ともかくオレは死のうとする頼光サンを止めに入った。んなバカな事だけは止めてくれ、ってよ。みっともなく泣きながら、土下座して頼んだ。

幕間の物語(女性鯖)

金時「——やあっと来たか。

アンタの出番だぜ、大将!」

今回ばかりは、オレひとりじゃどうにもならねぇ状況だ。」

「部屋で寝てた気がするんだけど……」

金時「おう!

アンタは間違いなく寝こけてるぜ!

今もな!

マスターとサーヴァントは夢で繋がる、って奴だ。

こいつは夢だ。

とびきり物騒なドリームだ。

とは言ってもオレの夢じゃねえぞ。

いや、オレの夢でもあるのかもしんねぇが——

コレは頼光の大将の夢の中・・・・・・・・・だ。

しかも、頼光サンの逸話の中でも有数の強敵、牛鬼の類との戦いの場面と来たもんだ。

牛鬼はどいつもこいつも強敵だったが、中でもコレは大物も大物!

丑御前——

頼光サン自身が切り離した魔性の具現、だ。」

「金時も一緒にいるって事は……」

金時「過去の出来事ん時はオレが止めた。

いや、止めたっつーか結果オーライだっただけだがな。

頼光の大将はな……

丑御前として顕現した自分の魔性を、殺そうとした。

錆びた話さ。本末転倒ってやつだ。

切り離そうが何しようが、自分は自分でしかねぇんだ。

自分を殺したらどうなるよ?

そりゃ、死ぬわな。」

「彼女は……自殺しようとしてた?」

金時「ああ。

一人で悩んで、一人で苦しんで、大将は……

鬼の自分を殺す事で、人として死ぬ事を選ぼうとしやがった。

……オレは抗った。

死なせてくれと叫ぶ大将を無視して。

こっから先は前に言ったっけか?

オレは頼光サンを打ちのめして戦いを止めたんだ。」

「聞いてない、かも」

金時「あんまり言いたい話でもねぇんだが……

ともかくオレは、死のうとする頼光サンを止めに入った。

んなバカな事だけは止めてくれ、ってよ。

みっともなく泣きながら、土下座して頼んだ。

最後は、丑御前の方が折れてくれてよ。

自分からオレっちの雷撃を受けて、気絶しやがった。

文字通り失神・・ってヤツさ。

それ以来、丑御前は出てこなかった。

だが、今回はちと流れが違う。

アンタは戦わなきゃならねえ。

頼光サンのマスターとして。

源頼光を受け止めるに値する器かどうか、普段は奥底で眠ってくれてる丑御前あの方との対面だ!」

「そんな気はしていた!」

金時「そうでなきゃな!

オレっちも全力で助太刀すらぁ!」

丑御前「——なるほど、貴方ですか。

頼光わたしの新たな子というのは。

仲良く金時と一緒に馳せ参じるとは、殊勝な事。

ですが、ふう。

どうにもいけません。

ただの人間ではないですか。

世界を救うだのなんだのというから、いかほどの……

異形、魔性の血を継いだ英雄かと思いきや、多少の妖術をおさめただけの子とは。

頼光にも困ったもの。

親は選べないのだから、子ぐらいは選べば良いものを。」

金時「ハッ、随分な言い草じゃねえか。

流石は丑御前、牛頭天王サマの分け身は物騒きわまる!

だが、それほどクールでもゴールデンでもねえ!

あんまり舐めてッと火傷するぜ、このマスターは神も鬼も人間とも繋がっちまう傑物だ。」

丑御前「そうですか。

それはそれは、大層な事で。

はじめまして、ごきげんよう人間の子。

短い間でしたが……

頼光と寄り添うのは如何でしたか?」

「あなたはどう思う?」

丑御前「思うもなにも。ふふふ。

人と、鬼が、わかりあえるはずもない。

私は示しましょう。

頼光が、如何なる存在であるか。

鬼が、魔性が、異形が、どれほどまでに恐ろしいのか。

力を示しなさい! 頼光の子!

我が子に相応しいモノかどうか、この丑御前に——

神鳴る天網を統べるこの私に!

かき抱かれて、もしも灰の一片でも残るようであれば!

その時には愛してあげましょう!

頼光の分まで、滂沱と涙を流しながら!」

金時「ハ、シックな話だ、とんだクールビューティーだぜ!

来るぞ、大将!

本気でかかれよ!

たとえ夢ン中だろうが、アイツに灼かれりゃ死ぬぜ!

権能だかなんだか知らねぇが、怒った神サマってのは大体ノールールでデンジャラスなビーイングだ!」

「クールビューティの使い方間違ってる!」

金時「そうか!

そいつはゴールデンじゃねえな!

あれだ、ここを切り抜けた後でゆっくり教えてくれや!

そんじゃあカッ飛ばそうか!

エンジン全開、一気呵成の黄金疾走ゴールデンドライブで行くぜ!」

(戦闘後)

頼光「良い朝ですよ。

外の様子はわかりませんが、なかなかのレイシフト日和。

どうされました?

そんな風に、じいっと私の顔を見つめたりして……

うふふ、寝ぼけまなこも愛くるしいですね。

朝餉の準備はもう整っていますよ?

マシュさんも手伝ってくれて。

あれは、良い子ですね。

悪い虫とは大違い。

そういえば、聞いてください。

なんと今朝は…………

金時も手伝ってくれたのです!

まあ、まあ、あの子があんな風に……

母は嬉しさのあまり泣き崩れてしまいそうに!

実際、泣き崩れたのですけれど……!」

「自分が生きてるって事はひとまず、認めてもらえた?」

頼光「はい?

何を仰っているのです。

私は、とうに貴方の事をマスターと認めていますよ。」

「結構な激戦でしたが」

頼光「わけのわからない事を……

認めていなければ、こんなに世話を焼いたりはしません。

おわかりでなかったのですか?

さあさあ、お顔を洗ってきてください。

湯桶と手拭いを私が持ってきても構いませんが。

……過保護でも良いのなら、私、遠慮はしませんからね?」

「ほどほどでお願いします!」