アンタが笑っているうちは、みんなアンタに手を貸すさ。窮地で笑うヤツほど頼もしいヤツはいないからね。こんな勝ち馬、英雄なら放っておかないさ。

幕間の物語(女性鯖)

ドレイク「連中もたまには役に立つね。

嵐と海流のおかげで早く目的地に着いた。」

マシュ「……無事、岸に辿り着けましたマスター。

最後の方はまた跳んでましたね、船……。」

テスラ「南に見えるのがドレイク海峡か。

複雑かつ過酷な潮の流れだ。

確かに16世紀の航海技術であの海域を抜けるのは不可能だろう。」

ドレイク「ああ。

アタシも見つけただけで、渡っちゃいないけどね。」

黒髭「勿体ないですなあ。

もしBBAがドレイク海峡を渡って南極大陸に辿り着いていたとするとですぞ?

世界一周と無敵艦隊撃破という偉業と合わせて、三冠王の星の開拓者だったのに。

あー、惜しい!」

ドレイク「あー、そりゃ確かに勿体ない。

三冠王ってのは景気のいい肩書きだよ!

だがまあ、それも後になっての話さ。

アタシはマゼランと違って南の超大陸メガラニカに興味はなかったからねぇ。

ところで黒髭、船賃代わりにその辺にいる動物を獲ってきてくれないかい?」

黒髭「このBBAはまったく人使いが荒いですな。

10頭、それとも100頭?」

ドレイク「一頭でいいよ、どんだけ大食いなのさアタシは。

生肉を持ってきとくれ。

久々に食べたくなってね。」

黒髭「みんな〜、お待たせ〜!

見て見て、今日の黒髭ったらワイルドすぎない?

拙者、いろいろ工夫したんだけどぉ。

はい。アザラシしかなかったんですよね。

BBA、アザラシ食べる?

キモとかいっちゃう?」

ドレイク「アンタにしちゃ上等だよ。

ほら、よこしな。

アタシが調理してやるから。」

黒髭「うそ、生でいかないの!?

っていうかBBA料理できるのかよーー!?」

ドレイク「うるさいね、できるに決まってるじゃないか!

皮剥いで、内臓抜いて、肉を焼くだけさね!

ぐだぐだ喧しいとアンタも料理してやるよ!

当然生きたままだけどねぇ!」

黒髭「それ料理っていわねえですー!

処刑法って言うんですぅー!」

(料理後)

ドレイク「そう、これこれ。

まったくひどい味さ。

アンタらもどうだい?」

マシュ「……い、いただきます。」

「言うほどひどくは……いや、決してまずくはないよ?」

マシュ「マスターの言う通りです。

軍用レーションに比べたらよほど。」

ドレイク「そりゃ良かった。

けど、来る日も来る日もアザラシだけを食べられるかい?」

マシュ「え……それは。」

ドレイク「マゼラン海峡を越えた後にひどい嵐に巻き込まれてね。

やっとの思いでここに漂着したんだ。

サン・フリアンで再編した船団も散り散りになって、とうとうゴールデンハインド号一隻になっちまった。

食料だって尽きかけていたし、素寒貧もいいところさ。

仕方ないからここでアザラシばっかり食べていた。」

テスラ「これを毎日ですか。

菜食主義である私には拷問に等しいですな。」

黒髭「肉食でもアザラシづけとか無理だっつーの。

フツー逃げ帰るっつーの。」

ドレイク「ばーか、死ぬような目で逃げ帰るようなら海賊なんてやってないだろ、アタシもアンタもさ。

アタシは逆に燃え上がったねぇ。

普通に生きてりゃアザラシの肉にも縁が無かった訳だし。

船はまだ生きていた。

アタシの航海術はまだ完全に負けちゃいなかった。

だいたい、ここで引き返したらトマスの馬鹿が無駄死にになっちまう。

傷口に塩を塗り込んで、ここをアタシの分岐点にしようってね。

そんな訳で、この島には長居した分、いろんな仕掛けを施したのさ。」

マシュ「色々な仕掛け……

ではティーチ船長の言う通り、ドレイク船長の隠し財宝も……?」

ドレイク「ああ。

この先の洞窟に隠してある。

このアザラシをいただいたら取りに行こうか。

アンタらは貴重な魔力資源を得る。

アタシは……そうだね。

アタシにとってアザラシの肉は戒めの味だからねぇ。

ちょいと、テメエのケツに火を点けるとしようか。

なにしろカルデアには強力なサーヴァントが多いからね!

