レフ教授の残した置き土産なんだろうな、クソ。特異点どころか、なんにもありゃしない。脱出しようにも出口まで邪魔者がぎっしりだ。

幕間の物語(男性鯖)

マシュ「すみません、マスター。

こんなことになってしまって……。」

「マシュのせいじゃないよ」

ロマニ「ただの怪物退治のはずが、まさか生き残りをかけたサバイバルになっちゃうとはね……。」

ロマニ「流石のヘラクレスも三日三晩暴れ通しでガス欠かな……。」

マシュ「迷宮……ですか?」

ロマニ「うん、冬木の地下迷宮……

大空洞があった場所だね。

その迷宮の奥から妙な反応を観測してね。

特異点の残滓か、時空の乱れか。

どちらにせよ放置しておけるものじゃない。」

マシュ「禍根は小さいうちに処理、ですね。

早速出発しましょう、先輩。」

ロマニ「で、まんまと罠だったわけさ……。

レフ教授の残した置き土産なんだろうな、クソ。

特異点どころか、なんにもありゃしない。

脱出しようにも出口まで邪魔者がぎっしりだ。

しかも魔術的に閉じられた空間のようで外から干渉が効かない。

通信が精いっぱいだ。」

マシュ「……!!

また来ました!!

行きますよヘラクレスさん!!」

(戦闘後)

ロマニ「だ、大丈夫かい?」

マシュ「はい、なんとか……、ですがこのままではいずれ消耗して……」

ロマニ「言いにくいけど……、一つ手がなくはないんだ。」

「どんなの?」

ロマニ「バーサーカーさ……、以前、言ったよね。

ヘラクレスの『狂化』はまだ、本当の意味での『狂化』じゃない、その上があるって……。」

ヘラクレス「…………。」

マシュ「本来の『狂化』ですか……。」

ロマニ「ああ……、彼が本来の『狂化』で力を取り戻せばこの窮地から脱出できるかもしれない……。」

「なにか、問題があるみたいだね」

ロマニ「言っただろう、ヘラクレス程の英霊を本来の『狂化』でパワーアップさせるには莫大な魔力が必要だって……。

並の魔術師じゃ死んでしまうレベルの魔力がね。

それにヘラクレスはもともと狂乱の逸話の多い英霊だ。

しかも狂乱の度に何かしらの悲劇を起こしてる。」

マシュ「……わたしは反対です。

先輩にそんな危険は犯させられません。」

ロマニ「だけど、もうマシュも限界だろう……。

他に方法が……。」

ヘラクレス「…………。」

「よし、やろう!! で、どうやればいいですか?」

ロマニ「やり方は簡単だよ、ただ念じればいい。

もともとの召喚の詠唱をすこし変えるだけさ。

——汝、狂乱にその身を焦がせ……ってね。」

ヘラクレス「…………。」

ロマニ「まずいぞ、いよいよ敵さん、最大戦力の投入だ。

幻想種、しかも竜種。

僕からは強制はしない。

藤丸君、君が決めてくれ。」

マシュ「先輩っ!!!」

ヘラクレス「………………!!」

(戦闘後)

マシュ「すごい……、これがヘラクレスさんの本当の力……」

ロマニ「まずいぞ、案の定だ。

制御が全く効かない!!

このままだと藤丸君が!!」

マシュ「先輩ッ!!!」

ダヴィンチ「いや、なんかいい話だったね……みたいな顔してるけど、死ぬとこだったんじゃないか?」

マシュ「とにかく……、疲れました……。」

ロマニ「それにしても、よくあの状態のバーサーカーを制御できたね。

いやー、大したもんだ。」

「いやその……あの後、実は気を失っちゃって」

ロマニ「じゃあ、『狂化』を発動した段階で藤丸君からの魔力供給が切れてたんだね。

それでバーサーカーも燃料切れを起こして停止した、と……」

マシュ「いえ、実際あのあとヘラクレスさんだけで周囲の魔物を掃討しつくしていたので、それも考えづらいのですが……。」

ロマニ「うーん、じゃあもしかしたらまだ本来の『狂化』ランクまで届かなかった……とか?

いやいや、そんな馬鹿な……、いくらオリンポスの大英霊っていっても、ねぇ?」

「そうなのかな。とにかく助かったよ」

マシュ「え?

いま、ヘラクレスさん……?」

ロマニ「うわっ!? びっくりした!?」