ああ、思い出したぞ。私はかつて一つの過ちを犯した。その償いとしてトロイアを救うと決めた。だから来たのだ。

幕間の物語(女性鯖)

ヘクトール「いやホント、真面目に相対すると身体に不調が出ると思うんだよ。

まだ真面目に相対した事ないけどさ。

遠くから何か投げるくらいがせいぜいで……。」

ダヴィンチ「こーら、往生際が悪いぞ。

彼女には恩義と借りがあるんだろう?」

ヘクトール「それはもちろん。

オジサンがくたばった後のトロイアを保たせてくれたのは、本当に感謝している。

俺が死んだ後はお通夜ムードだったっぽいからねえ。

あいつらが来てくんなきゃトロイア全体が折れてた・・・・

オデュッセウスが木馬を作るまでもなく、あっさり戦争は終わってただろうさ。

もっと一方的な虐殺でな。

オジサンが得意なのは防衛戦なんだが、こいつはカルデアを護る戦いだと言えなくもない。」

ホームズ「では、計画・・に賛同してくれるという事でいいかね?」

ヘクトール「しなきゃしょうがないだろ?

ただ、途中で見捨てて逃げるのだけは勘弁してくれよな。

何度も言うが、オジサンは本当にアキレウス・・・・・と戦うのはもうコリゴリ——」

「あっ」

モリアーティ「あっ。」

マシュ「——。」

ダヴィンチ「こらっ。

今は最高に気が立っているから、名前を呼ぶだけでも危険だって話で符牒を使うコトにしたんだろう?

ちゃんとA氏と呼びたまえ!」

ホームズ「……いやはや。もう遅い。」

(壁を突き破る音)

ヘクトール「うおおおおお!?」

マシュ「か、壁をぶちぬいて!?」

ペンテシレイア「聞こえた、確かに聞こえたぞ……

名前が聞こえたというコトは、存在するというコトだ……。

そう!

確かに、匂いも感じている!

故に、いる。いるはずだッ!

アキレウス!

どこだ……。

どこだ……?」

ヘクトール「い、いるかなあ。

気のせいじゃないかな?

うんうんきっと気のせいだと思うなあ、オジサンは。

ほら、だってこの部屋にもいないだろう?

きっとカルデアのどこにもいないんじゃないかなあ?」

ペンテシレイア「フシュー……

これは、ギリシャの男の……匂い……?」

ヘクトール「え゛。」

ペンテシレイア「匂いのする……ギリシャの男。

それは……すなわち——アキレウス!」

ヘクトール「オジサン、これでも純正のトロイア人なんだが!

どっちかって言やぁ味方側!」

モリアーティ「そんな当然の理屈が通じないのが今の彼女なんだよねェ。

ハハハ、愉快愉快。狂化バンザイ。」

ヘクトール「笑ってる場合じゃねえよー!」

ホームズ「彼女が何をギリシャの男と定義しているかにもよるだろう。

特にキミはギリシャ軍と長く戦いすぎて、その血の臭いが染み付いているという事もあるかもしれないし。」

ヘクトール「オジサン、冷静に分析しろとも言ってないぜ!

つーかこっちの場合でも、見捨てて逃げたりしないって約束は適用されるって信じてるよ、みんな!」

ダヴィンチ「勿論、見捨てるわけにはいかないね。

ひとまず彼女を落ち着かせないと何も始まらない。

藤丸君、指示を頼むよ!」

マシュ「できるだけ穏便に彼女を取り押さえましょう!

よろしくお願いします、マスター!」

(戦闘後)

ペンテシレイア「…………。

ここは……?」

(大勢が争う音)

ペンテシレイア「戦場、か。

だが……どうしてだ。

私はここを、知っている……?」

「おはよう、ペンテシレイア」

ペンテシレイア「む。

おまえは——マスター。

そう、マスター、だ。私の。」

ヘクトール「そして——

オジサンの事は分かるかな?

