩に着る。ありがとう。」

黒髭「はん。

殺される人間に感謝されたのは初めてだな。

ま、これから先もねえだろうがよ。」