どこにいる貴様も、どこに逃げる貴様も、必ず、必ず必ず必ず、それは私が殺す貴様だ! 私が与える死の運命から逃れられぬ貴様だ!

幕間の物語(女性鯖)

ペンテシレイア「しかし……

この敵はなかなか上質だ。

歯ごたえがある。」

「そうなの?」

ペンテシレイア「これだけ戦っておきながら、まだ我らが一方的に蹂躙できていないというのはそういうことだ。」

ヘクトール「そりゃそうだろうさ。

つーか、そうじゃなくちゃおかしい。

もう一度思い返して欲しいもんだ。

いま俺たちが相対しているのは、アカイアの軍団——

我が弟パリスが攫ったヘレネーを取り返すためにトロイアを全力で攻めてきてる正義の軍だ。

神の祝福だって受けてる……

こっちについてくれた神もいないわけじゃなかったけどな。

それから——

神じみた力を持った、一騎当千の英雄たち。

あっちにはそいつらがいるぜ。

アガメムノーン、オデュッセウス、パトロクロス、二人のアイアース……。

だから、そろそろ——

出てくる・・・・。出てくるのさ。

これはトロイア戦争なんだからな。

なあ、ペンテシレイア。

もう身体が温まった頃合いだろう?

だから……その身体が、そろそろ思い出すだろう?

この戦場に・・・・・誰が一番いるべきなのか・・・・・・・・・・・。」

ペンテシレイア「ああ……そうだ……

いる、はずだ。

匂いがし始めたぞ。

どこだ。どこだ。

どこにいる——!?」

ヘクトール「あそこさ。」

ペンテシレイア「ああ、ああ、あああああっ……!

いたか、そこに、いたか!」

アキレウス「…………。」

ペンテシレイア「殺す、殺す殺す殺す!

今度こそ! 今こそ!

私は、貴様を——殺すッッッッ!」

ヘクトール「さてさて、フェーズ2だ。

上手くいくかね……?

いってくれよ、頼むよもうマジで!」

(戦闘後)

ペンテシレイア「アア、ハア、アアアアアアッ…………!

アキレウス、アキレウス、アキレウス!!

殺す、殺す、殺すッッッッ!」

ヘクトール「もう殺ッちまってるんだけどなぁ。

それにすら気付けない、か。

案の定だが、頭も身体も温まりすぎちまってるみたいだ。」

「でも、あれで終わりじゃない」

ヘクトール「そのとおり。

ダ・ヴィンチがそろそろ……

そら、来たぞ。」

ペンテシレイア「どうだ、どうだ、どうだッ!

これでもまだ、おまえは、おまえはぁッッッ!

————!??

これは…………!

いや。アキレウス。

そうだ。知っているぞ。

貴様は……速い。

迅い、疾い、捷い!

だからか?

だからこう見えているのか?

人類最速をほざく英雄が、ああ、そこかしこに!

……っ、はっ、くははははははは——

笑止!

ならば、私はその全てを潰すのみ!

どこにいる貴様も、どこに逃げる貴様も、必ず、必ず必ず必ず、それは私が殺す貴様だ!

私が与える死の運命から逃れられぬ貴様だ!

故に——

目に映る全ての貴様を潰せば、貴様の速度になど意味はない!」

ヘクトール「うーん、言語機能もオーバーヒートしてきたみたいだぞ。

さすがバーサーカーってなもんだ。

……マスター、下がってな。

いよいよ巻き添えを喰う可能性が高くなってきたぞ。

奴はもう、自分の周りで動くもの全てをアキレウスだと思ってるだろう。

もし運悪くこっちに襲いかかってきたら——

この不毀の極槍ドゥリンダナを全力で振るうしかない。

そうじゃなきゃおまえさんを護れねぇ。

そんときゃあいつが死ぬかもしれんし、逆にこっちが死ぬかもしれんが……

それは不可避のリスクさ。

やーれやれ、こんな働き者のムーブをするのはガラじゃないんだがね。

少なくともマスターの命は誰かにバトンタッチするから安心しとけ。

マシュの嬢ちゃんに恨まれたくはないしな。」

「死なないように頑張ってください!」

ヘクトール「努力はするよ。

だがまあ、それでもどうにもなんないのがこのトロイアって戦場でねぇ。

神と英雄、怨念と妄執、矜持と驕慢、背徳と道徳。

一つで充分に腹一杯になれるモンが重ねて敷き詰められた挙げ句に、運命の女神の手でぐちゃぐちゃに掻き回されてる。

何が起こってもおかしくないし、誰だって死ぬときゃ死ぬ。

そういうおっかない戦場なのさ。

いやはや、自分のやったことながらよくもまあ十年も持ちこたえられたモンだ。」

「でも今は……」

ヘクトール「おっと、そうだな。

これはただのシミュレーション。

オジサン、いつのまにか夢中になっちまってたみたいだなぁ。

ああ、お恥ずかしいったらありゃしないねぇ。

だが——

ペンテシレイアだけは本物だ・・・・・・・・・・・・・

あの狂気と、あの想念はな。

だから、今こうしている事には意味があって……

同時に、怖ェのさ。

あいつの狂気が何を壊したら止まるか、本当は何を壊したいか、なんて……

俺たちには想像する事しかできないんだからよ。」

ペンテシレイア「ああ、アキレウス、ペーレウスの子アキレウスよ!

私を見ろ。

アマゾネスの戦士である私を見ろ!

私と戦え、アキレウス、戦意のみを胸に戦え!

……あの言葉はもう言わせん。

決して言わせん。

私はもはや美しい者ではない、女ではないッ!

ただの戦士である私と、アキレウスよ——」