オジサンはね、籠城戦とか守備戦とか防衛戦とか——。要するに守ることが必要な戦いじゃ、負けた試しがないんでね。ま、あのアキレウスは別として、だけどな!

幕間の物語(男性鯖)

ヘクトール「なに、そう警戒するなって。

今の俺ぁ、アンタのサーヴァントなんだから。」

「警戒している訳じゃない」

ヘクトール「そうかい。

そいつぁ、ありがたい。

で、ちょいと相談があってな。

マシュもいいかい?」

マシュ「は、はい。構いませんが……。」

ヘクトール「オッケー。

そんじゃ、ま。端的に話すとだな。

今の俺、全力じゃないんだよね。」

「本気出せば強い?」

ヘクトール「そうそう。

もちろん手ぇ抜いてる訳じゃないし、本気出したら強いよ、俺は?

でもなー、宝具がなー。

ちぃっとばっかり弱くなってんだよね。」

マシュ「デュランダルですね。

確か……ヘクトールさんはドゥリンダナ、と呼んでいたような。」

ヘクトール「そうそう、確かそんな名前だっただった。」

マシュ「あの、宝具の真名くらいちゃんと覚えておいた方がいいのでは?」

ヘクトール「いやあ、はっはっは。

正味な話、槍なんてブン投げられたらどんなものだって構わないのさ。

大体お前、後生大事にしてる名剣名槍だって戦場じゃポッキンポッキン折れるのが当たり前だっつーの。

折れなくても、投擲したら無くなるもんだし?

だったら何でも使えるようにしといた方がいいじゃん。

ぶっちゃけ石ころ一つありゃ、オジサン一人殺せるぜ?

それが英雄だろうが、何だろうが、ね。

ただまあ、それはそれとしてこの槍は後世にも伝わっちまう代物だ。

少しは切れ味を取り戻しておかなくちゃな。

そうさな、あと百人くらい斬っておけば——。」

マシュ「……では、模擬戦闘プログラムでトレーニングを行いますか?」

ヘクトール「仮想戦闘か……。

ま、この際贅沢は言えねぇか。

マスター、どうだい。

オジサンのトレーニングに一つ、付き合ってくれんかね?」

「仕方ない」

ヘクトール「いいねえ、即答ってな人の本性が出る。

アンタやっぱり立派なマスターだよ。

それじゃ、行こうぜ。」

(中略)

マシュ「ゴースト、全滅確認しました。

次が最後になります。」

ヘクトール「おう。

最後なんだったら、とびっきり強い奴を用意してくれ。

何だったらドラゴンでも構わねぇぜ。」

マシュ「はあ、でしたら——

エネミータイプ、ドラゴンを召喚します。」

「本気!? 冗談だよね!?」

マシュ「え、冗談だったんですか?

あの、もう召喚開始してしまいました!」

ヘクトール「あー、いいっていいって。

今の俺はマスターを守る責務がある。

オジサンはね、籠城戦とか守備戦とか防衛戦とか——。

要するに守ることが必要な戦いじゃ、負けた試しがないんでね。

ま、あのアキレウスは別として、だけどな!

さあ、マスター指示を!

アンタの盾として、城塞として——戦ってみせるぜ?」

(戦闘後)

マシュ「消滅確認しました……!

凄いです、ヘクトールさん。」

ヘクトール「へえへえ、やーオジサン少し張り切り過ぎちゃって肩と腰が色々痛いわ。

ま、そこそこドゥリンダナの切れ味も戻ったみたいだし。

これでよしとするか。

じゃ、そろそろ帰ろうぜ。

——ああ、そうだ。

これでま、ちっとは役立つかね?」

「もちろんだ。これからも力を貸して欲しい」

ヘクトール「そうかい。

じゃ、精々頑張るとするか。」

マシュ「……もしかして、ですけど。

ヘクトールさんはあの海で戦ったときのことを気にしていたのでは。

彼にとっては単なる遠い過去の記録だとしても、私たちからすれば、生々しい過去ですし。

だから、自分がちゃんとしたサーヴァントであることを証明したかったのかも……。」

「彼を信頼している」

マシュ「……そうですね。

サーヴァントとはそういうもの。

彼は私たちの召喚に応じてくれたのだから、それは嬉しいことであれ困ったことではありません。

これからも、彼と共に戦いましょう。」