ちゃんと分かってくれるかな?」

「(ヴェロキラプトルを制止するポーズだ……)」

ペンテシレイア「ああ……うむ。

知っている。分かるぞ。

おまえは、確か——

兜輝くヘクトール、だ。

プリアモス王とへカベー王妃の子。

トロイアの王子。

聖剣ドゥリンダナの使い手だ。」

ヘクトール「お、おう。

そうだよ、そのとおりだよ?

(よし。どうやら、一暴れしたおかげでそれなりに落ち着いてくれたみたいだねぇ……)

さて、オジサンのことを思い出してくれたんなら、ここがどこかも分かるだろう?

トロイアだ・・・・・

俺の故郷、何に代えても護るべき場所。

そして、おまえさんがアマゾネスの手勢と共に救援に駆けつけてくれた戦場だぜ。」

ペンテシレイア「む?

しかし……何か……。

頭に引っかかるのは、何だ……?」

ヘクトール「おいおい、戦場で呆けるのはよしなよ?

トロイアの王子で総大将であるヘクトールのいる戦場が、あの戦争の地以外のどこだっていうんだ・・・・・・・・・・・・・・・・・・?」

ペンテシレイア「そうか……?

うむ……確かに、そうかもしれん……。

ああ、思い出したぞ。

私はかつて一つの過ちを犯した。

その償いとしてトロイアを救うと決めた。だから来たのだ。」

ヘクトール「そちらさんの裏事情はともかくだ。

アマゾネスの勇猛さを世に知らしめるのに丁度いい、って思いもあったんだろ?

だから精鋭たちを引き連れて来たはずだよな。」

ペンテシレイア「——そのとおりだ。いるか?

いるはずだ、私が率いてきたのだから。」

ヘクトール「そりゃいますよォ。

ダ・ヴィンチが苦心して、できる限りリアリティのあるシミュレーションを走らせてんだから——

っと、何でもない何でもない。」

「呼んでみたら出てくると思います」

ペンテシレイア「ああ。

我が声に応えよ、勇猛なるアマゾネスの戦士たちよ!

汝らが女王、軍神の子たるペンテシレイアは此処にいるぞ!

クロニエー! ポレムーサ! デーリノエー!

エウアンドレー、アンタンドレー、ブレムーサ!」

ペンテシレイア「ヒッポトエー!

ハルモトエー、アルキビエー、アンティブロテーは!」

ペンテシレイア「デーリマケイア、テルモードーサはどうした!」

ペンテシレイア「……?

いささか顔や装備に違和感はあるが、まあ、行軍の直後だ。

そういう事もあるか。

呼びかけて応えたのだから、こいつらが私の部下でないはずがない。うむ。

よし——

我が部族の誇る12の精鋭たちよ。

トロイアの地の救済者たちよ。

戦の時だ。」

ヘクトール「あー、分かってるとは思うけど、敵はあっちのほうから来てる奴らだからな。」

ペンテシレイア「ヘクトール。

貴様自身も貴様の軍も、戦うのは構わんがこちらの邪魔はするな。

猛る我らの前に出てきたならば命の保証はしない。

ついでに首を刈られても文句は言わせんぞ。」

ヘクトール「おお怖。

だから先に釘を刺してみたんだけどな。

まぁオジサンは元々のらりくらりと立ち回るタイプなんで、あんまり前に出てガツガツやる気はないぜ。今も昔もな。

(しかし……彼女はまだ目の前の敵しか見えてない感じかね?

仕方ない、適当に身体を温めてもらうか)」

ヘクトール「じゃあマスター、始めようぜ。

フェーズ1だ。」

「怪我しない程度に頑張りましょう!」

ペンテシレイア「アマゾネスの戦士たちよ。

我らは勇猛にして獰猛なるアレスの血族。

我らが立つ戦場に一切の怯懦きょうだはない。

一切の敗北もない。

在るのは血だ。勝利だ。

我らに対する敵が死の間際に甘受する絶望と畏怖だ。」