それぐらいしないと、他のライダーに負けちまうかもだ!」

「ドレイクはいつだって最前線の船長だよ」

ドレイク「そうかい?

まいったねぇ……

お世辞には疎いんだ、アタシ。

顔が熱くていけない。」

黒髭「マジで!?

拙者、いつもBBAを遠回しに褒めているつもりですが!

なぜ赤くならないのでござる!?」

ドレイク「そりゃアンタが嘘つきだからだよ。

たまには本音を口にしなよ。

そして死になよ。」

黒髭「でもそれでこそBBAですぞー!

拙者、年増ヒロインのデレとか見たくないですからな!」

ドレイク「さ、無駄話はここまでだ。

マシュ、ドクター。

魔力資源なら多少は持ち帰れるんだろ?

変換はそっちに任せたよ。

藤丸に用立ててやっとくれ。」

ロマニ「ああ、もちろんだとも!

こちらでも大量の魔力量を確認しているよ!

宝石に魔力を込めて貯蔵するのは、魔術世界でも知れ渡った方法だ。

遠慮なく使わせてもらうよ。

これで少しは楽になる。」

「ありがとう、船長」

ドレイク「ああ。

なにしろ敵はとんでもない大物だ。

武器は買えるだけ買っておけ、ってヤツさ。

……ま、色々あったアタシの航海だけどさ。

こうして後に続く奴らの力になったのなら、少しは英雄だって胸を張れるかねぇ。

阿呆どもの馬鹿騒ぎ、で終わったんじゃなくてさ。

『どんな嵐に飲まれても懲りなかった奴がいる』

そんな証明になったのなら、手前の惨めな最期も笑えるってもんさ。

藤丸、アンタはもう嵐の海に投げ込まれちまった。

逃げる事もできない。

進む事もできない。

泣いたって許しちゃもらえない。

そんな中で出来る事は、強がって笑う事だけだった。

厳しい話だけど、それだけは忘れるんじゃないよ。」

「笑うだけでいいんですか?」

ドレイク「ああ。

アンタが笑っているうちは、みんなアンタに手を貸すさ。

窮地ピンチで笑うヤツほど頼もしいヤツはいないからね。

こんな勝ち馬、英雄なら放っておかないさ。

な、そうだろうニコラ・テスラ。

アンタも笑い上戸のようだけどさ?」

テスラ「そうだとも。

天才であれば、窮地でなくともつい笑みがこぼれるもの。

むしろ常に微笑むもの。

もっとも、藤丸にはニヒルな笑みは似合わないがね。

静かな春の日を思わせる強さ……

いや、公園で佇む鳩のような愛嬌のある優雅さ……

そんな笑みがキミには似合うだろう。

無論、私はそのような知性ある笑みを好む。

どこかの凡骨のように、ただ大声で笑う男とは大違いだ! 実にいい!」

黒髭「そうそう。

陰気くさい大将はいけませんぞぉ〜。

なぜって、集まるメンバーがみんな殺人鬼ばっかりになっちゃうからね!

拙者、どんな戦いであれハーレム志望ですので!

笑顔こそ最高のチャームポイントなので!

明るく楽しく、無垢な女の子しかいない異世界とかに転生したーい!」

ドレイク「ははは。

言うまでもないけど、そこの馬鹿は放っておいて。

これからもよろしく頼むよマスター。

この先、どんな戦いが待っていても胸に張るんだ。

どうか最後の最後まで、阿呆なアタシらを愉快な気持ちにさせておくれよ?」